この記事の結論
下水道料金は、冷却塔で蒸発した水の分を減らせます。下水道使用料は水道メーターの使用水量をそのまま下水に流した量とみなして計算されますが、蒸発して下水に流れなかった水は、自治体に申請して認定(減量認定)を受けると計算から外せるためです。
認定の条件、認定期間、さかのぼりの扱いは自治体ごとに違い、1か月の減量水量が総使用水量に占める割合の基準は、大阪市が20%以上、東京都が10%以上(1,000㎥を超える月は100㎥以上)です。大阪市・川崎市・東京都は、申請より前にはさかのぼりません。どれだけ外せそうかは、建物の所在地の自治体、冷却塔の冷却能力(RT)、補給水量の3つで試算できます。
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経費を下げる案を求められて水道の請求書を見ている、オフィスビル・病院・商業施設などの総務・設備管理の方に向けて、冷却塔の蒸発分を下水道使用料から外す制度を、請求書の側から読み解きます。
下水道使用料は、水道メーターの数字で決まっている
下水道使用料は、下水に流した量を測って請求されているわけではありません。大阪市下水道条例施行規則第12条は「上水又は工業用水を使用するときは、その使用水量を汚水排出量とみなす。」と定めています。水道メーターを通った水は、原則として全量が下水に流れたものとして数えられます。
同じ条文には、水の使用状況などによりこれにより難い特別の理由があるときは、使用者の申請により市長が認定する、というただし書きが付いています。建物に入った水が下水を通らずに出ていくとき、このただし書きが減免の入口になります。
冷却塔の水は、蒸発して空へ出ていく
冷却塔は、循環させている冷却水の一部を蒸発させ、その気化の熱で水温を下げる設備です。蒸発した水は水蒸気として大気へ出ていき、下水管には入りません。それでも補給水は水道メーターを通るので、請求書の上では流したことになっています。
冷房を長く動かす建物ほど、この水量は大きくなります。検針票を1年分並べて、夏の使用水量が冬より大きく膨らんでいるなら、その差には冷却塔の補給水が含まれています。
料金の対象から外せる水量の考え方
大阪市の案内は、外せる水を減量水量と呼び、「総使用水量のうち蒸発や地中浸透等により公共下水道へ排除されない水量」と定義しています。例に挙がっているのは、冷却塔による蒸発と、製品に含まれて出ていく水です。
冷却塔の場合、減量水量は補給水量から下水道へ出した水量を引いた分です。引かれる側に入るのは、濃くなった冷却水を入れ替えるために捨てるブロー水です。蒸発した水は外せても、ブロー水として下水に流した水は料金の対象に残ります。
要件は自治体ごとに違う
5つの自治体の公開資料を読み比べると、率で判断する自治体(大阪市20%・東京都10%・名古屋市30%)と、差の大きさで判断する市があり、認定期間とさかのぼりの書き方もそろっていません。
制度そのものは、横浜市・広島市・福岡市・神戸市などにもあることが、製造元のエミール・ジャパン株式会社の資料に実施例として挙がっています。
| 自治体 | 認める条件 | 認定期間 | さかのぼり |
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 排水口のすべてに流量計を付けて汚水排出量を特定でき、1か月の減量水量が総使用水量の20%以上 | 認定開始日から5年以内(羽根車式流量計は3年以内) | 申請日以前は遡及しない |
| 川崎市 | 使用水量と排出汚水量に著しい差異があり、メーターの設置で明確な根拠がある | 5年を超えない期間 | 申告書が期日に遅れた分は認定せず、遡らない |
| 京都市 | 目的と水量を確認でき、計測装置で測定できる(難しいときは書類で代替) | 5年以内(要綱第6条) | 要綱に明記なし |
| 名古屋市 | 営業に伴う使用で、下水道へ出さない水量が使用水量の30%以上(前年1〜12月の実績で判定) | 4月から翌3月までの年度ごと | 公開資料に記載なし |
| 東京都 | 営業に伴う使用で、1か月の減水量が総使用水量の10%以上(1,000㎥を超える月は100㎥以上)。私設メーターは特定計量器が原則 | 決定通知の日から5年 | 遡って適用しない |
出典:大阪市建設局「汚水排出量減量認定の申請手続きについて(概要)」、川崎市上下水道局「下水道使用料の減量認定について」、京都市上下水道局「汚水排出量の減量認定に関する取扱要綱」、名古屋市上下水道局「汚水排出量の減量認定制度について」、東京都下水道局「減量制度について」「減量Q&A」
認定を受けるまでに用意するもの
5つの自治体の資料に共通しているのは、水量を測る仕組みが先に要ることです。大阪市は流量計、川崎市は検定品の私設メーター、京都市は計測装置、東京都は特定計量器、名古屋市は有効期間内の私設メーターという言葉で、それを求めています。
そのうえで、確かめた資料に出てくる段取りを並べると次のようになります。括弧の中は、その段取りを原文で定めている自治体です。
- 管轄の下水道の窓口に相談する(大阪市と川崎市は申請前の事前協議が必須)
- 私設メーターを付けて測り始める(大阪市は申請までに1か月分の実績が要る)
- 申請書と添付書類を出す(京都市は計測装置の仕様書と設置写真を求める)
- 認定のあとも水量を報告する(大阪市は報告のない月を認定しない)
認定は申請した日から先の分だけ
大阪市は「申請日以前の内容については、遡及しての減量認定は行いません」、川崎市は「遡って認定することはありません」、東京都は「遡って減量認定の適用はできません」と書いています。冷却塔を何年動かしてきた建物でも、過去に払った分は戻りません。
検討に使った月の分も同じ扱いです。社内の稟議や工事の段取りを待たずに、窓口への相談だけは先に始めておくと、外せたはずの水量を払い続ける期間が短くなります。
ブロー水を減らすと、請求に残る水が減る
ここだけは制度ではなく、使う水そのものの話です。冷却塔の補給水は、蒸発や飛散で失われる分と、ブロー水として捨てる分でできています。認定で外れるのは蒸発や飛散の分で、その量は冷房で捨てる熱の量でおおよそ決まり、ブロー水の多い少ないでは変わりません。
変わるのは、認定を受けたあとも料金の対象に残るブロー水の側です。ブロー水を減らせば、その分の上水と下水道の料金が同時に下がり、冷却塔の水のうち料金の対象から外れている割合が大きくなります。大阪市のように総使用水量に対する割合で要件を決めている自治体では、要件に届くかどうかにも関わります。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、スケール分散剤に頼らずにスケールを付きにくくし、濃いまま運転できるようにしてブロー水を減らすための装置です。減量認定とブロー水の削減は組み合わせられ、請求に残る分を emiiR® が減らします。
減免の試算に必要な3つの数字
どれだけ外せそうかは、3つの数字で当たりが付きます。自治体が分かれば要件と認定期間が決まり、冷却塔のトン数から蒸発する水の規模が見え、補給水量と比べると、ブロー水として下水に出ている分も推し量れます。
お問い合わせフォームのご相談内容の欄に、次の3つを書いてお送りください。それだけで試算に進めます。試算とお見積もりは無料です。
お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。設備の写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。
- 自治体(建物の所在地の市区町村)
- 冷却塔のトン数(冷却能力。RTで分かれば足ります)
- 補給水量(月または年。検針票や運転記録の数字)
よくあるご質問
下水道料金の減免は、どこの自治体でも受けられますか
確かめた5つの自治体(大阪市・川崎市・京都市・名古屋市・東京都)には、蒸発などで下水道に流れない水量を認定する制度があります。呼び名と要件は自治体ごとに違うので、建物の所在地の下水道の窓口で確かめてください。
過去に払った下水道料金は戻ってきますか
大阪市・川崎市・東京都は、申請より前の期間をさかのぼって認定しないと原文で書いています。京都市と名古屋市は公開資料に明記がないので、戻らない前提で早めに相談を始めてください。
私設メーターの費用はだれが払いますか
使用者が払います。大阪市と東京都は、水量を測る流量計や私設メーターの設置費用を使用者(お客さま)の負担と定めています。金額は口径と本数、付ける場所で変わります。
認定を受けると、上水の料金も下がりますか
認定で外れるのは下水道使用料の計算だけで、上水は使った量のまま請求されます。上水を下げるには、ブロー水のように捨てている水そのものを減らします。
申請の手続きを代わりにお願いできますか
申請は建物を使っている側が行いますが、水量の試算、配管図へのメーター位置の書き込み、窓口への相談に持っていく資料づくりは当社がお手伝いできます。当社は、外せそうな水量と金額の試算、ブロー水を減らす設備のご提案をお受けします。
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