レジオネラ症は感染症法の四類感染症で、医師が診断したら直ちに、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出ます。四類であることの根拠は、感染症法の委任を受けた施行令第1条の2第32号です。
医院の水で抑えるのは、レジオネラ対策の基本となる、温床のバイオフィルムです。給水の側で付着を抑え、消毒は消毒剤と専門の管理で行う、という分担で考えます。
レジオネラについて、法令上の扱いと、歯科の給水で何をすればよいのかを整理したい院長先生に向けて、条文と院内の手立てを並べました。
レジオネラ症は、感染症法の四類感染症
感染症法(平成10年法律第114号)第6条第5項第11号は、四類感染症として、すでに知られている感染性の疾病で、動物や飲食物などの物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものを「政令で定めるもの」としています。
この委任を受けて、感染症法施行令(平成10年政令第420号)第1条の2が四類感染症の疾病を並べ、その第32号に「レジオネラ症」が挙がっています。四類であることの根拠は、法律の本文ではなく、この施行令の規定です。
医師が診断したら、直ちに保健所長を経由して届け出る
感染症法第12条第1項は、医師が四類感染症の患者などを診断したときは、「直ちに」その者の氏名、年齢、性別などを、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出ることを定めています(第1号)。すべての患者を届け出る、全数把握の対象です。
届出の義務を負うのは、診断した医師です。医院の水の管理とは別の話ですが、レジオネラ症が法令上どれだけ重く扱われているかを知っておくと、院内の水の手順の意味が伝わりやすくなります。
歯科初診料の施設基準で「レジオネラ」を探すと
院内感染防止対策の施設基準が書かれた通知(厚生労働省 保医発0305第7号、令和8年3月5日)の本文を「レジオネラ」で全文検索すると、該当は0件です。施設基準の6項目と、届出様式の4項目にも、水やレジオネラの欄はありません。
レジオネラを意識した院内の手順は、施設基準の外で組み立てます。よりどころになるのは、ユニットのメーカーの指示と、医院ごとの取り決めです。書き方は親記事の「院内感染対策の書類に、水のことを何と書くか」にまとめています。
くわしいご案内院内感染対策の書類に、水のことを何と書くか|施設基準に水の項目は無い
温床になるもの
給水の中で、レジオネラ属菌を含む微生物のすみかになるのが、配管の壁に付くバイオフィルムです。水が止まり、遊離残留塩素が下がり、流れの遅い壁面があるところから、薄い付着が始まり、少しずつ厚い層に育ちます。
歯科では、休診日や夜間に止まった水と、ユニットの細いチューブがその条件にあたります。層になったものは流しただけでは離れにくく、そこに微生物がとどまり続けることになります。
温床を抑えるという考え方
レジオネラ対策の基本は、温床となるバイオフィルムの抑制です。当社が扱う UFB DUAL® は、水道の元栓に取り付けて、院内の水をウルトラファインバブル水にします。直径1マイクロメートル未満の泡(中心粒径は約150〜200ナノメートル)はマイナスに帯電していて(ゼータ電位の目安は−20〜−40mV)、汚れに吸着して付着力を弱め、水流で剥がれやすくします。再び付くのを抑える働きも期待できます。
これは、薬品で殺菌する装置とは異なる物理的な働きです。殺菌や消毒は、消毒剤と専門の管理を併せて行うことが前提で、給水の側の働きはその手順が受け持つ汚れの量を小さくする役目です。UFB DUAL® は、水利用設備環境衛生協会の推奨品(24-055)です。
「気泡を出す装置は禁止されている」という誤読
レジオネラと泡の話で持ち出されることがあるのが、厚生労働省の「公衆浴場における衛生等管理要領」(生衛発第1,811号)です。要領は、露天風呂、気泡発生装置、ジェット噴射装置など「微小な水粒を発生させる設備」を「気泡発生装置等」と呼び、これらを設けた浴槽や打たせ湯などは、エアロゾルを発生させ、レジオネラ属菌感染の原因ともなりやすいとして、「連日使用している浴槽水を」気泡発生装置等を設置した浴槽で使用しない、としています。
要領が向けているのは、公衆浴場で、連日使う浴槽水を、水粒を飛ばす設備で使う構造です。泡を出す装置を一律に禁じているわけではありません。歯科は浴槽水を扱わないので、この要領の対象ではありません。UFB DUAL® は給水の元栓に付ける設備で、泡は1マイクロメートル未満と小さく、浮かび上がって水面ではじけることがないので、水粒を飛ばす働きでもありません。
給水側でできること
給水側でできるのは、院内に流れる水そのものを、汚れが付きにくい性質にしておくことです。元栓に1台で、ユニット、うがいのコップ、手洗い、器具洗浄のシンクまで同じ水になり、チェアが増えても装置は増えません。電源も薬剤も使わず、可動部と消耗品がないので、手順と記録を増やしません。
朝の通水、ユニットのメーカーが指示する洗浄と消毒、部品の交換は、これまでどおり続けます。減水率は約5%で、水圧と水量はほぼ変わらないので、その手順はいまのまま使えます。本体は20Aが350,000円、25Aが600,000円(税抜)です。
よくあるご質問
レジオネラ症は何類の感染症ですか
四類感染症です。根拠は、感染症法第6条第5項第11号の委任を受けた感染症法施行令第1条の2第32号です。
レジオネラ症の届出はいつまでにしますか
医師が診断したら直ちに、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出ます(感染症法第12条第1項第1号)。
UFB DUAL® はレジオネラ対策になりますか
レジオネラ対策の基本となる、温床のバイオフィルムの抑制を受け持ちます。殺菌や消毒は、消毒剤と専門の管理を併せて行います。
泡を出す装置は、レジオネラの面で禁止されていませんか
公衆浴場の要領が求めているのは、連日使用している浴槽水を気泡発生装置等のある浴槽で使わないことです。歯科は浴槽水を扱わないので、この要領の対象ではありません。
施設基準にレジオネラの管理は入っていますか
施設基準の通知を全文で検索しても「レジオネラ」は0件です。院内の手順として、メーカーの指示と院内の取り決めで決めます。
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