この記事の結論
尿石を削るときは、先に酸性の洗剤で緩め、樹脂のヘラや竹のへらのように陶器の釉薬より柔らかい道具でかき出し、最後に目の細かい研磨パッドで面をならします。金属のヘラや粗い研磨材は、尿石と一緒に釉薬を削ってしまうので使いません。
削って傷が付いた面はざらつき、次の尿石が付きやすくなるため、面をなめらかに仕上げるほど、次に削るまでの期間が延びます。
尿石が洗剤だけでは落ちず、削るしかない。けれど便器に傷は付けたくない。この記事では、削るときの道具の選び方と順番、削ったあとの面の仕上げ方が分かります。
削る前に、緩めておく
緩める前の尿石は硬く張り付いていて、削るには強い力が要ります。その力は、便器の表面にもそのままかかります。
先に酸性の洗剤を置いて、尿石を緩めます。置く時間は洗剤の表示と層の厚みで決めます。乾くと働きが止まるので、トイレットペーパーを貼り付けて洗剤を含ませ、上からラップで覆っておきます。
緩んだかどうかは、樹脂のヘラで軽く押して確かめます。押して崩れる手ざわりになっていれば、力をかけずに剥がせます。まだ硬ければ、もう一度洗剤を足して置き直します。この2回に分ける段取りが、傷を出さない要点です。
使える道具(樹脂・金属・研磨材)
道具は、削る面より柔らかいものを選びます。陶器の釉薬より硬いものを当てれば、尿石と一緒に釉薬も削れます。
樹脂のヘラは、緩めた尿石をかき出す本体になります。木や竹のへらも同じ用途で使えます。目の細かい研磨パッドは、剥がしたあとの薄い曇りを落とすのに使います。金属のスクレーパーと粗い金属たわしは、陶器にも樹脂にも使いません。
| 道具 | 陶器の面 | 樹脂の面 | 向いている段階 |
|---|---|---|---|
| 樹脂のヘラ・竹のへら | 使える | 使える(力をかけない) | 緩めたあとのかき出し |
| 目の細かい研磨パッド | 使える(軽く) | 使わない | 残った薄い曇り |
| 粗い研磨材・サンドペーパー | 使わない | 使わない | なし |
| 金属のスクレーパー・金属たわし | 使わない | 使わない | なし |
陶器と樹脂で変わるところ
陶器は硬いのですが、表面の釉薬の層は薄く、ここが水をはじく役目をしています。釉薬が削れると、そこから水がしみるようになり、同じ場所が繰り返し汚れます。そのため陶器には、緩めてから軽く削る順番が要ります。
便座の裏、ノズルまわり、手洗い器の縁などの樹脂は、陶器よりはるかに柔らかいです。目の細かい研磨パッドでも白い擦り跡が残ります。樹脂は削るのではなく、緩めて拭き取るまでにしてください。
見分けがつかないときは、爪でそっと押してみてください。わずかにたわむ感触があれば樹脂です。同じ便器の中でも、陶器と樹脂で手順を分ける必要があります。
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削ったあとに起きやすいこと
削ったあとの面には細かい傷が残り、ざらつきます。尿石はざらついた面に引っかかりやすいため、傷の上には前より早く次の尿石が付きます。
力任せに削った場所ほど、次の尿石が早く出てきます。毎回同じ場所に出る場合は、前の作業で面を荒らしたことが、原因の一つになっていることがあります。
防ぐには、緩めてから剥がし、最後に目の細かい研磨パッドで面をならして、粉を残さず流します。粉が縁や排水口に残ると、次の尿石の核になることがあります。
清掃の道具で届く範囲
樹脂のヘラ、細いブラシ、目の細かい研磨パッド、酸性の洗剤がそろえば、便器の見える範囲の尿石はたいてい落とせます。専用の器具を買い足す前に、緩める時間を長く取るほうが、力も傷も少なく済みます。
届かないのは、水位より下の見えない面、排水口の奥、そして便器から先の管の中です。ここは、道具を替えても届きません。
流れが遅い、水位が上がる、複数の器具で同時に起きる。このどれかが出ていたら、削る作業の範囲を超えています。無理に突くと器具の内側を割ることがあるので、物理的な除去ができる業者に頼む場面です。
削る回数を減らすには
削る作業を減らすには、削るほど厚くなる前に取ることです。薄い曇りのうちなら、酸性の洗剤を置いて流すだけで終わります。フチ裏のように付きやすい場所へ定期的に洗剤を置けば、削る厚みになるまでの期間を延ばせます。
ただ、器具の数が多く、利用が特定の時間に集中する建物では、清掃の回数を増やしても削る作業がなくならないことがあります。便器から先の管の中は、どの道具を使っても届きません。
その場合は、給水に設備を付けて尿石を付きにくくする方法があります。当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管の途中に取り付ける装置で、電源も薬剤も使わずに尿石を硬く固着しにくくします。導入後は、すでに付いた尿石も少しずつ脆くなって流れる水で剥がれていくため、残った分を清掃で取れば済むようになり、削る回数が減って洗浄の間隔も延びていきます。
よくあるご質問
金属のヘラのほうが早く削れるのに、なぜ使わないのですか
陶器の釉薬より硬いため、尿石と一緒に釉薬を削るからです。削れた場所は水がしみるようになり、同じ場所に繰り返し汚れが付きます。その日は早く終わっても、次に削るまでの間隔が短くなります。
緩めてもヘラで剥がれないときは、どうしますか
洗剤を足して置き直し、2回に分けます。乾いていないか、水で薄まっていないかも確かめてください。2回置いても崩れない厚みは、清掃の道具で落とせる範囲を超えているので、業務用の強い酸性洗剤に切り替えるか、業者に依頼します。
削ったあとに白く擦り跡が残りました。戻せますか
戻せません。樹脂に入った擦り跡も、陶器の釉薬が削れた跡も元には戻りません。跡が残った面は次が付きやすくなるので、その場所だけ洗剤を置く頻度を上げて、厚くならないようにしておきます。
削った粉は、そのまま流してよいですか
流してかまいませんが、器の中や排水口の縁に残った粉は、次の尿石の核になることがあります。作業の最後に水をたっぷり流し、縁と床を拭き取るところまで行ってください。
何か月おきに削ればよいですか
建物ごとに違うので、その建物で何か月で戻るかを2回記録してから周期を決めます。薄い曇りのうちに洗剤で取る運用に切り替えれば、削る作業そのものを大きく減らせます。
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