ピンク色のぬめりはロドトルラという酵母が主体で、中性洗剤とスポンジで落ちます。施設で問題になるのは落ちにくさではなく、翌日から薄く戻ってくる速さです。
だから手の入れ方は3つです。戻る速さを記録して割り当てを合わせる、閉館後に床の水を切って乾く時間をつくる、そして館内に入ってくる水のほうを変えて付きはじめを遅らせる。
洗い場のタイルや浴槽の縁が数日でピンク色に戻ってしまう施設に向けて、清掃の割り当てと記録の組み方を整理しました。
ピンク色のぬめりは、何でできているか
ロドトルラは赤色酵母と呼ばれる仲間で、湿った場所に薄い膜として乗ります。黒い色のカビより育つ速さが早く、栄養が少ない場所でも増えます。栄養になるのは、皮脂とシャンプーや石けんの残りです。
膜として乗っているだけなので、こする力は要りません。困るのは、清掃した翌日から薄く戻り、3日目には色として見えることです。施設では1日の営業で持ち込まれる皮脂の量が家庭とは桁が違います。
温度も効いています。洗い場の床は営業中ずっと湯がかかり、閉館後も濡れたままになりがちです。水分と温度と栄養という増える条件が、毎日そろってしまう場所だと考えてください。
出やすい場所と、見落としやすい場所
色が出る場所は、施設ごとにほぼ決まっています。共通しているのは、湯がかかるのに乾かない面です。
- 洗い場の床の目地と、排水の周囲
- 浴槽の縁の、水位が当たる線
- シャワーのホースの付け根と、掛けるフックの裏
- カランの吐水口の下と、その真下の壁
- 桶の底、椅子の裏、ベンチの脚
- サウナ室の前に敷いたマットの下
しゃがんで見上げる面が抜ける
立って見える面は毎日拭かれます。抜けるのは、しゃがんで見上げないと目に入らない面です。桶を伏せて積めば底が乾かず、椅子の裏は毎日水がかかるのに手が入りません。
点検のときに、しゃがんで浴室を1周する時間を2分だけ取ってください。抜けている面が分かれば、割り当てに足すだけで済みます。
落とす手順
中性洗剤とスポンジで足ります。塩素系を最初から使うと、目地のセメントと金属の部品を傷めます。色が残ったときだけ、塩素系を薄めて短い時間おいてから流してください。
順番は、洗剤をかける、こする、流す、水を切る。最後の水を切る工程を省くと、翌日の戻りが早くなります。スクイジーで床の水を集めて排水へ送るところまでが1セットです。
塩素系と酸性の洗剤を同じ時間帯に使わないこと。これは汚れの話ではなく、作業する人の安全の話です。置き場を分け、使う時間帯を掲示で分けて守ります。
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付きはじめを遅らせる条件
増える条件のうち、施設が手を入れられるのは水分と栄養の2つです。温度は営業に必要なので下げられません。
水分は、閉館後に床の水を切って換気を回すだけで変わります。乾く時間が2時間できれば、翌朝の状態はそろいます。費用がかからないので、まずここから試せます。
栄養は、石けんカスを残さないことです。洗い場の床を流すとき、壁の下端と目地に向けて水を送る手順にしておくと、残り方が変わります。
清掃の割り当てをどう組むか
割り当ては「面積を人数で割る」ではなく、「戻る速さに、手が入る間隔を合わせる」で組みます。3日で色が戻る場所を週1回にすると、毎回こする力が要ります。毎日2分で済んだ面が、週1回だと20分になります。
逆に、2週間もつ面を毎日こすっても、時間の使い方としては損です。どちらも記録がないと決められません。
| 対象 | 日常(毎日) | 定期(週1回) | 記録に残すこと |
|---|---|---|---|
| 洗い場の床と目地 | 水を切る/目地をブラシで1往復 | 目地を洗剤でこすり洗い | 色が見えた日 |
| 浴槽の縁の水位の線 | 営業後に拭き上げ | 縁を洗剤で一周 | 拭き上げに要した時間 |
| シャワーのホースと掛ける場所 | 付け根を拭く | フックの裏まで外して洗う | 付け根の色 |
| 桶・椅子・ベンチ | 伏せずに立てて乾かす | 裏面を洗う | 乾ききらない置き方の有無 |
この表は割り当ての組み方の例です。ご自身の施設の記録を入れて確かめてください。
記録の取り方
記録には、作業の有無ではなく状態を書きます。「清掃済み」だけでは、翌月に頻度を変える判断ができません。
- 色が見えた場所と、その日付
- 落とすのに要した時間
- 使った洗剤と、薄めた濃度
- 閉館時に床が乾いていたかどうか
- その日の入館者数
入館者数を同じ表に並べる
混雑した週の翌週に戻りが早い、という関係が見えます。清掃の人手を増やす相談を本部に上げるとき、この並びがそのまま材料になります。
給水側でできること
ここまでは落とす側の手です。もう1つ、付きはじめを遅らせる側に手を入れる方法があります。館内に入ってくる水そのものを変えることです。
UFB DUAL® は元栓に取り付ける一体型のノズルです。通り抜ける水に圧力の変化を起こして、もともと水に溶けている空気を微細な泡に変えます。電源も薬剤も使わず、水道の水圧だけで泡をつくり続けます。
泡の直径は1マイクロメートル未満です。表面はマイナスに帯電していて、泡同士が反発するので合体せず、散らばったまま保たれます。ロドトルラの栄養になる皮脂や石けんの残りはプラスに帯電した疎水性のものなので、そこへ泡が入り込んで面との結びつきを緩めます。緩んだものは、流す水で離れていきます。
洗い場と浴槽まわりの付きはじめが遅くなれば、毎日の作業の時間と範囲を見直す材料になります。落とす作業そのものは続きますし、浴槽水の消毒と水質検査も、これまでどおりです。
減水率は約5%なので、シャワーとカランの出方は変わりません。水量を大きく絞る方式では、そのぶん水の出方が変わります。いまの手順と設備のまま使えるかどうかは、選ぶときに見ておく点です。
よくあるご質問
ピンク汚れは掃除をしていないせいですか
掃除の量だけの問題ではありません。ロドトルラは栄養が少なくても増えるため、乾かない面では回数を増やしても追いつかないことがあります。戻る速さを記録して、手が入る間隔を合わせるほうが早く収まります。
塩素系の洗剤で毎日こすってよいですか
毎日は勧められません。目地のセメントと金属の部品を傷めます。日常は中性洗剤とこすり洗いにして、色が残ったときだけ塩素系を薄めて短時間、という使い分けにしてください。
換気を回すだけで変わりますか
床が乾く時間ができるので、戻る速さは変わります。閉館後にスクイジーで床の水を切ってから送風を回すところまでをセットにすると、翌朝の状態がそろいます。
水の側に手を入れると、清掃はしなくてよくなりますか
清掃は続きます。付きにくい状態をつくる手立てなので、落とす作業をなくすものではありません。変わるのは、1回にかかる時間と、手を入れる間隔です。
費用はどのくらいですか
給水管の口径で決まります。大浴場のある施設で多い40Aは本体2,500,000円、50Aは本体3,500,000円(税抜)で、工事費は150,000円程度です。製品代と工事代を明らかにし、お見積もりで提出した以上の金額は一切いただきません。
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