この記事の結論
公衆浴場の水の決まりは、公衆浴場法にもとづいて都道府県などが条例で定めていて、その土台が厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」です。浴槽水の水質検査は、毎日完全に換水する浴槽なら1年に1回以上、連日使用している浴槽水なら1年に2回以上(塩素消毒でなければ4回以上)で、結果は3年間保管します。
要領が気泡発生装置などを名指ししている理由はエアロゾル(吸い込める細かい水しぶき)で、求めているのは、連日使用している浴槽水をそうした浴槽で使わないことです。上水の元栓に付ける UFB DUAL® は泡が1マイクロメートル未満で水面ではじけず、当社はお住まいの自治体の条例を確かめたうえで、抵触する地域ではご提案しません。
公衆浴場・温浴施設の衛生管理を担当されている方に向けて、国の要領が水について何を定め、なぜそう定めているのかを、原文の言葉でまとめました。
どの法令・通知・条例が関わるか
公衆浴場法第3条は、営業者に換気・採光・照明・保温・清潔などの措置を求め、第2項で「前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。」としています。実際に守る水の基準を書いているのは、各地の条例です。
各地の条例のもとになっているのが、厚生労働省が自治体に示した「公衆浴場における衛生等管理要領等について」です。水質の基準は別添1の指針に、施設と管理の決まりは別添2の要領にまとめられています。
| 名前 | 決めていること |
|---|---|
| 公衆浴場法 第3条 | 衛生の措置と、その基準を条例で定めること |
| 都道府県・政令市・特別区の条例 | 実際に守る基準(自治体ごとに書きぶりが違う) |
| 公衆浴場における水質基準等に関する指針(要領 別添1) | 浴槽水・原水・原湯などの水質基準と検査の回数 |
| 公衆浴場における衛生等管理要領(要領 別添2) | 施設の構造、換水、清掃、塩素の管理 |
出典:公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第3条。厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領等について」(平成12年12月15日 生衛発第1,811号、令和5年11月15日 健生発1115第5号 一部改正)。
浴槽水の検査(回数は浴槽の形で変わる)
浴槽水の基準は、濁度5度以下、全有機炭素(TOC)8mg/L以下または過マンガン酸カリウム消費量25mg/L以下、大腸菌群1個/mL以下、レジオネラ属菌は検出されないこと(10cfu/100mL未満)の4つです。
検査の回数は、浴槽の水の使い方で分かれます。結果は検査の日から3年間保管します。洗い場のシャワーやカランから出る湯と水も「上がり用湯」「上がり用水」として、浴槽水より厳しい、原水・原湯と同じ基準(たとえば濁度は2度以下)で、1年に1回以上検査します。
| 浴槽の使い方 | 検査の回数 |
|---|---|
| ろ過器を使っていない浴槽水、毎日完全に換水している浴槽水 | 1年に1回以上 |
| 連日使用している浴槽水 | 1年に2回以上 |
| 連日使用していて、消毒が塩素消毒でない浴槽水 | 1年に4回以上 |
出典:厚生労働省「公衆浴場における水質基準等に関する指針」(要領 別添1 第4)。
換水の頻度
要領は、浴槽を毎日完全に換水して清掃することを基本にしています。それが難しい場合でも、1週間に1回以上は完全に換水して清掃します。
ろ過器は1週間に1回以上逆洗浄(水を逆向きに流して、ろ材にたまった汚れを押し出す作業)して汚れを出し、ろ過器と循環配管の生物膜を適切な方法で除去・消毒します。シャワーは少なくとも週に1回、内部の水が置き換わるように通水し、シャワーヘッドとホースは6か月に1回以上点検して、1年に1回以上洗浄・消毒します。
遊離残留塩素
浴槽水を塩素系の薬剤で消毒するときは、遊離残留塩素の濃度を頻繁に測り、通常0.4mg/L程度を保ち、最大1mg/Lを超えないよう努めます。測定の結果も3年間保管します。モノクロラミンで消毒する場合は、3mg/L程度を保ちます。
要領はその理由も書いています。微生物は浴槽やろ過器や配管の内壁に生物膜をつくり、その膜が殺菌剤から中の微生物を守るため、浴槽水を消毒するだけでは取り除けません。そのため要領は、消毒と並べて、生物膜の発生を防ぎ、できたら直ちに除去することを求めています。
なぜ「気泡発生装置」が名指しされているのか(エアロゾルという理由)
要領は、露天風呂、気泡発生装置、ジェット噴射装置など「微小な水粒を発生させる設備」をまとめて「気泡発生装置等」と呼んでいます。まとめる基準になっているのは、細かい水粒を出すかどうかです。
理由の文はこうです。「気泡発生装置等を設置した浴槽や打たせ湯、シャワー等は、エアロゾルを発生させ、レジオネラ属菌感染の原因ともなりやすい。」そのうえで、連日使用している浴槽水を気泡発生装置等を設置した浴槽で使わないことを求めています。
要領が防ごうとしているのは、使い回した浴槽水が、吸い込める細かい水しぶきになって舞うことです。求めている対象は「連日使用している浴槽水」を使う構造で、装置を一律に禁じる書き方にはなっていません。
打たせ湯とシャワーに、循環している浴槽水を使わないこと
施設の構造としても、要領は打たせ湯とシャワーについて「循環している浴槽水を用いる構造でないこと」と定め、気泡発生装置等を設置する場合も「連日使用している浴槽水を用いる構造でないこと」としています。
ろ過した湯を浴槽に戻す口も、浴槽の底に近い所に置き、誤飲とエアロゾルの発生を防ぐ構造にします。打たせ湯とシャワー、気泡発生装置、ろ過した湯の戻し口の3つの定めは、どれも浴槽水が水しぶきになる場面を減らすためのものです。
上水の元栓に付ける設備は、どこに当たるか
UFB DUAL® は、水道の元栓に取り付ける設備です。扱うのは館内に入ってくる水道水で、循環している浴槽水には手を触れません。浴槽の中に置いて泡を出す気泡発生装置とは、取り付ける場所が違います。
つくる泡は直径1マイクロメートル未満で、浮き上がらずに水の中をただよい、水面ではじけて水しぶきになることはありません。要領が理由に挙げたエアロゾルを出す働きとは、仕組みが異なります。
要領が消毒と並べて求めている生物膜への備えとしては、レジオネラ対策の基本とされるバイオフィルムの蓄積を抑えます。殺菌と消毒は、これまでどおり塩素系の薬剤と専門の水質管理で行い、その上に重ねて使います。
お住まいの自治体の条例を確かめる
実際に守る基準は、都道府県・政令市・特別区の条例です。国の要領より強い言葉で書いている自治体もあり、気泡発生装置等の扱いが同じとは限りません。
当社は、UFB DUAL® をご提案する前に、施設のある自治体の条例を確かめます。条例に抵触する地域では、ご提案しません。
施設の側で確かめるときは、自治体の公衆浴場法施行条例と施行規則を開き、気泡発生装置・打たせ湯・換水・検査回数の条を読みます。条例の当てはめに迷うところは、施設の構造を説明したうえで、所轄の保健所の生活衛生の担当に尋ねるのが確実です。
よくあるご質問
条例と国の要領は、どちらに従えばよいですか
自治体の条例です。国の要領は条例のもとになっている指針なので、条例の意味や理由を読み解くときに役立ちます。
シャワーの湯にも基準がありますか
はい、あります。洗い場とシャワーの湯と水は「上がり用湯」「上がり用水」として、色度・濁度・pH・有機物・大腸菌・レジオネラ属菌の基準があり、1年に1回以上検査します。
ジェットバスは使ってはいけないのですか
要領の上では、条件つきで使えます。要領が求めているのは、気泡発生装置等を設置した浴槽で、連日使用している浴槽水を使わないことです。自治体の条例がより強く定めていることもあるため、条例と所轄の保健所で確かめてください。
UFB DUAL® は気泡発生装置に当たりますか
UFB DUAL® は上水の元栓に取り付ける設備で、浴槽の中で泡を出す装置とは、付ける場所も働きも違います。泡は1マイクロメートル未満で、水面ではじけて水しぶきをつくりません。条例の当てはめは自治体ごとに違うため、当社は所在地の条例を確かめ、抵触する地域ではご提案しません。
記録はどれだけ残せばよいですか
3年間です。要領では、水質検査の結果と遊離残留塩素の測定結果を、検査の日から3年間保管することとされています。
この分野の、くわしい記事
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
お気軽にお問い合わせください。


