この記事の結論
尿石は、利用回数の多いトイレほど早く付きます。便器の表面に付いた分は日常の清掃で落とせますが、清掃の手が届かない排水トラップの奥や床下の汚水管まで広がると、清掃の回数を増やしても追いつかず、臭いや詰まりの原因になります。
清掃の頻度は、便器1基あたりの利用回数と、清掃の翌日に臭いが戻っていないかの2つで決めるのが目安です。すぐに臭いが戻るなら、尿石が配管の中まで広がっているサインです。
オフィスビルや店舗のトイレでは、清掃の回数を増やしても尿石と臭いが収まらないことがあります。利用回数から清掃の頻度の目安を出す方法と、尿石が配管の中まで広がっているかの見分け方、そのときに設備でできることをご説明します。
利用者数が増えると、何が変わるか
ご存じのとおり、尿石は尿の成分が固まった結晶です。尿素が細菌の働きでアンモニアに変わると水がアルカリ性に傾き、尿の中のカルシウムが析出して、便器や配管の内側に固着します。付いた面はざらつくので次の結晶が付きやすく、一度付くと加速度的に育ちます。
利用回数が多いほど、次の清掃までに流れ込む尿の量も増えます。1日に50回使われるトイレと300回使われるトイレでは、その量が6倍違います。同じ清掃の仕様でも、利用の多いトイレから先に追いつかなくなるのはこのためです。
ここでいう利用回数は、在籍者数そのものではありません。オフィスなら在籍者数と出社率、店舗なら来客数と滞在時間で変わります。フロアにトイレが1か所しかない建物では、利用がそこに集中します。
清掃の頻度で追いつく範囲
日常の清掃で落とせるのは、便器の表面に付いたばかりの、まだ固まりきっていない付着物です。この範囲なら、1日1回を2回にする、利用の多い時間帯のあとに清掃を入れる、といった頻度の調整で追いつけます。
当然ですが、次の清掃までに付く量が、1回の清掃で落とせる量を上回ると、少しずつ残って積み上がります。問題は、それがどの程度の利用回数で起きるかです。
一律の回数はありません。洗浄水量や配管の条件で建物ごとに変わるためです。ただ、同じ建物の中なら、1基あたりの利用回数が多いトイレから順に追いつかなくなります。下の表の手順で、清掃1回のあいだに1基が何回使われているかを出しておくと、どのトイレから手当てをすればよいかが分かります。
残った付着物は日ごとに硬くなり、1回の清掃で落とせる量がさらに減ります。この状態になると、清掃の回数を増やしても差は縮まりません。
| 出すもの | どこで分かるか | 計算の例 |
|---|---|---|
| 1日の利用回数 | 在籍者数と出社率、または来客数 | 在籍120人×出社率7割×1日3回 |
| 器具あたりの回数 | 利用回数÷器具の数 | 252回÷小便器3基=1基84回 |
| 清掃の間隔 | 清掃の仕様書 | 1日1回 |
| 清掃1回あたりの回数 | 1基あたりの1日の回数×清掃の間隔(日) | 84回×1日=84回 |
計算の例です。ご自分の建物の在籍者数や器具の数に置き換えてお使いください。
配管の中まで広がったかを見分ける3つのサイン
清掃で追いつかなくなるのは、多くの場合、尿石が便器の表面から排水口の奥へ広がったときです。便器の表面には清掃の手が届きますが、排水トラップの奥や床下の汚水管の内側は、目で見えず、ブラシも届きません。
配管の中まで広がっているかは、次の3つで見分けられます。水を流した直後に臭いが強くなる。清掃した翌日には臭いが戻っている。流れが以前より悪くなっている。どれか1つでも当てはまれば、清掃の範囲の外に尿石が付いていると考えられます。
この状態で清掃の回数を増やしても、費用が増えるだけで臭いは収まりません。原因が、清掃の届かない場所にあるためです。
くわしいご案内清掃管理会社が尿石で呼ばれる回数を減らすには|提案の組み立て
排水トラップと汚水管の中で起きていること
便器から先へ広がった尿石は、排水トラップ、床下の横引き管、立て管の内側に付きます。これを落とせるのは高圧洗浄や薬品洗浄で、日常清掃の契約とは別に発注することになります。
配管の中で尿石が育ちやすくなった理由の1つが、節水型の器具です。1回に流す水の量が減ると汚水管の中の流れが遅くなり、固形分が管の中に留まって尿石の核になります。器具を新しくしたのに詰まりと臭いが増えた、という建物で起きているのはこれです。
臭いは、ガステック検知管でアンモニアの濃度を測れば、数字で確かめられます。小便器が7基並ぶトイレでの記録では、臭気のあった6基が5〜30ppmの範囲にあり、給水管に水処理装置を取り付けてから約6か月後、6基すべてが0ppmになっていました。残る1基は、測定を始めた時点から0ppmでした。
テナントさまや来客からどう見えるか
トイレの状態は、その建物の管理の水準として受け取られます。オフィスビルではテナントさまが契約の更新を考えるときの材料の1つになり、店舗では来客がその場で感じ取ります。
とくに印象を左右するのは、見た目よりも臭いです。清掃の直後でも臭いが残っていると、清掃が行き届いていないと受け取られがちです。
対策も、臭いの出どころである配管の中の尿石から考えるのが近道です。
清掃で追いつかなくなったときの、設備での対策
清掃の頻度で追いつかなくなったら、清掃ではなく建物の設備で手を打つ段階です。判断の材料は3つあります。清掃と臨時の配管洗浄に年間いくらかかっているか、呼び出しが何回あったか、テナントさまや来客からの指摘が何回あったかです。
設備での対策の1つが、給水管に水処理装置を付ける方法です。当社が扱う emiiR®(エミール)は、特殊セラミックスを詰めた筒を給水管の途中に付け、水が流れるあいだに尿石の成分が固着しにくい状態に変える装置です。電源も薬剤も要りません。便器を洗った水はそのまま排水管へ流れていくので、清掃の手が届かない配管の内側にも同じ水が行き渡ります。
設備を入れても、清掃の仕事は残ります。尿石が硬く張り付きにくくなり、すでにある層も時間とともに脆くなって水で流れやすくなるので、清掃で取る量が減り、配管洗浄を頼むまでの間隔が延びる、という変わり方です。
建物の給水元に付ければ建物全体が、トイレの給水元に付ければそのトイレの系統だけが対象になります。どこまでを対象にするかは、建物の配管系統と目的から決めます。
対策を決めるまでの4つの手順
手順は4つです。まず、器具1基あたりの利用回数を出します。次に、3つのサインで、尿石が配管の中まで広がっているかを確かめます。広がっていれば配管の洗浄を1回入れ、何日で臭いが戻るかを記録します。戻るまでが短ければ、設備での対策を検討します。
このうち、洗浄から臭いや付着が戻るまでの日数が、いちばん確かな判断材料になります。排水管での記録では、薬品洗浄から約2か月で尿石が再び付着していました。戻りが早いほど、清掃のやり方より、節水型の器具や配管の条件の影響が大きいと考えられます。
ご相談とお見積もりに費用はいただきません。お知らせいただくのは建物名とご希望の日時の2点で、器具の数や給水管の口径は当社が現地で確かめます。
よくあるご質問
1日の利用回数は、どう数えればよいですか
オフィスなら、在籍者数に出社率と1人1日あたりの利用回数をかけて出します。店舗なら来客数から見当を付けます。その回数を器具の数で割ると、1基あたりの回数になります。
清掃を1日2回に増やせば、尿石は止まりますか
尿石が便器の表面にとどまっているうちは、回数を増やせば追いつけます。排水トラップの奥や汚水管の中まで広がっている場合は、清掃では届かないため止まりません。流した直後に臭いが強くなる、清掃の翌日に臭いが戻る、といったサインがあれば、配管の中まで広がっています。
消臭剤で臭いを抑えることはできませんか
一時的には抑えられますが、臭いの発生源である尿石が残っていれば、臭いは出続けます。アンモニア臭と尿石は同じ反応から生まれるため、尿石が減れば、アンモニア臭も消えていきます。
給水管に付けた装置の手入れは必要ですか
必要ありません。emiiR® は可動部も電源もなく、中のセラミックスが水流で互いにこすれ合って表面をきれいに保つ構造です。メーカーの製品保証は設置後10年で、10年後に検査を受けると、さらに10年延長できます。
テナントさまから臭いの指摘が続くときは、何から手を付ければよいですか
まず配管の洗浄を1回入れて、何日で臭いが戻るかを記録してください。数日で戻るようなら、原因は清掃の回数ではなく、配管の中の尿石です。記録した日数は、設備での対策を建物のオーナーさまに相談するときの材料にもなります。
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