この記事の結論
トイレで「石灰化」と呼ばれる白い固まりには、尿から出た尿石と、水道水から出た水垢の2つがあります。どちらもカルシウムの化合物で、酸性の洗剤で緩みます。
見分ける目安は、においと付いている場所です。アンモニアのにおいがあり、便器の中やフチ裏に付いていれば尿石、においがなく、手洗い器の縁や蛇口の根元など水が乾く場所にあれば水垢です。
便器や手洗い器に付いた白い固まりを「石灰化」で調べると、尿石の話と水垢の話が混ざって出てきます。どちらなのかによって、落としたあとに出なくする方法が変わります。見分け方と、それぞれの落とし方を並べて説明します。
石灰化と呼ばれているもの
便器や手洗い器に白く固まったものを見て、石灰化という言い方をされることがあります。実際に固まっているのはカルシウムの化合物なので、言葉としては外れていません。
ただ、同じ白い固まりの中に、出どころの違う2つが混ざっています。一つは尿から出たもので、これが尿石です。もう一つは水道水に溶けていたカルシウムが、水が蒸発したあとに残ったもので、これが水垢です。
両方ともカルシウムなので、落とすのはどちらも酸です。それでも見分けておくのは、出る場所と、出なくするための方法が違うからです。
尿石と水垢の違い
尿石は、尿に含まれる尿素が細菌の酵素(ウレアーゼ)で分解されてアンモニアになり、pHが上がったところで、尿の中のカルシウムが炭酸カルシウムやリン酸カルシウムとして析出したものです。アンモニアができる反応から生まれるので、厚くなるとにおいを伴います。
水垢は、水道水に溶けていたカルシウムやマグネシウムが、水が乾いたあとに残ったものです。においはしません。水がかかって乾く場所、つまり手洗い器の縁、蛇口の根元、タンクの中の水面のあたりに出ます。
見分けるときは、まずにおいを確かめます。においがあれば尿石が混ざっています。においがなく、水の乾く場所にだけ白いものがあるなら、水垢です。
| 見るところ | 尿石 | 水垢 |
|---|---|---|
| 出どころ | 尿の中のカルシウム | 水道水に溶けていたカルシウム |
| できかた | 尿素がアンモニアに変わってpHが上がり析出する | 水が蒸発して残る |
| におい | アンモニアのにおいが伴う | しない |
| 出る場所 | 便器の中、フチ裏、小便器、その先の汚水管 | 手洗い器の縁、蛇口の根元、タンクの中の水面 |
| 色 | 白から黄、茶色に濃くなる | 白く曇る |
| 緩める洗剤 | 酸性 | 酸性 |
白いものと黄色いもの
色の違いは、年数と混ざりものの差です。できたばかりの尿石は白く、薄い層のうちは水垢と見分けがつきません。時間がたつと、尿の色素やほかの汚れを抱え込んで黄色くなり、さらに古くなると茶色く硬くなります。
水垢は基本的に白いままです。茶色くなっている場合は、鉄分が混ざっているか、上に別の汚れが乗っています。
厚みも手がかりです。水垢は乾くたびに薄く重なるので、なでると段差がほとんどありません。尿石は表面がざらついていて次の結晶が引っかかるため、輪や盛り上がりの形で厚くなります。
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それぞれの落とし方と洗剤
どちらも酸性の洗剤かクエン酸で緩みます。違うのは置き方です。水垢は薄く広く付くので、面全体に液を行き渡らせます。尿石は局所に厚く付くので、その場所に貼り付けて留めます。
塩素系の洗剤では、どちらも落ちません。色が少し薄くなることはありますが、カルシウムの層は残ります。色が薄くなってもなでてざらつくなら、酸性の洗剤に切り替えてください。
酸と塩素系を一緒に使うことはできません。続けて使うときは、あいだに水をたっぷり流して器の中と床を洗い流してから次に進みます。
両方が重なっているとき
実際の便器では、重なっていることがよくあります。タンクの中で水垢が付き、便器の中で尿石が育っている、という形です。手洗い器は水垢、フチ裏は尿石、というように場所で分かれていることもあります。
重なっている場合は、下の層から考えます。上に乗っているものを取っただけでは下の層が残り、そこから早いうちに元に戻ります。1回で終わらせようとせず、酸を2回に分けて置くほうが確実です。
見分けておくと、出なくする方法を選べます。水垢だけなら、乾く前に拭き取る習慣でほとんど出なくなります。尿石が混ざっているなら、拭き取りでは届かない便器の奥や、その先の管まで含めて考える必要があります。
水の硬さが関係する場合
水垢の出やすさは、水道水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で変わります。硬めの水が来ている地域では、手洗い器や蛇口の白い曇りが早く出ます。お住まいの地域の水質は、水道事業者が公表している水質試験の結果で確かめられます。
尿石の出やすさは、水の硬さより、利用の回数と洗浄の水の流れ方に左右されます。利用者が多く、洗浄の水量が少ない器具では、管の中の流れが弱くなって固形分が留まり、そこが核になります。
どちらも、乾かさない、留めないという方向で減ります。器具の数が多い建物で、拭き取りと洗浄だけでは追いつかなくなったときは、流す水の性質を変えて固着しにくくする方法もあります。当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管の途中に取り付ける筒で、電源も薬剤も使わずに、カルシウムが硬く固着しにくい状態をつくります。
よくあるご質問
石灰化という言い方は間違っていますか
いいえ、間違っていません。固まっているのはカルシウムの化合物なので、内容とは合っています。ただし尿から出たものと水道水から出たものが同じ言葉に入っているので、落とし方や対策を決めるときは分けて考えたほうが早く片づきます。
においがしない白い固まりは、尿石ではないのですか
尿石とは限りません。できたばかりの薄い尿石はにおいがほとんどしませんが、厚くなってもアンモニアのにおいが出ていないのであれば、水がかかって乾く場所にできた水垢の可能性が高いです。出ている場所で判断してください。
タンクの中の白いものは、どちらですか
多くは水垢です。タンクの中には水道水が溜まっていて、水面のあたりに乾いた跡が残ります。鉄分が混ざって茶色くなっている場合もあります。便器の中に出ている黄色い層とは、別のものとして扱ってください。
水が硬い地域では、掃除を増やすしかないのですか
いいえ、ほかの方法もあります。拭き取りの回数を増やせば見た目は保てますが、器具の数が多い建物で人手が足りないと、乾く前に拭く習慣そのものが続きません。その場合は、給水管に取り付ける装置で水の性質を変え、カルシウムを固着しにくくする方法を検討します。
両方あるとき、どちらを先に落としますか
場所で分けます。手洗い器や蛇口は水垢として面全体に酸を行き渡らせ、便器の中とフチ裏は尿石として貼り付けて留めます。同じ器具で重なっているときは、酸を2回に分けて置き、下の層まで緩めてください。
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