この記事の結論
樹脂の部分に付いた尿石は、酸性の洗剤を長めに置いて緩め、こすらずに拭き取って落とします。陶器なら緩めたあとにヘラで削れますが、樹脂は緩めた尿石よりわずかに硬い程度なので、削ると表面に傷と擦り跡が残ります。
落ちないときは力ではなく置く時間を延ばし、便座や手洗い器の栓のように外せる部品は、外して洗剤に漬けるのが早道です。
便器の陶器の部分はきれいになったのに、便座の裏やノズル、手洗い器の縁に付いた尿石だけが残る。樹脂の部分は、陶器と同じやり方でこすると傷や色むらが残ります。樹脂で手順を変えるところと、部位ごとに洗剤を置く時間の目安をまとめます。
樹脂と陶器で手順が変わる理由
ご存じのとおり、尿石は尿の中のカルシウムが固まった結晶で、付いているものは陶器でも樹脂でも同じです。落とすときに違いが出るのは、尿石が付いている面のほうです。
陶器の表面には硬い釉薬の層があり、尿石を緩めたあとなら樹脂のヘラで削り取れます。樹脂は緩めた尿石よりわずかに硬い程度なので、同じ力をかけると樹脂の表面が先に傷つきます。
そのため、樹脂では「緩める時間を長く取り、こすらずに拭き取る」という形に変わります。落ちが悪いときに増やすのは力ではなく、置く時間です。
使える洗剤の液性
使うのは酸性のものです。カルシウムの結晶を溶かして緩めます。家庭ならクエン酸を練ったペースト、業務用なら酸性の洗剤を薄めて使います。
塩素系の洗剤は、色やにおいの元になる有機物には働きますが、カルシウムの結晶は溶かしません。樹脂に長く当てると部分的に色が抜けてむらになります。なでてざらつきが残るなら結晶が残っているので、酸性の洗剤に切り替えます。
酸と塩素系を一緒に使うことはできません。続けて使うときは、あいだに水をたっぷり流して器の中と床を洗ってから次に進みます。
| 部位 | 使う液性 | 置く時間 | やらないこと |
|---|---|---|---|
| 便座の裏・ヒンジのすき間 | 酸性 | 30分から2時間 | 研磨材でこする |
| 温水洗浄便座のノズル | 酸性を含ませた布で包む | 15分から30分 | 先端を削る、分解する |
| 便器のフチの樹脂部品 | 酸性 | 1時間から一晩 | 金属のヘラを当てる |
| 手洗い器の縁と栓のまわり | 酸性 | 30分から2時間 | 粗い研磨パッド |
浸け置きの時間
樹脂で時間を決めるのは、厚みと、洗剤が乾かずに留まるかどうかです。垂直な面では液が流れ落ちるので、紙を貼り付けて含ませ、上からラップで覆います。
薄い曇りなら30分、輪になって段差が出ているものは1時間から2時間、一晩置くこともあります。途中で紙を外して、指でなでてざらつきが減ったかを確かめると、まだ足りないかが分かります。
外せる部品は、容器に洗剤をためて丸ごと漬けたほうが確実です。貼り付けでは触れない裏側やすき間にも全面に回ります。便座は工具なしで外せる機種が多く、温水洗浄便座は電源と給水を止めてから取扱説明書の手順で外します。
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手洗い器とノズルまわり
タンクの上の手洗い器は、水の流れる場所と乾く場所が隣り合っているため、縁に輪の形で付きます。栓のまわりは細くて指が入らないので、綿棒に洗剤を含ませて置いておくと届きます。
温水洗浄便座のノズルは、出てくる部分に薄く付きます。多くの機種でノズルを手前に引き出せるので、引き出した状態で洗剤を含ませた布で包み、15分から30分置いてから拭き取ります。先端を削ると水の出方が変わるので、削らないでください。
どちらも、乾く前に拭き取る運用に替えると、そもそも厚くなりません。1日の終わりに縁とノズルを乾いた布でひと拭きするだけで、付き方が変わります。
ざらつきが残るとき
拭き取ったあとになでて、まだざらつくなら層が残っています。ここで力を入れると、樹脂に白い擦り跡が残ります。跡が残った面は次の結晶を抱えるようになります。
析出した結晶は表面がざらついていて、次の結晶が引っかかりやすくなります。上の層だけ取って下の層が残ると、そこに次の結晶が付いて、早いうちに元の見た目に戻ります。
残りを取るときは、酸性の洗剤を足して置き直し、樹脂のヘラの角で緩んだ層の端から起こすように動かします。面を滑らせてこするのではなく、端から持ち上げる動かし方です。それでも動かないものは、樹脂そのものの色が変わっている可能性があります。
樹脂の部分を付きにくくするには
樹脂の部分の尿石を減らすいちばん確かな方法は、乾く前に拭き取ることです。尿が跳ねて乾く面を毎日ひと拭きするだけで、厚くなるまでの期間が大きく延びます。
ただし、器具の数が多い建物では、毎日の拭き取りが人手の問題になります。しかも樹脂の部品だけきれいにしても、便器から先の汚水管の内側には清掃が届きません。においと詰まりが繰り返す原因は、そこに残ります。
汚水管の中まで含めて付きにくくするには、流す水の性質を変える方法があります。当社が扱う emiiR®(エミール)は給水管の途中に取り付ける筒で、電源も薬剤も使わずに、尿石の結晶が硬く固着しにくい状態をつくります。導入後は、器具や管にすでに付いている層も少しずつ脆くなり、流れる水で剥がれていきます。残った分は清掃で取り除くので、拭き取りがなくなるわけではありません。変わるのは、樹脂の部品を漬け置きするほど厚くなるまでの間隔です。
よくあるご質問
樹脂の部分に酸性の洗剤を使っても大丈夫ですか
はい、使えます。酸は樹脂を溶かしません。気をつけるのは金属の金具とメッキで、垂れると変色します。作業の前に垂れる先を紙で覆っておくと、あとの手直しが要りません。
こすらずに落とすには、どのくらい置けばよいですか
薄い曇りなら30分、段差が出ているものは1時間から2時間です。乾くと働きが止まるので、紙とラップで覆って乾かさないようにします。一度で足りなければ、足して2回に分けたほうが跡が残りません。
温水洗浄便座のノズルは分解してよいですか
いいえ、分解はしないでください。多くの機種はノズルを手前に引き出せるので、その状態で洗剤を含ませた布で包み、15分から30分置いてから拭き取ります。先端を削ると水の出方が変わります。
便座を外して漬けたほうが早いですか
外せる機種なら早いです。裏側の全面とヒンジのすき間まで洗剤が回るので、貼り付けて置くより確実です。温水洗浄便座は電源と給水を止めてから、取扱説明書の手順で外してください。
落としてもすぐ戻るのは、洗剤が弱いからですか
いいえ。洗剤の強さより、尿石が付く条件が変わっていないことが理由です。とくに便器から先の管の内側に層が残っていると、においと汚れの元がそこに残り続けます。同じ場所に何度も出る場合は、器具の中だけでなく、管の中の状態も確かめてください。
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