検査の回数は、施設の規模ではなく浴槽の形と管理の仕方で変わります。レジオネラ属菌については、1年に1回以上、2回以上、4回以上という区分があります。
自館がどの区分かは、循環の有無と換水の頻度、そして気泡発生装置等の有無で決まります。当てはめは所轄の保健所に確認してください。記録は検査の日から3年間保管します。
浴槽水の検査を自分で組み立てたい方に向けて、項目、回数の区分、採水のしかた、記録の残し方を順に整理しました。
検査の項目
浴槽水で見るのは、大きく分けて2種類です。水の状態を表す項目と、レジオネラ属菌です。前者は濁度、過マンガン酸カリウム消費量、大腸菌群、そして遊離残留塩素の濃度。後者は培養で調べます。
遊離残留塩素は、検査会社に頼む項目とは別に、施設が毎日測る項目でもあります。測定器を館内に持ち、時刻とともに記録します。原水を上水でとっている施設では、飲用水の系統についても遊離残留塩素を0.1mg/L以上に保つこととされています。
項目の意味を分けて覚えておくと役に立ちます。濁度と過マンガン酸カリウム消費量は「持ち込まれた汚れの量」、大腸菌群とレジオネラ属菌は「衛生の状態」です。前者が上がっているときは換水とろ過、後者が出たときは配管の内側まで見ます。
回数は、浴槽の形で変わる
ここが実務でいちばん間違いやすいところです。回数は施設の大きさで決まりません。浴槽ごとに、水の使い方で決まります。
レジオネラ属菌の検査には、1年に1回以上、2回以上、4回以上という区分があります。連日使用している浴槽水を循環させて使う浴槽は回数が増える区分になり、消毒がしにくい浴槽や、気泡発生装置等を設置している浴槽はいちばん多い区分になります。
自治体の条例は、国の要領より強く書いているところがあります。だから区分の当てはめは、条例と所轄の保健所で確かめてください。館内に複数の浴槽があれば、浴槽ごとに区分が違うことも普通です。
| 水の使い方 | レジオネラ属菌の検査 | あわせて確かめること |
|---|---|---|
| 毎日換水し、循環させない浴槽 | 1年に1回以上の区分 | 毎日の換水と清掃・消毒の記録 |
| 連日使用している浴槽水を循環させる浴槽 | 回数が増える区分 | 1週間に1回以上の換水と、ろ過器の清掃 |
| 消毒がしにくい浴槽/気泡発生装置等を設置した浴槽 | いちばん多い区分 | 浴槽水を使う構造になっていないか |
出典:厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領」(平成12年12月15日 生衛発第1,811号。2026-09-27 に原文を確認)。区分の当てはめは所轄の条例で確かめてください。
どこに頼むか
レジオネラ属菌の検査は、検査の設備を持つ機関に頼みます。自治体の衛生検査所、民間の分析会社、業界団体が紹介する機関などです。頼むときに確かめるのは3つです。
採水の容器を貸してくれるか、採水に来てもらえるか、結果が出るまでの日数。とくに日数は、検出されたときの動きに直結します。
- 採水の容器と、保冷の方法を用意してくれるか
- 採水を頼めるか、自分で採るのか
- 結果が出るまでの日数
- 検出されたときに、再検査をどれだけ早く受けられるか
- 結果の書式(保健所に見せられる形か)
くわしいご案内公衆浴場の水の決まりごと|検査の回数・換水・エアロゾルを出さないこと
採水のしかたと時刻
同じ浴槽でも、いつ、どこで採るかで結果が動きます。だから採水の条件を先に決めて、毎回同じにします。比べられる記録にするためです。
採るのは、循環口から離れた場所の水面より下です。ろ過を通ったばかりの水を採ると、浴槽全体の状態とずれます。時刻は、営業のなかで条件がそろう時間に固定します。
遊離残留塩素は採水のときに必ず測って、同じ紙に書いてください。結果が返ってきたとき、その日の塩素の値と並べて読めます。値が低い日に採っていたのなら、それは管理の情報です。
混雑した日の値を、別に残す
入館者が多い日は、持ち込まれる皮脂と汗が増え、塩素が消費されて濃度が落ちます。この日の値を平均に混ぜてしまうと、管理の設計に使えません。混雑した日の測定値は、別の欄に残してください。
記録の保存と、様式
要領では、水質検査の結果を検査の日から3年間保管することとされています。業界団体の自主管理基準でも、3年以上の保存が示されています。紙でもデータでもかまいませんが、日付順に並ぶ形にしてください。
保存しておくものは、検査の結果だけではありません。結果の背景を説明するために、次のものを同じ場所にまとめます。
- 水質検査の結果(浴槽ごと)
- 遊離残留塩素の毎日の測定記録(日付・時刻・測定値)
- 換水と清掃・消毒の記録
- ろ過器の逆洗と、ろ材の交換の記録
- 循環配管の洗浄の記録
- 循環の系統が分かる図面
結果が基準を外れたときの動き
外れ方で手が変わります。濁度と過マンガン酸カリウム消費量が上がっているなら、換水とろ過、そして持ち込みの量を見ます。大腸菌群やレジオネラ属菌が出たなら、配管の内側まで見ます。
共通して先にやるのは、所轄の保健所への連絡です。扱いは自治体で違うので、平常時のうちに連絡先と手順を確かめておいてください。
そして再検査の日程を、その場で押さえます。結果が出るまでに数日かかるので、営業の扱いを含めた段取りが要ります。
検査の前に、やっておくこと
検査は状態を測るものなので、直前に取りつくろっても意味がありません。やっておくのは、測る条件をそろえることです。採水の場所と時刻を決め、遊離残留塩素を測り、換水と逆洗の記録を最新にしておく。
そのうえで、数値が動く元をたどると、多くは付着に行きあたります。循環配管とろ過器の壁面にバイオフィルムが層になると、塩素が消費され、濁りも戻りやすくなります。
UFB DUAL® は元栓に取り付けて、館内の給水を変えます。つくられるのは直径1マイクロメートル未満の泡で、水道の水圧だけで連続して発生します。電源も薬剤も要らず、可動部と消耗品もありません。
泡の表面はマイナスに帯電しています。配管とろ材の面に定着しようとする汚れはプラスに帯電した疎水性のものが多いため、泡が入り込んで結びつきを緩めます。付着が緩やかになれば、塩素が消費される量と、濁りが戻る日数が変わります。
この設備が働く範囲は、対策の基本とされるバイオフィルムの抑制までです。消毒そのものは塩素剤と専門の管理に任せる形になります。条例で定められた検査と記録は、いままでと同じ回数で続けてください。
よくあるご質問
浴槽ごとに検査が必要ですか
水の使い方が違えば、浴槽ごとに区分が変わります。館内に循環式の大浴場と、毎日換水する浴槽があるなら、それぞれで回数を決めてください。当てはめは所轄の条例で確かめます。
遊離残留塩素は1日何回測ればよいですか
回数の決まりは自治体の条例で確かめてください。実務としては、朝、混雑する時間帯、閉館前の3点を測っておくと、値が落ちる時間帯が分かります。混雑した日の値は別に残してください。
記録はいつまで残せばよいですか
要領では、水質検査の結果を検査の日から3年間保管することとされています。業界団体の自主管理基準でも3年以上が示されています。日付順に並ぶ形で残してください。
水風呂も検査の対象ですか
浴槽として扱われます。水温が低いと塩素の効き方が温水と同じには進まず、入替の回転も速いので、管理の手がいちばん要る場所です。区分は所轄の条例で確かめてください。
検査の数値を良くするために、水の設備を入れる意味はありますか
数値そのものを操作する設備ではありません。働くのは、数値が動く元になる付着の側です。対策の基本とされるバイオフィルムの抑制までが範囲で、検査と記録は従来どおり続けていただきます。
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