この記事の結論
大浴場の運営コストは、燃料・電気・水道・薬品・ろ材・人件費・委託費・修繕の8つに分けると、それぞれが何で増減するかが見えます。燃料と水道は主に湯の量と換水の回数で、人件費と委託費は清掃の作業時間で、ろ材と修繕は配管やろ過器に付く汚れの量で増減します。
薬品と、要領や条例で決まっている換水・逆洗の回数は削る対象にせず、見直すのはその上に上乗せしている臨時の換水、増えた逆洗、清掃の時間です。月ごとに8つの費目と、入館者数・換水と逆洗の回数を同じ表に並べると、どこから手を付けるかが決まります。
本部やオーナーから費用の説明を求められている支配人の方に向けて、大浴場の費目ごとに「何で増えて、何で減るのか」を1つずつ書きました。
費目を並べる(燃料・電気・水道・薬品・ろ材・人件費・委託費・修繕)
決算書の科目のままだと、大浴場の費用はほかの部門と混ざって見えません。そこで、大浴場の運営に関わる支出だけを取り出し、次の8つに分けます。
| 費目 | 主に何で増減するか | 見直しやすさ |
|---|---|---|
| 燃料 | 湯の量・加温の時間・熱の逃げ方・伝熱面の状態 | 運用と設備の両方で見直せる |
| 電気 | ポンプ・ろ過器・換気・照明の運転時間 | 運転時間で見直せる |
| 水道 | 換水・補給・逆洗・シャワー | 臨時の換水と逆洗の回数で見直せる |
| 薬品 | 塩素の濃度管理 | 要領と条例で決まり、見直しにくい |
| ろ材 | 交換の周期 | 付着の量で変わる |
| 人件費 | 清掃と管理の作業時間 | 作業の量で変わる |
| 委託費 | 定期清掃・配管洗浄の回数と範囲 | 契約の更新で見直せる |
| 修繕 | ポンプ・配管・熱交換器の傷み | 付着と経年で変わる |
それぞれが何で増減するか
燃料は、主に温める湯の量、温めている時間、温めた熱がどれだけ逃げるかで決まります。加えて、給湯器やボイラーの伝熱面(熱が金属から水に移る面)にスケールが付くと、同じ湯をつくるのにより多くの燃料が要ります。
水道は、浴槽の換水と、減った分の補給、ろ過器の逆洗、洗い場のシャワーの合計です。換水の回数は要領と条例で下限が決まっていますが、濁りが早く戻る浴槽では、それより多く換水していることがあります。
人件費と委託費は、主に清掃の作業時間で決まります。作業時間は、汚れが付くまでの日数と、付いた汚れの落としにくさで変わります。ろ材の交換と修繕の費用には、配管とろ過器の内側に付く汚れの量が関わります。
見直しやすい費目と、見直しにくい費目
見直しにくいのは、衛生の基準で決まっている部分です。塩素の濃度、換水と逆洗の最低限の回数、水質検査は、条例のとおりに続けます。ここを削って費用を下げることはしません。
見直しやすいのは、基準の上に上乗せしている部分です。濁りが戻るので追加している換水、ろ過器の差圧(入口と出口の圧力の差)が早く上がるので増やしている逆洗、汚れの戻りが早いので回数を増やしている清掃がそれに当たります。この上乗せ分は、付着の量に応じて増えたり減ったりします。
もう1つ見直しやすいのが委託費です。定期清掃や配管洗浄は、回数と範囲を契約で決めています。汚れの付く量が減った記録があれば、次の契約の更新で、回数と範囲を見直す相談ができます。
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付着が関わる費目はどれか
循環配管とろ過器の内側にバイオフィルムが付く速さが落ちれば、逆洗の頻度とろ材の交換周期を見直す材料になります。その結果、逆洗で流す水道代と、ろ材の更新費用の平準化につながることが期待できます。
浴槽と洗い場の面に汚れが付く速さが落ちれば、清掃スタッフの作業時間と範囲を見直しやすくなります。浮いた時間は、接客やほかの業務に回せます。給湯器やボイラーの伝熱面のスケールは、燃料の費目に関わります。
UFB DUAL® は、この付く速さを抑える設備です。元栓に1台付けると、水道の水圧だけで直径1マイクロメートル未満の泡が館内の水に行き渡ります。泡は面と汚れのあいだに入り込んで付着する力を弱め、水流で剥がれやすくし、面を覆って再付着を抑えます。清掃は続けたうえで、変わるのは次の清掃までの間隔と1回の手間です。
記録の取り方(月次で並べる)
費用の数字だけを並べても、何が費用を増やしたのかは分かりません。そこで、費用の隣に、その原因になる数字を並べます。
表計算ソフトで1か月を1行にし、左に費用、右に原因の数字を置くと見やすくなります。並べる項目は次のとおりです。
- 8つの費目の月額
- 入館者数
- 浴槽ごとの換水の回数
- 逆洗の回数と、逆洗の前後のろ過器の差圧
- 配管洗浄とろ材交換の実施日
- 清掃の作業時間(場所ごと)
どこから手を付けるか
順番は、費用のかからないものからです。まず記録を3か月つけ、入館者数あたりの費用が季節でどう変わるかを見ます。次に、加温の時間帯や換気の運転時間など、運用で変えられる部分を見直します。
そのうえで、上乗せ分が大きい費目に、付着を抑える設備を当てます。費用は給水管の太さで決まり、大浴場を持つ規模で多い40Aなら、製品代2,500,000円(税抜。メーカー希望小売価格の設定がないオープン価格)、工事費150,000円程度です。導入の前後で同じ記録を続ければ、どの費目がどれだけ変わったかを本部に数字で示せます。
よくあるご質問
いちばん大きい費目はどれですか
施設の熱源と規模によって違うため、自館の8つの費目を並べて割合で確かめます。燃料は季節による差が大きいので、冬と夏の両方を含む期間で比べます。
薬品の費用は下げられますか
下げる対象にはしません。塩素の濃度は要領と条例で管理するものなので、費用の見直しは、基準の上に上乗せしている換水・逆洗・清掃の部分から行います。
記録はどれくらいの期間つければよいですか
まず3か月、できれば1年です。季節の差を見るためです。導入などで条件を変える場合は、その前後で同じ項目を続けます。
付着を抑える設備の効果はどう確かめますか
導入の前後で、ろ過器の差圧が上がるまでの日数、逆洗と配管洗浄の間隔、清掃の作業時間を比べます。費目の月額と並べれば、費用が変わった理由まで説明できます。
本部への説明は、どの形にまとめればよいですか
8つの費目の月額と、入館者数・換水・逆洗・清掃時間の記録を1枚の表に並べ、入館者数あたりの費用を出す形です。何が費用を増やし、何が減らしたのかを数字で示せます。
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