器具の処理で人手を食っているのは、滅菌器に入れる前の予備洗浄とつけ置き、それに洗浄機の手入れです。ここは、洗う前の水の性質で手間が変わる工程です。
滅菌と記録の工程はそのまま残し、洗う前の水を変えて前工程を軽くするのが、人を増やさずに処理を回す現実的な順番です。
器具の洗浄と滅菌に人手と時間がかかり、スタッフの採用も思うように進まない歯科クリニックの院長先生に向けて、見直せる工程を水の側から整理しました。
手間がかかっているのは、洗う前の段取り
器具の処理は、使い終わった器具の回収、予備洗浄とつけ置き、洗浄機、乾燥、包装、滅菌、記録と続きます。このうち、機械が受け持つのは洗浄機と滅菌器の中の時間です。人の手がかかるのは、その前後です。
とくに時間を取られるのが、洗浄機や滅菌器に入れる前に汚れを浮かせて落とす段取りです。つけ置きの時間を待ち、細かい部分をブラシでこすり、すすぐ。ここは器具の数に比例して増えるので、患者さんが多い日ほど、診療のあとに片づけが長引きます。
人を増やして回す方法は、採用が進まない時期には取りにくい手です。そこで、同じ人数で回るように、手間そのものを小さくできる工程を探すことになります。
洗浄機のなかに溜まるもの
器具を洗う機械の中には、使い続けるうちに白く固い層が付いていきます。水に含まれる成分が熱で固まったスケールです。ヒーターのまわり、水位を見るフロートスイッチ、水の入り口など、熱と水が当たり続ける場所に集まります。
スケールが付くと、手入れの時間が増えます。付いた層を落とすための洗浄剤、落とす作業、機械を止める時間。機械の不調の相談の多くは、こうした付着から始まります。
熱水を使う工程で起きていること
水に溶けている成分は、温度が上がると固まって出てきやすくなります。熱水で洗う工程は、器具の汚れを落とすには向いていても、機械の側には付着の条件をつくり続けています。
医療器具洗浄機のメーカーでの事例では、ウルトラファインバブル水を使ったところ、熱水を使う洗浄工程でヒーターのまわりとフロートスイッチに付いていたスケールが軟らかくなり、指で押す程度で取れるようになりました。再び付くペースも緩やかになっています。手入れの作業が、削り落とすことから拭き取ることに変わった、という変化です。
洗う前の水を変えると、どこが変わるか
ウルトラファインバブルは、直径1マイクロメートル未満のマイナスに帯電した泡です。疎水性の汚れに吸着して付着力を弱め、水流で剥がれやすくします。国内大手の厨房機器メーカーのラボで行われた洗浄力の比較テストでは、つけ置き洗いで特に差がはっきり出ています。
当社が扱う UFB DUAL® は水道の元栓に取り付けるので、器具洗浄のシンク、つけ置きの水、洗浄機への給水がまとめてこの水になります。減水率は約5%で、水圧と水量はほぼそのまま。いまの洗浄の手順を変えずに使えます。変わるのは、つけ置きのあとに手でこする回数と、洗浄機を手入れする間隔です。
これまでどおり続ける工程(洗浄・滅菌・記録)
歯科初診料の施設基準は、その最初の項目で、口腔内で使う歯科医療機器等について「患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する」ことを挙げています(厚生労働省 保医発0305第7号 別添1 第2の7)。水の側で変わるのは洗う前の手間で、この洗浄と滅菌の工程と、その記録はそのまま続けます。
ウルトラファインバブルの働きは、汚れを剥がれやすくする物理的なものです。滅菌の代わりにはならず、滅菌器の工程を短くするものでもありません。軽くなるのは、滅菌器に入れる前の段取りです。
外注と院内の分かれ目
器具の滅菌は、院内の滅菌器で行うほかに、外部の業者に任せる形もあります。施設基準の届出の様式にも、その選択肢が並んでいます。
外注を選んでも、院内に水回りは残ります。返却する前の一次処理、ユニットの水、手洗い、清掃。どちらを選ぶかは、器具の量、置き場所、スタッフの人数で決まります。10年で並べて比べる見方は、次の記事にまとめました。
スタッフの作業が何分単位で変わるか、院内での見方
変化は、院内で測るのがいちばん確かです。設置の前に、1トレーあたりの予備洗浄とつけ置きにかかる時間を、同じ担当者が3日ほど測っておきます。設置後、数か月たったところで同じ条件でもう一度測ります。
洗浄機は、手入れをした日付と、そのときに付着を落とすのにかかった時間を記録します。手入れの間隔が延びたか、1回あたりの時間が縮んだか。この2つの数字がそろえば、器具の処理にかかる人手を院内の言葉で説明できます。
よくあるご質問
ウルトラファインバブル水で滅菌の工程は短くなりますか
滅菌器の工程と記録はそのまま続けます。軽くなるのは、滅菌器に入れる前の予備洗浄とつけ置き、洗浄機の手入れです。
洗浄機のスケールは付かなくなりますか
医療器具洗浄機のメーカーでの事例では、スケールが軟らかくなって指で押す程度で取れるようになり、再び付くペースも緩やかになりました。手入れの間隔と時間を院内で記録して確かめます。
洗剤や洗浄の手順は変えますか
いまの手順のまま使えます。減水率は約5%で、水圧も水量もほぼ変わりません。
器具洗浄のシンクだけに付けられますか
エリアを限定して付けることもできます。元栓に付ければ、シンク、洗浄機、ユニット、手洗いがまとめて同じ水になります。
費用とランニングコストはいくらですか
本体は20Aが350,000円、25Aが600,000円(税抜)、工事費は5〜8万円です。消耗品と電源がないので、設置したあとに続く費用はありません。
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