この記事の結論
小便器の中の尿石は、水位を下げて酸性の洗剤で緩め、樹脂のヘラでかき出して落とします。目皿やトラップを外せる器具なら、外して洗剤に漬けると、付けたままでは届かない内側まで落とせます。
小便器から先の汚水管の中は清掃では届かないため、高圧洗浄か薬品洗浄になります。メーカーが記録した男子トイレの排水管では薬品洗浄から約2か月で尿石が再び付いており、洗浄の回数を増やすか、給水に設備を付けて付きにくくするかを、戻るまでの期間から決めます。
小便器の尿石を落としても、しばらくすると臭いと詰まりが戻ってくる。この記事では、小便器の中で清掃で落とせる範囲と、その先の配管で清掃が届かない範囲を分けて、それぞれの落とし方と、落としたあと戻るまでの期間が分かります。
小便器の中で落とせる範囲
小便器の内側に付く白や黄色の層は尿石で、カルシウムの結晶なので、酸性の洗剤で緩めてから取り除きます。小便器の陶器は硬いものの、表面の釉薬の層は薄く、緩めずに削ると釉薬に傷が入り、そこに次の尿石が付きやすくなります。
手順は、給水を止めて器の中の水位を下げ、洗剤を全面に行き渡らせて置き、崩れる手ざわりになってから樹脂のヘラでかき出す、の順です。
器に付けたままで届くのは見える面までで、排水口の奥、目皿の裏、トラップの中、その先の汚水管には届きません。見える面をきれいにしても臭いが残るときは、これらの場所に残った尿石が原因です。
| 場所 | 使うもの | 落ちるもの | 届かない範囲 |
|---|---|---|---|
| 器の内側の見える面 | 酸性の洗剤と樹脂のヘラ | 層になった尿石 | 排水口の奥 |
| 排水口のまわり | 細いブラシ | 縁に付いた分 | 目皿の裏と、その下 |
| 目皿・トラップ(外せる器具) | 外して洗剤に漬ける | 部品の内側の全面 | 汚水管との継ぎ目より先 |
| その先の汚水管 | 高圧洗浄・薬品洗浄 | 管の内壁の層 | 洗浄のあとに付く分 |
目皿とトラップを外して漬ける方法
目皿や、器具によってはトラップも外せる構造になっています。外して洗剤に漬けると、器に付けたままでは触れない内側まで落とせます。臭いや流れの遅れがある器具では、先にトラップの内側を確かめます。
漬ける時間は、洗剤の表示と層の厚みで決めます。途中で一度引き上げて、爪で押して崩れるかを確かめると、時間が足りているかが分かります。
外すと封水がなくなり、排水管から下水のにおいが上がってきます。作業のあいだは排水口に袋をかぶせておくと、においが広がりません。戻すときは、パッキンの向きとつぶれを確かめます。
その先の配管で起きていること
小便器から先の汚水管では、内壁に尿石が層になって付いていきます。尿石の表面はざらついていて次の尿石が引っかかりやすいため、一度付くと厚くなる速さが上がります。
節水型の小便器のように洗浄水量が少ない器具では、管の中の流れが弱くなり、流れきらないものが管に留まります。それが核になって尿石の層が広がるため、器具を節水型に替えたあとに、詰まりや臭いが増えることがあります。
管の中は、清掃の作業者が手を入れられる場所ではありません。高圧洗浄か薬品洗浄が必要で、費用は作業のたびにかかります。
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臭気を数字で測る方法
におうかどうかを言葉で報告すると、人によって判定がずれます。ガステック検知管を使えば、アンモニア濃度をppmで読めます。ポンプで一定量の空気を吸わせ、管の中の変色した長さを目盛りで読むだけです。
測るときは、器具ごとに同じ高さ、同じ時刻、同じ吸引量でそろえます。時刻によって濃度が変わるので、比べる時刻は固定します。器具ごとに測ると、同じトイレの中でもどの器が悪いかが分かります。
ある小学校の小便器7基を測った記録では、臭いのあった6基のアンモニア濃度が2〜30ppmで、給水に取り付ける装置 emiiR®(エミール)の設置から約6か月後には、すべて0ppmになりました。残る1基は測定を始めた時点で0ppmだったため、この6基には含めていません。
落としたあと、何か月で戻るか
落としたあとに何か月で戻るかは、年間の作業回数と予算を決めるうえで欠かせません。メーカーが記録した男子トイレの排水管の例では、尿石で詰まっていた管を薬品洗浄したあと、約2か月で尿石が再び付いていました。
戻るのは、作業が不十分だからではありません。洗浄は今ある尿石を落とす作業で、次の尿石が付くのを止めるものではないからです。洗浄のあとの管の内面が荒れていると、前より付きやすくなることもあります。
「先月もやったのに」という声が繰り返されるのはこのためです。年間の作業回数を決めるときは、落ちるかどうかより、その建物で何か月で戻るかを基準にすると、予算の見通しが立てやすくなります。
戻るまでの期間を延ばす方法
戻るまでの期間に対して取れる方法は2つです。洗浄の回数を増やして厚くなる前に落とすか、給水に設備を取り付けて尿石を固着しにくくするかです。前者は回数に応じて費用がかかり、後者は最初に取り付けの工事が要ります。
当社が扱う emiiR® は、給水管の途中に取り付ける装置です。中の特殊セラミックスが水流で動き、水の性質を物理的に変えて、尿石が硬く固着しにくい状態にします。電源も薬剤も消耗品も使わないため、導入後に続けてかかる費用はありません。
導入後も清掃は続きます。新しく付く尿石は固着しにくくなり、すでに管に付いている尿石も少しずつ脆くなって、流れる水で剥がれ落ちていきます。残った分を清掃で取り除く点は変わらず、変わるのは次の清掃や洗浄までの間隔です。管が細くなるほど厚い尿石は、先に洗浄で取り除きます。
よくあるご質問
小便器の目皿やトラップは、清掃の担当者が外してもよいのですか
外せる構造の器具なら外せます。外せるかどうかと外し方は、器具の取扱説明書で確かめてください。給水を止めてから外し、戻すときはパッキンの向きとつぶれを確かめます。汚水管との継ぎ目より奥は器具の外なので、管の洗浄の作業になります。
業務用の強い酸性の洗剤は、どこまで使ってよいですか
陶器の面には使えますが、ステンレスの金具やメッキの部品に付くと変色することがあります。器の外へ垂らさないように水位を下げ、周りを養生してから使います。塩素系の洗剤と同時に使うと有害なガスが出るため、同じ日に使うときは水で十分に流してからにします。
尿石防止の錠剤を置いておけば、戻らなくなりますか
器の中とトラップのまわりでは付きにくくなりますが、戻らなくなるわけではありません。錠剤が働くのは溶けた成分が触れる範囲で、その先の汚水管の奥までは届きにくく、溶けきれば補充が要ります。管の中の尿石は、洗浄か給水の設備で考えます。
トラップごと新品に替えたほうが早いですか
内側が尿石で狭まっていて、漬けても落ちない場合は、交換のほうが確実です。ただし交換しても、その先の管に尿石が残っていれば、流れの細さと臭いは残ります。替えるときは、管の状態も一緒に確かめてください。
臭気の測定には、何を用意すればよいですか
アンモニア用の検知管と、空気を一定量吸わせるポンプがあれば測れます。器具ごとに同じ位置・同じ時刻で測り、対策の前と後を比べます。当社へのご相談では、建物か店舗のお名前とご希望の日時をお知らせいただければ、器具の数や給水管は当社が現地で確認します。
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