この記事の結論
下水減免は、使った水のうち蒸発などで下水道に流れなかった分を、自治体に申請して下水道使用料の計算から外してもらう手続きの通称で、自治体の案内では「減量認定」と呼ばれています。単価が下がるのではなく、料金をかける水量が実際に下水へ流した量に近づきます。
対象になるのは、冷却塔やボイラーで蒸発した水、製品に含まれて出荷される水などです。トイレや厨房で使って排水口へ流した水、冷却塔から捨てるブロー水は対象になりません。
下水減免という言葉を上司や取引先から聞き、まず何を指すのかを押さえたい総務・設備管理のご担当者さまに向けて、対象になる水とならない水の分かれ目を整理しました。
減免という言葉が指しているもの
ここで扱う下水減免は、下水道使用料の単価を下げてもらう話ではありません。水道メーターの使用水量を下水に流した量とみなす計算と、実際の排水とのずれを、申請して認めてもらう手続きです。単価はそのままで、料金をかける水量が実際の排水に近づきます。
正式な呼び名は自治体ごとに違います。大阪市・京都市・名古屋市は汚水排出量の減量認定、川崎市は下水道使用料の減量認定、東京都下水道局は減量認定という言葉を使っています。下水減免で探して見つからないときは、この呼び名で探すと自治体のページに当たります。
対象になる水
分かれ目は1つで、その水が公共下水道に入ったかどうかです。京都市の取扱要綱第3条第1項は、対象になる水量として次の5つを挙げています。
- 製造工程で蒸発する水、製品に含まれたり混ざったりする水
- ボイラーの蒸発水
- 冷却装置の蒸発水(空調の冷却塔はここに入ります)
- コンクリートの打設で残る水
- そのほか、管理者が認めたもの
ほかの自治体の書き方
大阪市は減量水量を「総使用水量のうち蒸発や地中浸透等により公共下水道へ排除されない水量」と定義し、東京都下水道局は申請の区分を「工事等」「冷却塔・ボイラー」「散水減量(工事除く)」「製品含有等の減量」の4つに分けています。並べ方は違っても、下水管を通らなかった水という点は共通しています。
対象にならない水
使ったあと排水口へ流れた水は、使い道にかかわらず対象になりません。トイレや手洗い、厨房の洗い物、床の清掃に使った水がこれに当たります。冷却塔の水でも、濃くなった冷却水を入れ替えるために捨てるブロー水は、下水へ流している以上、料金の対象に残ります。
見落としやすいのが、流れなかったことを数字で示せない水です。川崎市は、使用水量と排出汚水量の差がメーターの設置により明確な根拠があると認められることを条件にしています。蒸発しているのが確かでも、測れていなければ認定の土台に乗りません。
くわしいご案内下水道料金は申告で減らせる|冷却塔の蒸発分が対象になる制度の読み方
事業で使っていることが条件になる理由
名古屋市の案内は、この制度を「営業に伴い使用する場合において製品化・蒸発等により使用水量と汚水排出量が著しく異なる場合」に申告を受けて認定するものと説明しています。家庭で使う水は、ほとんどがそのまま排水になるので、ずれが大きくなる場面がもともと少ない水です。
事業所で大きなずれが出やすいのは、冷却塔やボイラーのように水を蒸発させて熱を運ぶ設備と、水を原料にして製品を出荷する工程です。オフィスビルや病院で当てはまるのは、主に冷房用の冷却塔の蒸発分です。
自治体ごとに変わるところ
対象になる水の考え方は近くても、認める条件や期間は自治体ごとに違います。確かめた資料で違いが出ている項目を並べると、次のとおりです。
- 認める条件:大阪市は1か月の減量水量が総使用水量の20%以上、東京都は10%以上(1,000㎥を超える月は100㎥以上)、名古屋市は使用水量の30%以上、川崎市は著しい差異とメーターによる根拠
- 測る道具:川崎市は検定品メーターで有効期間内のもの、東京都は特定計量器が原則、名古屋市は有効期間内の私設メーター
- 認定期間:大阪市と京都市は5年以内、川崎市は5年を超えない期間、東京都は決定通知の日から5年
- さかのぼり:大阪市・川崎市・東京都は申請より前の期間を認めない(くわしくは別の記事で扱っています)
窓口で最初に聞く3つのこと
自分の建物が対象になりそうかは、窓口で3つ聞けば見当が付きます。問い合わせの最初に、建物の所在地と冷却塔の有無を伝えると話が早く進みます。
案内のページは1枚とは限りません。東京都は申請様式の案内とは別のページに数値基準や期間を、名古屋市はチラシに率と根拠の条文を載せています。見つからない項目は、この3つと一緒に確かめておくと、あとで要件を読み違えずに済みます。
- 冷却塔の蒸発分は、減量の対象になるか
- 認める条件は率か差の大きさか、測る道具に決まりがあるか
- 申請の前に、相談や測定の期間が要るか
よくあるご質問
下水減免は、下水道料金の値引きのことですか
値引きとは違います。単価はそのままで、料金をかける水量を、実際に下水へ流した量に近づける手続きです。流した水の料金は変わりません。
ビルの冷却塔の水は対象になりますか
蒸発した分は対象になります。大阪市・川崎市・京都市・東京都の資料が、冷却塔の蒸発を例や区分として挙げています。ブロー水として下水に流した分は対象になりません。
敷地の散水に使った水も対象になりますか
東京都下水道局は「散水減量(工事除く)」を申請の区分の1つにしています。ほかの自治体の扱いは公開資料で確かめられなかったので、窓口で確かめてください。
申請すれば、いつから安くなりますか
大阪市は申請日から認定期間が始まり、東京都は申請を受けて書類審査と現地調査で確認した以降の適用です。川崎市は申告書が期日に遅れた分を認定しません。いずれも過去にはさかのぼらないので、準備は早めに始めてください。
家庭でも申請できますか
確かめた資料は、事業所での使い方を前提にしています。名古屋市の案内は営業に伴い使用する場合を対象とし、ほかの資料も例に挙げているのは冷却塔や製品の製造などです。ご家庭の場合は、所在地の下水道の窓口で確かめてください。
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