この記事の結論
尿石の予防は、器具の表面を乾かさず薄いうちに酸性の洗剤で取る日常の掃除と、流す水の性質を変えて尿石を固着しにくくする設備の2つで考えます。
掃除で防げるのは便器や小便器の中までで、便器から先の汚水管の内側には届きません。詰まりやにおいが同じ場所で繰り返す建物では、管の中に原因があることが多いため、設備で付きにくくする方法をあわせて検討します。
尿石は落としても、しばらくすると同じ場所に戻ってきます。掃除で防げる範囲には限りがあり、届かない場所があるからです。掃除で遅らせられる範囲と、掃除の届かない場所で尿石を付きにくくする方法を、分けて説明します。
予防の方法は2つに分かれます
ご存じのとおり、尿石は尿の中のカルシウムが析出して、器具や管の内側に固着したものです。予防の方法は、器具の表面を手入れする掃除と、流す水の性質を変える設備の2つに分かれます。
掃除でできるのは、表面を乾かさないこと、薄いうちに酸性の洗剤で取ること、流し残さないことです。これで、結晶が重なって厚くなるまでの期間が延びます。
設備でできるのは、流す水の性質を変えて、結晶が固着しにくい状態にすることです。管の内側にも同じ水が流れるので、掃除の届かない場所にも働きます。どちらか一方を選ぶのではなく、届く範囲の違う2つを組み合わせます。
| 方法 | 届く場所 | 届かない場所 | 続けるのに要るもの |
|---|---|---|---|
| 拭き取り | 便器の外側、便座、床、手洗い器 | 便器の中の水面より下 | 人の時間 |
| 酸性の洗剤を置く | 便器の中、フチ裏、小便器の内側 | 排水口の奥、その先の管 | 薬剤と作業の時間 |
| 尿石防止剤(錠剤・固形) | 水が流れる通り道 | 管の奥まで同じ濃度では届かない | 消耗品の交換 |
| 高圧洗浄・薬品洗浄 | 管の内壁の層 | 次に付く分 | 作業のたびの費用 |
| 流す水の性質を変える設備 | 給水がつながる範囲の全体 | すでに固着した重い閉塞 | 初回の工事 |
掃除の頻度でどこまで遅くなるか
薄い曇りのうちなら、酸性の洗剤を置いて流すだけで落ちます。この段階で取り続けていれば、削らなければ落ちない厚みまでは育ちません。
掃除の回数を増やせば、厚くなるまでの期間も延びます。かけた手間に応じて結果が出るので、計画を立てやすい方法です。
限界は2つあります。器具の数が増えると人の時間が足りなくなること、そして便器の中の水面より下と排水口の奥には、ブラシも洗剤も届きにくいことです。
流す水量の影響
洗浄の水量が減ると、便器の中は節水になりますが、その先の汚水管では流れが弱くなります。流れが弱いと固形分が管の底に留まり、留まった固形分が核になって、そこから層が広がります。
メーカーの資料にも、最近のトイレは節水型が多く、汚水管の中での流れが悪くなって尿石による閉塞が起きやすくなる、と書かれています。器具を新しくしたのに詰まりとにおいが増える、という逆転はここから起きます。
とはいえ、節水をやめるのは現実的ではありません。水量を戻せる器具なら戻すのも一つですが、建物全体で器具を入れ替えるのは大きな工事です。流れが弱くなったまま、尿石を固着しにくくする方法を考えることになります。
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座って使うことの効果
男性が座って使えば、便器の外や床への飛び散りが減ります。床の目地と便座の裏に付く分は、これで確かに減ります。家庭で試しやすい方法です。
一方で、便器の中と、その先の管に流れる尿の量は変わりません。座っても立っても、尿素とカルシウムは同じ量だけ管を通ります。そのため、便器の中と管の中の尿石は、座って使っても減りません。
床のにおいは減ったのに便器の中は変わらない、という結果はこれで説明がつきます。座って使うことは、床と便座の裏の汚れを減らす方法として続けるのがよいでしょう。
掃除では届かない場所
日常の掃除が届かないのは、排水口の奥、トラップの内側の一部、そして便器から先の汚水管の内壁です。ここは高圧洗浄か薬品洗浄で落とすしかなく、そのたびに費用が出ます。
当然ですが、洗浄は今ある尿石を取り除く作業で、次の尿石を止める働きはありません。洗ったあとも同じ水が同じ管を流れるので、同じ場所にまた付きます。
水流がまったくない環境では、この進み方が極端になります。高層ビルの無水トイレで、水流がないために核ができ、尿石の付着が著しく進んでいた例があります。ふだんの洗浄水が、管の中の尿石をどれだけ抑えていたかが分かる例です。
設備で付きにくくする方法
流す水の性質を変える装置として、当社は emiiR®(エミール)を扱っています。給水管の途中に縦に取り付ける筒で、中の特殊セラミックスが水流で動き、水の性質を物理的に変えて、尿石の結晶が硬く固着しにくい状態にします。
電源も薬剤も消耗品も使いません。可動部品がなく、セラミックスが動きながら互いをこすり合って汚れを落とす構造なので、導入後に交換する部品はありません。保証は10年で、10年後に検査を受けるとさらに10年、最長20年まで延びます。
導入後は、新しく付く尿石が固着しにくくなり、すでに管の内側に付いている層も時間をかけて脆くなって、流れる水で少しずつ剥がれていきます。剥がれきらずに残った分は、これまでどおり清掃で取り除きます。ただし、厚く固着して流れが細くなった管は、取り付けただけでは通りません。先に物理的に取り除いてから導入します。変わるのは清掃の中身ではなく、洗浄が必要になるまでの間隔です。
建物で対策するときの進め方
建物で考えるときは、どこまでを対象にするかを先に決めます。トイレの給水元に付ければその系統だけ、建物の給水元に付ければ給水がつながる範囲の全体が対象になります。戸建てなら水道メーターのそばに1台で宅内全体が入ります。
対象の決め方は、苦情が出ている場所と、建物の配管系統の両方から決まります。配管の系統によっては、大きい口径の1台でいくつものトイレをまとめたほうが総額が下がる場合もあります。
最初にお知らせいただくのは、建物か店舗のお名前とご希望の日時だけです。対象をどこまでにするかは、現地で配管の系統と器具の数を確かめたうえで、お見積もりと一緒にご提案します。お見積もりは無料です。
よくあるご質問
掃除の頻度をどれくらいにすれば、尿石は厚くなりませんか
決まった回数はなく、器具ごとに違います。目安は、薄い曇りのうちに酸性の洗剤で取れているかどうかです。利用者の多い建物では器具ごとに差が出るので、掃除のあと何週間で曇りが戻るかを2回続けて記録し、その周期より早めに掃除を入れてください。
節水型の器具を使っていると、尿石は増えますか
はい。ただし増えやすいのは便器の中ではなく、その先の管です。洗浄の水量が減ると管の中の流れが弱まり、固形分が留まって核になります。器具の性能の問題ではなく、管の中の流れが弱くなったことによるものです。
座って使うようにすれば、便器の中の尿石も減りますか
いいえ。減るのは床と便座の裏に飛び散る分です。便器の中と、その先の管を通る尿の量は変わらないので、そこに付く尿石は減りません。
尿石防止剤を入れておけば、掃除は要らなくなりますか
いいえ、掃除は続けます。防止剤は、溶けた成分が触れる範囲では働きますが、溶けきれば止まり、管の奥まで同じ濃度では届きません。すでに付いた層は掃除で取り除きます。
設備を導入すると、掃除の回数はどう変わりますか
日常の掃除はなくなりません。変わるのは、削らなければ落ちない厚みまで育つ期間と、高圧洗浄や薬品洗浄を呼ぶまでの間隔です。どこまで延びるかは建物ごとに違うので、器具ごとに洗浄の日付を記録して追っていきます。
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