この記事の結論
冷却塔の水道代のまわりにかかっている費用は、上水道の代金、下水道使用料、薬剤費、清掃の外注費の4つです。電気代まで含めた水処理の総額は、水処理の費用の記事で5つの費目に分けています。水道代を下げる方法は2つあり、蒸発した分を申請して下水道使用料の計算から外すこと(減量認定)と、濃くなった冷却水を捨てているブロー水を減らすことです。
ブロー水が減ると補給する水も減るので、上水道と下水道の両方の請求が下がります。100RTクラスの冷却塔1台では、薬品費とブロー水関連の費用を合わせて約86%減らせるという試算があります。
ビルの維持費の見直しを任され、水道の請求書を前にしている総務・管理部の方に向けて、冷却塔にかかっている費用の内訳と、下げられるところを順にまとめました。
削れる費目は4つです
経費削減の資料を作るとき、冷却塔は「空調の設備」として1行にまとめられがちです。実際には、別々の伝票で払っている費目が4つあります。所管する部署も、支払いの相手も違います。
4つを1枚に並べると、どこが大きいかが見えます。100RTクラスの冷却塔1台の試算では、いちばん大きいのはブロー水にかかる上下水道費で、薬品費の3倍以上あります。
上水道の代金(補給水)
冷却塔からは、蒸発と飛散、そしてブロー(濃くなった冷却水を捨てること)で水が出ていきます。出ていった分は補給水として足し続けるので、その量ぶんの上水道の代金がかかります。蒸発分は、冷却水の出入口の温度差が5℃のとき循環水量の1%弱です。
下水道の使用料
多くの自治体は、水道メーターの使用水量をそのまま汚水量とみなして下水道使用料を計算します。蒸発した水は下水道へ行っていないのに、この計算には数えられています。申告して認定を受けると、この分が計算から外れます。
薬剤の費用
スケール分散剤、殺藻剤、防食剤を入れている建物では、薬剤の代金と、濃度管理や水質分析の作業費がかかります。契約の形は薬剤の販売か、水管理の委託かで分かれます。
清掃の外注費
充填材とルーバー、下部水槽の清掃を外注しています。付着が厚いと、高圧洗浄の前にケレンでこそげ取る工程が入り、その分の人工が乗ります。回数ではなく工程で費用が決まっているのが、この費目の特徴です。
4つの費目を1年分の表にする
社内に出す資料は、この形にすると1枚で足ります。金額は自分の建物の伝票から拾ってください。
拾うときのこつは、支払先ではなく費目で分けることです。水管理の委託費には薬剤代と分析費と作業費が混ざっていることが多いので、内訳を出してもらいます。
| 費目 | どこから拾うか | 下げる方法 |
|---|---|---|
| 上水道の代金 | 水道の請求書の上水の行と単価 | 補給水量を減らす |
| 下水道の使用料 | 同じ請求書の下水の行と単価 | 蒸発分を申告して認定を受ける |
| 薬剤の費用 | 薬剤の納品書、水管理の委託契約の内訳 | 分散剤を外す |
| 清掃の外注費 | 清掃の見積書の工程ごとの内訳 | 付着を薄くして工程を減らす |
ブロー水を減らすと、上水道と下水道の両方が下がる
ブロー水は、蒸発で濃くなった循環水を捨てて濃度を下げるための水です。捨てた分は補給水として足し直すので、ブローを絞ると補給水量そのものが減ります。上水道の請求は、この分だけ下がります。
下水道の請求も下がります。ブロー水は下水道へ流しているので、減った分だけ下水道使用料の対象の水量も減るためです。蒸発分の減量認定を受けている建物でも同じで、認定で外れる蒸発の量は変わらず、認定のあとも請求に残っていたブロー水の分が減ります。1つの手で上水道と下水道の2つの請求が同時に下がるのは、4つの費目の中でここだけです。
どのくらいの水量かは、循環水量と運転時間から計算できます。循環水量 177㎥/h の冷却塔で、ブロー水量を循環水量の0.3%、年間運転時間を4,000時間とすると、177 × 0.3% × 4,000 = 2,124㎥/年になります。ここに上水と下水の単価がかかっています。
自分の請求書で当てはめる手順
当てはめる作業は、図面を探すより、水道の請求書から始めるほうが早く進みます。
- 水道の請求書から、上水と下水の単価と、建物全体の使用水量を拾う
- 冷却塔の能力(RT)・循環水量(㎥/h)・年間運転時間を機器表と運転記録から拾う
- 蒸発分(温度差5℃で循環水量の1%弱)とブロー水量を計算し、補給水量の内訳を作る
- 薬剤の納品書と清掃の見積書から、内訳の金額を拾う
- 4つを1年分の表に並べ、ブロー水を減らしたときに下がる費目を書き込む
薬剤と清掃の費用はどう変わるか
ブロー水を減らすには、濃い水のままでもスケールが固着しない状態を作る必要があります。当社が扱う emiiR®(エミール)は、電源も薬剤も使わず、冷却水が装置の中のセラミックスの間を流れる力だけで、この状態を作る装置です。水の成分を取り除くのではなく、成分が硬い結晶に育って伝熱面や配管の表面に張り付く前に、細かいまま水に運ばれるようにします。
分散剤で抑えていた部分を装置が担うので、スケール分散剤を外せます。殺藻剤は続きます。藻とバイオフィルムは薬剤で管理する領域なので、ここは残る費目として先に見ておいてください。
清掃の費用は、付着の厚みで工程が決まります。付着物が硬く固着しにくくなると、ケレンでこそげ取ってから高圧洗浄していた作業が、高圧洗浄だけで済む場合があります。100RTクラスの冷却塔1台では、薬品費とブロー水関連の合計が約86%減という試算があります。個別の試算をお出しする前の目安として、投資回収は約2〜3年とお考えください。
初期費用をいただかない形
4つの費目を並べて効果が見えても、設備投資の稟議が通らずに止まることがあります。そうした場合に備えて、初期費用をいただかないプランを用意しています。
中身は、いま出ている薬品費と上下水道費の一部を置き換える取り決めです。新しい設備投資として立てる必要がないので、持ち出しを増やさずに始められます。本体と設置工事、10年保証のほか、殺藻剤とメンテナンス、点検の費用まで含みます。
お支払いいただくのは、削減できた金額の一定割合を5年間です。その割合と、どの費目を削減額に数えるかは、3か月の無償デモで測った結果をもとに決めます。算定の根拠になる費目は、始める前にすり合わせて合意します。
現況の確認から試算までの進め方
こちらでお出しできるのは、4つの費目の年間額と、ブローを絞ったあとの年間額を比べた試算です。要るのは冷却塔の能力(RT)、循環水量、年間運転時間、そして水道の請求書の単価です。
お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。設備の写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。設置できる位置と配管の切り回しまで見当が付きます。お見積もりは無料です。当社ではお見積もり時に製品代と工事代を分けて明らかにし、お見積もりで提出した以上の金額はいただきません。
よくあるご質問
水道代は使った分なので、下げられないのではありませんか
使った分のうち、捨てている水の分は下げられます。ブロー水は濃度を下げるために捨てている水で、誰かが使っているわけではありません。ここを絞ると補給水そのものが減るので、使い勝手には跳ね返りません。
4つの費目のうち、どこから手を付けるのが早いですか
下水道の減量認定です。装置を入れる前でも、蒸発分は対象になります。大阪市や川崎市のように、申請した日から先の分しか認定しない自治体があるので、まず建物の所在地の下水道の窓口へ相談してください。水量を測る私設メーターの条件も、そこで確かめられます。
薬剤の費用は、どこまで下がりますか
スケール分散剤の分が下がり、殺藻剤などは残ります。100RTクラスの冷却塔1台では、薬品費が約7割減という試算です。分散剤の濃度管理の作業が減るぶん、委託費の内訳も変わります。
井戸水を使っている建物でも同じように下がりますか
下がり幅は小さくなります。この試算は上水道と下水道の料金がかかることが前提です。井水や工業用水が主体の建物では、水の代金はあまり下がらず、下がるのは主に薬剤と清掃の側になります。
空調を止めずに工事できますか
冷却水の戻り配管にバイパスで入れるので、建物や空調を長時間止める必要はありません。配管の切り回しの範囲は現場によって変わるため、配管の写真と図面を拝見して決めます。
効果は、どうやって確かめますか
3か月の無償デモで、実機の冷却塔に付けて測ります。見るのは補給水量とブロー水量、水質の指標、付着の状態です。週1回、のぞき穴からセラミックスが流動しているかの確認にご協力いただきます。
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