この記事の結論
国の要領では、ろ過器は1週間に1回以上、十分に逆洗浄して汚れを出すこととされています。そのうえで実際の回数は、ろ過器の入口と出口の圧力の差(差圧)が決めた値まで上がったら回す形にすると、入館者数に合った回数になります。
ろ材の交換時期は、ろ過器のメーカーが示す目安に加えて、逆洗しても差圧が元の値まで下がらなくなったかどうかで判断します。どちらの頻度も、持ち込まれる汚れの量と、ろ材や配管に付くスケールとバイオフィルムの量で変わり、逆洗で捨てる湯は水道代と燃料費の両方に関わります。
ろ過器の逆洗を「毎日1回」の決まりで回している温浴施設に向けて、差圧を使って回数を決める方法と、ろ材の交換時期の見極め方をまとめました。
逆洗が必要になる理由
ろ過器は、湯に混ざった汚れをろ材に引っかけて取り除きます。取った汚れはろ材の中に溜まり、溜まると水が通りにくくなるので、逆向きに水を流して押し出します。これが逆洗です。
逆洗は、ろ過器の性能を元に戻す作業です。回数が足りないと、ろ過を通しているのに濁りが取れません。多すぎると、水と熱が余計に出ていきます。
どちらに寄っているかは、見た目では分かりません。判断に使うのは差圧、つまりろ過器の入口と出口の圧力の差です。差圧の上がり方は、ろ材に溜まった汚れの量を表します。
逆洗の回数は、差圧を見て決める
厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」では、ろ過器を1週間に1回以上、十分に逆洗浄して汚れを出すこととされています。まずこの回数を下限として守ります。
そのうえで、「毎日1回、開店前に」と決めて回す運用は分かりやすい反面、汚れの入り方は日によって違います。混雑した日と空いている日に同じ回数を回すと、どちらかで過不足が出ます。
差圧で決めるやり方は単純です。ろ材が新しく、逆洗した直後の差圧を記録して基準にします。運転するうちに差圧が上がっていくので、基準からどれだけ上がったところで逆洗するかを決め、その値に達したら回します。記録を1か月並べると、混雑と差圧の関係も見えてきます。
| 記録する項目 | いつ測るか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 逆洗直後の差圧 | 逆洗を終えた直後 | その日の基準の値 |
| 逆洗前の差圧 | 逆洗を始める直前 | どこまで上がってから回したか |
| 逆洗に要した時間 | 作業のあいだ | 排水として出ていった水の量の見当 |
| 逆洗後の排水の濁り | 排水の出口 | ろ材の中に残っている汚れの量 |
| その日の入館者数 | 閉館後 | 持ち込まれた汚れの量との関係 |
ろ材の交換時期
ろ材は、逆洗だけでは元に戻りきりません。粒のあいだに入り込んだ汚れが少しずつ残り、年を追って溜まっていきます。
交換の時期は、ろ材の種類とろ過器によって違うため、まずメーカーの取扱説明書にある交換の目安を確かめます。そのうえで、逆洗しても差圧が基準の値まで下がらなくなったら、ろ材の中に汚れが残っている合図として、交換を前倒しで検討します。
交換のときは、抜いたろ材の状態を見ておきます。粒が固まって塊になっている、色が変わっている、逆洗の水が通っていない部分がある、といった様子があれば、次の交換までの期間を短くします。
くわしいご案内温浴施設のコスト削減|清掃・逆洗・ろ材の費用をまとめて下げる
回数と交換時期を左右するもの
逆洗の回数と、ろ材の交換時期を左右するものは共通しています。3つに分けて考えると、手を打つ場所が決まります。
- 持ち込まれる汚れ。かけ湯が守られているか、洗い場で体を洗ってから入る動線か、入館者数の波
- スケール。湯に溶けている成分が固まり、ろ材の粒とろ過器の内側に残ります
- バイオフィルム。内側やろ材の表面に層になり、逆洗の水が通りにくくなります
かけ湯の掲示は、差圧に表れる
洗い場で体を洗ってから浴槽に入る動線かどうかで、持ち込まれる汚れの量は変わります。掲示の位置や文面を変えた月の差圧を、前の月と並べてみます。費用のかからない手のなかでは、変化が数字に表れやすい部分です。
逆洗で出ていくものを、費目で見る
逆洗は、水を捨てる作業です。浴槽の湯で逆洗する系統では、温めた湯が出ていき、その分を足すのに燃料が要ります。
そのため逆洗の回数は、水道代と燃料費の両方に関わります。下水道の料金も、多くの地域で使った水量をもとに計算されます。1回あたりの水量を測っておくと、回数を1回減らしたときの金額を自分で出せます。
水量は、逆洗に要した時間とその系統の流量から出します。流量が分からなければ、逆洗の前後で水道メーターを読むと見当がつきます。
付着を抑える側に手を入れる
3つの要因のうち、持ち込まれる汚れは運用で、スケールとバイオフィルムは給水の側から手を入れられます。
UFB DUAL® は元栓直下(水道メーターの二次側)に取り付ける元栓型のノズルで、館内の給水に直径1マイクロメートル未満の泡を連続してつくります。泡は浮き上がらずに水の中にとどまるので、換水と補給で浴槽に入った水とともに、ろ過器まで運ばれます。
泡の表面はマイナスに帯電しています。ろ材の粒や配管の面に付こうとする汚れとのあいだに泡が入り込み、付着する力を弱めて、逆洗の水で出ていきやすくします。面を覆うことで、剥がれたものが再び付くのを抑える働きも期待できます。
内側やろ材での付着が緩やかになれば、要領の1週間に1回以上という下限は守ったうえで、差圧が上がるまでの期間やろ材の交換時期を見直す検討材料になります。逆洗の回数が減れば、そこにかかる水道代と燃料費も下がります。
ろ過器と循環ポンプには手を加えず、取り付けるのは水道メーターの二次側だけです。減水率は約5%で、給水の水の出方もほぼ変わりません。循環の流れには入らないので、ろ過器の流量の設計もそのままです。
ろ過器まわりの費用の見方
ろ過器まわりにかかっている費用を、一度並べてみます。逆洗で出ていく水、その水を温める燃料、ろ材の交換にかかる費用と作業、差圧が上がった状態で運転しているポンプの電気代の4つです。
この4つは、どれも逆洗とろ材の状態に結びついています。ろ過器の維持費を1つの数字で見るより、4つに分けて記録したほうが、どこから手を付けるかが決まります。
並べ終えたら、それぞれを1か月記録します。金額の検討は、その記録をもとに始めると早く進みます。
記録で逆洗とろ材の負担が分かったら、付着の速さを変える UFB DUAL® も選択肢に入れてください。差圧の上がり方を見直す材料になります。給水管の口径をご相談内容にお書きいただければ、お見積もりをお出しします。
よくあるご質問
逆洗は毎日回すべきですか
要領の1週間に1回以上を下限にして、そこから先は差圧で決めるのが合っています。逆洗直後の差圧を基準にし、どれだけ上がったら回すかを決めておくと、混雑した日と空いている日で回数が変わる、入館者数に合った運用になります。
ろ材は何年で交換しますか
ろ材の種類とろ過器によって違うため、まずメーカーの取扱説明書にある目安を確かめます。そのうえで、逆洗しても差圧が基準の値まで下がらなくなったら、交換を前倒しで検討します。
逆洗の回数を減らすと、水質は落ちませんか
差圧を見ながら回していれば、ろ材に汚れが溜まったまま運転する状態は避けられます。差圧に加えて、逆洗後の排水の濁りと遊離残留塩素の値を記録しておくと、水質の変化にすぐ気づけます。
UFB DUAL® を付けると、逆洗はいらなくなりますか
いいえ、逆洗は続けます。要領の1週間に1回以上という下限も変わりません。付着が緩やかになることで、差圧が上がるまでの期間やろ材の交換時期を見直す検討材料になります。
ろ過器の改造は必要ですか
いいえ、必要ありません。取り付けるのは水道メーターの二次側で、ろ過器と循環ポンプには手を加えません。
あわせて読みたい記事
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
お気軽にお問い合わせください。


