この記事の結論
トイレの尿石は、酸性の洗剤で緩めてから、樹脂のヘラのように陶器より柔らかい道具で取り除きます。爪で押して削れる薄いものは洗剤を置いて流すだけで落ち、爪で崩れない厚いものは十分に緩めてから削り、水位が上がるほど流れが細い場合は業者による除去と管の洗浄が必要です。
落としたあとも尿石は戻り、排水管では薬品洗浄から約2か月で再び付いた記録があるため、清掃の予定は何か月で戻るかから組むのが目安です。
トイレの尿石が、洗剤でこすっても落ちない。落としても、またしばらくすると出てくる。この記事では、尿石の固さに合わせた落とし方と、落としたあと戻るまでの期間の目安が分かります。
緩めてから取る理由と、早めに取る理由
ご存じのとおり、尿石は尿中のカルシウムが析出して固まった結晶です。中性の洗剤ではほとんど緩まず、酸性の洗剤で溶かして緩めてから取り除きます。
緩める前にこすると、硬い層の上を道具が滑るだけで、陶器の表面に傷が残ります。緩めてから取り除く順番を守るのは、この傷を避けるためです。
尿石の表面はざらついていて、次の尿石が引っかかりやすいため、一度付くと厚くなる速さが上がります。薄いうちに取るほうが、使う洗剤も作業の時間も小さく済みます。
固さを3段階で見分ける
落とし方は、尿石の固さで決めます。爪の先で押して、削れるか、崩れないかを見れば判定できます。
見た目の色は判断に使えません。薄くても着色が濃いことがあり、厚くても白いことがあります。押して崩れるかどうかが基準です。
| 段階 | 見え方と手ざわり | 落とし方 | かかる時間 |
|---|---|---|---|
| 薄い | ざらつく曇り。爪で押すと削れる | 酸性の洗剤を置いて流す | その場で終わる |
| 厚い | 層になって盛り上がる。爪では崩れない | 酸性の洗剤で緩めてから削る | 長く置くため、翌日の作業になることもある |
| 流れが細い | 水位が上がる。流れきるまで時間がかかる | 物理的な除去と、管の洗浄 | 業者の日程しだい |
薄いとき・厚いとき・詰まっているとき
薄い尿石は、酸性の洗剤をかけて置いておけば、流すだけで落ちます。フチ裏は洗剤が流れ落ちるので、トイレットペーパーを貼って洗剤を含ませ、乾かないようにしておきます。
厚い尿石は、時間をかけて緩めてから取り除きます。緩めずに削ると表面を荒らします。崩れるようになったら樹脂のヘラで少しずつ剥がし、剥がした粉は器や縁に残さず取り除きます。
水位が上がる、流れきるのに時間がかかる、という場合は、器具の奥か排水管の中で通り道が細くなっています。無理に突くと器具の内側を傷めることがあるので、物理的に除去できる業者に依頼します。
使える道具と、使えない道具
陶器の面はかなり硬いのですが、釉薬の層は薄く、ここを傷つけると水がしみて汚れが残るようになります。金属のヘラや研磨材の粒が粗いものは、この層を削ります。
使えるのは、樹脂のヘラ、木や竹のへら、目の細かい研磨パッド、それに酸性の洗剤です。金属のスクレーパー、粗い金属たわし、サンドペーパーは、尿石と一緒に釉薬を削るので使いません。
便座や便器の樹脂の部分は、陶器よりはるかに柔らかく、細かい傷がすぐ入ります。陶器と同じ道具を使い回さず、樹脂は削らずに、緩めて拭き取る手順にします。
傷を付けずに済ませる順番
順番は、緩める、確かめる、取り除く、仕上げる、の4つです。緩める時間を惜しむと、取り除くときにこする力が要り、そこで傷が入ります。
確かめるというのは、爪や樹脂のヘラで軽く押して、崩れる手ざわりになったかを見ることです。まだ硬ければ、もう一度洗剤を足して置きます。2回に分けたほうが、力をかけずに済みます。
仕上げは、粉と洗剤を十分に流してから、水気を拭き取ります。縁や排水口に残った粉は、次の尿石の核になることがあります。同じ日に複数の器具を作業するときは、器具ごとに拭き取る布を替えます。
落としたあと、戻るまでの期間
清掃の予定を組むうえで大事なのは、落としたあと何か月で戻るかです。これが、年間の作業回数と費用を決めます。
メーカーが記録した男子トイレの排水管の例では、尿石で詰まっていた管が薬品洗浄の直後はきれいになり、洗浄から約2か月で尿石が再び付いていました。器具の洗浄水量や利用する人の数で前後しますが、数か月の単位で戻ると考えて予定を組むのが現実的です。
戻るのは、清掃の質の問題ではありません。洗浄は今ある尿石を落とす作業で、次の尿石が付くのを止めるものではないため、落としたあとも同じ場所に付いていきます。
戻りを遅くするためにできること
清掃で戻りを遅くするには、薄いうちに取ることです。薄いうちなら洗剤を置いて流すだけで済むため、フチ裏など付きやすい場所に定期的に洗剤を置くだけでも、厚くなるまでの間隔が延びます。
ただし、清掃で届くのは器具の中までです。節水型の器具で管の中の流れが弱い、利用が特定の時間に集中する、といった条件が重なると、清掃の回数を増やしても、排水管の中の尿石は減りません。
その場合の選択肢の一つが、給水に取り付けて尿石を付きにくくする設備です。当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管の途中に取り付ける装置で、薬剤も電源も使わずに尿石を硬く固着しにくくします。導入後は、すでに付いた尿石も少しずつ脆くなって流れる水で剥がれていき、残った分を清掃で取り除きます。重い詰まりは先に物理的に除去し、そのうえで清掃と洗浄の間隔を延ばしていく使い方です。
よくあるご質問
酸性の洗剤を置く時間は、長いほど落ちますか
乾かないあいだは、置く時間が長いほど緩みます。乾くと働きが止まるので、長く置くときは洗剤を含ませた紙を貼って乾燥を防ぎます。一晩置いても崩れない厚みは、洗剤を足して2回に分けたほうが、力をかけずに取れます。
削ってもよい場所と、削ってはいけない場所はどこですか
陶器の面は、緩めたうえで樹脂のヘラなら削れます。便座や便器の樹脂部分、金具、メッキの面は、削ると跡が残ります。ノズルや手洗い器の細い部品は、外して漬けるほうが安全です。
水位が上がってしまう状態は、自分たちで直せますか
尿石が原因なら、自分たちで直すのは難しいです。軽い詰まりならラバーカップで通ることがありますが、尿石で通り道が細くなっている場合は、通ってもすぐ戻ります。無理に突くと器具の内側を傷めることがあるので、物理的に除去できる業者に頼む範囲です。
高圧洗浄と薬品洗浄は、どう違いますか
高圧洗浄は水圧で尿石を削り落とし、薬品洗浄は酸などで溶かして落とします。どちらも今詰まっている管には効果がありますが、古い管では高圧洗浄の水圧が、材質によっては薬品が、管の負担になります。どちらも次の尿石が付くのを止めるものではないため、戻るまでの期間は変わりません。
業者に頼むかどうかは、どこで判断すればよいですか
水位が上がる、流れきるのに時間がかかる、複数の器具で同時に起きる、のどれかが出たら業者に頼む目安です。器具の中だけでなく、奥の管で通り道が細くなっていると考えられます。緩めて削っても落ちない厚みも、同じ目安です。
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