東京都は、下水道に排出されない水量を下水道使用料から差し引く制度を実施している地域の1つです。冷却塔の蒸発分が、その対象になります。
要るものは、補給水と排出水の私設メーター、減量の申告書、配管系統図です。様式と要件は下水道局の窓口で受け取ってください。
東京都内で冷却塔を持つ建物の設備管理・総務の方に向けて、下水道使用料の減量認定を受けるまでに何がどの順番で要るのかを整理しました。
この地域で、冷却塔の蒸発分が対象になる理由
東京都は、下水道に排出されない水量の減量認定を実施している地域として挙げられます。公共下水道に接続している建物の下水道使用料は、水道の使用水量をもとに算定されます。
冷却塔の蒸発分は、この算定の前提から外れる水です。水道メーターを通ってはいますが、水蒸気として大気へ出ていき、下水道には入りません。この差を申告して認めてもらう手続きが、減量認定です。
都内は中央熱源方式の空調を持つ建物が密集していて、公共下水道の区域も広く取られています。制度と設備の条件が両方そろっている建物が多い地域です。
対象になる建物の条件
建物の側で先に確かめられる条件は3つあります。この3つがそろっていないと、申告しても数字が説明できません。
- 公共下水道に接続していて、下水道使用料を払っていること
- 冷却塔の蒸発と飛散があり、その水量を計算で説明できること
- 補給水と排出水を、それぞれ別に計量できる配管になっていること
要件の細部は窓口で受け取る
減量水量の下限や、建物全体の使用水量に対する割合など、認定の細かい要件は条例と規則で定められています。数字は年度で見直されることもあるため、いまの要件は窓口で確かめるのが確実です。
建物の所在地を伝えると、担当の部署が分かります。そのうえで、申告書の様式と、私設メーターの位置を相談する先を聞いてください。
申請に要るものを、そろえる順に並べる
紙をそろえるだけでは足りません。測る道具が先に付いていなければ、書類に書く数字が出てきません。
- 冷却塔の仕様が分かる資料(冷却能力・循環水量・型式・台数)
- 配管系統図(補給と排出の経路、メーターの位置を書き込んだもの)
- 私設メーター2つ(補給水・排出水)と、その検定に関する書類
- 減量の申告書(様式は下水道局で受け取る)
- 年間の運転時間が分かる記録(空調の運転スケジュールや日誌)
私設メーターの設置と事前の相談
メーターを付ける位置は、認定する側が見たい測り方と合っている必要があります。相談を先に済ませずに工事を発注すると、位置が認められなかったときに配管をやり直すことになります。
相談のときは、配管系統図の下書きを持って行ってください。口で説明するより早く、測れていない経路があるかどうかもその場で分かります。
申告から認定、そのあとの報告まで
申告書を出した日が起点になります。そこから書類の確認と、必要に応じて現地の確認が入り、認定されます。申告した日に即決まるものではないので、空調のシーズンに入る前から動くと無駄がありません。
認定を受けたあとは、決められた周期でメーターの数字を報告します。報告した数字で減量水量が確定し、下水道使用料の計算に反映されます。
担当が替わっても続く形にしておく
認定は、報告が続いている間だけ効きます。報告が途切れると通常の計算に戻ることがあるため、設備の点検表にメーターの読み取り欄を作っておくのが確実です。
引き継ぎの資料には、認定の年月、報告の周期、メーターの検定の期限を書いておいてください。この3つが分かれば、担当者が替わっても手は止まりません。
ブローを止めると、対象水量がどう変わるか
いまブローとして下水道へ出している水は、減量の対象から外れています。ブローを原則ゼロに近づけると、その水量がそのまま対象水量に移ります。どれくらいの量になるかは、冷却塔の仕様から計算できます。
この水量が、2つの費目で効く
計算に出た2,124㎥は、いま下水道へ出している水です。ブローが止まれば、この分が排出水から抜けて減量の対象水量に移ります。下水道の従量料金の単価を掛ければ、下水道側で動く金額が出ます。
同じ2,124㎥は、足さなくてよくなる補給水でもあります。上水道の単価を掛けた分が、水道側で動く金額です。1つの水量が、請求書の2か所に効きます。
| 項目 | 数字 | どこから取るか |
|---|---|---|
| 循環水量 | 177㎥/h | 冷却塔の仕様 |
| ブロー水量の割合 | 循環水量の0.3% | 運転の記録 |
| 年間の運転時間 | 4,000時間 | 空調の運転スケジュール |
| 年間のブロー水量 | 2,124㎥ | 177 × 0.003 × 4,000 |
この表は計算の例です。ご自身の冷却塔の数字を入れて確かめてください。
窓口で聞くこと
東京都の下水道は、東京都下水道局が所管しています。建物の所在地を伝えて、減量認定を扱う窓口を確かめてください。上水道の使用水量をもとに算定されるため、検針の周期も一緒に聞いておくと、報告の段取りが決まります。
聞くことは4つです。認定の要件、申告書の様式、私設メーターの位置を相談する先、そして報告の周期。この4つが分かれば、あとは建物の側で段取りが組めます。
よくあるご質問
申告すれば、いつの分から安くなりますか
申告した日から先の分が対象になるのが一般的な扱いです。過去にさかのぼって戻してもらうことはできません。開始日の扱いは、申告のときに窓口で確かめてください。
テナントビルでも申告できますか
下水道使用料を払っている名義の側で手続きします。建物の所有者と使用者が分かれている場合は、どちらの名義で申告するかを先に決めてください。メーターの工事と報告をだれが行うかも、同時に決めておくと進みます。
認定を受けるのに費用はかかりますか
申告そのものよりも、私設メーターの設置工事が費用の中心になります。メーターの台数と配管の状況で変わるため、系統図を見て測る範囲を決めてから見積もります。
冷却塔の蒸発量は、どうやって出すのですか
補給水量から排出水量を引いた分が、下水道へ出ていない水量です。メーターの数字で出るので、蒸発量を別に推定する必要はありません。計算で見当を付けたいときは、冷却能力と運転時間から概算します。
都内でも下水道が来ていない区域はありますか
あります。公共下水道に接続していない建物は、下水道使用料そのものがないため、この制度の対象になりません。請求書に下水道の欄があるかどうかで分かります。
この分野の全体像はこちら
冷却塔の下水道料金は減らせる|汚水排出量の減量認定のしくみと、申請の順番
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