この記事の結論
朝と休診日明けのフラッシングの長さは、ユニットのメーカーの取扱説明書の指示を基準に、院内の取り決めとして決めます。日本の制度に定められた分数はなく、休診日明けは平常日より流す範囲と長さを増やす形で書きます。
よく見かける「20〜30秒」は、米国の FDA が患者ごとに水と空気のラインを流す時間として示している数字で、朝に止まっていた水を入れ替える長さを示したものではありません。
朝や休診日明けのフラッシングに何分かければよいのか、その数字がどこから来ているのかを確かめたい歯科クリニックの院長先生と衛生士の方に向けて、原文までさかのぼって整理しました。
20〜30秒という数字は、米国 FDA が示しているもの
米国の食品医薬品局(FDA)のページ「Dental Unit Waterlines」は、患者ごとに、水と空気のラインを最低20〜30秒流すよう示しています。ページの最終更新は2018年9月4日で、FDA はこのページで、米国疾病予防管理センター(CDC)の2003年の歯科の感染管理の指針を引いています。
歯科医院のホームページや説明の資料で見かける「20〜30秒」は、この米国の指針にさかのぼる数字です。日本の制度が定めた秒数ではないので、手順書に取り入れるときは出どころを添えておきます。
目的は、治療中に水系に入った患者由来の物質を流し出すこと
FDA の原文は、20〜30秒の通水の目的を、治療中に歯科の水系に入ったかもしれない患者由来の物質を「物理的に流し出す」ためと書いています。患者さんと患者さんのあいだに、ラインの先に残ったものを押し出す手順です。
この目的からすると、20〜30秒は患者ごとの通水の話で、朝いちばんや休診日明けに止まっていた水を入れ替える長さを示したものではありません。数字をそのまま朝の手順に当てはめるのではなく、何のための通水かを分けて考えます。
500 CFU/mL 未満は、米国歯科医師会の推奨として示されている
同じページで FDA は、標準的な培養の方法で、適切な間隔でユニットの水の水質と微生物の汚染を確かめ、細菌数を水1mLあたり500 CFU 未満に保つよう示しています。この数字は、米国歯科医師会(ADA)の推奨として書かれています。
あわせて、ユニットの洗浄と消毒は、メーカーの指示に従って推奨の間隔で行うこと、外科の処置には滅菌水や生理食塩水などの滅菌した灌流液を使うことも示されています。どれも米国の指針で、日本の基準として書かれたものではありません。
日本では、通水の秒数は院内の手順とメーカーの指示で決める
歯科初診料の施設基準が書かれた通知(厚生労働省 保医発0305第7号)を、「煮沸」「水道水」「給水」「ユニットウォーター」で全文検索しても、該当は0件です。施設基準に、通水の秒数を定めた項目はありません。
そのため、日本の医院の通水の長さは、ユニットのメーカーの取扱説明書の指示を基準に、院内の取り決めとして決めます。患者ごとの通水に FDA の20〜30秒を取り入れる医院もあり、その場合は米国の指針にもとづく院内の取り決めとして手順書に書きます。
くわしいご案内歯科の給水配管と休診日明けの水|ユニットの水回りをどう管理するか
休診日明けと、平常日の朝で違うところ
違うのは、水が止まっていた時間の長さです。夜のあいだだけ止まっていた平常日の朝と、連休のあとの朝では、給水配管とチューブの中の水が止まっていた時間が大きく違います。止まっている時間が長いほど、水道水の遊離残留塩素は下がり、給水配管の中は汚れが付きやすい状態になります。
手順書では、平常日の朝と休診日明けを分けて書きます。休診日明けは、ユニットに加えて院内の蛇口も流す、ユニットはメーカーの指示の範囲で長めに流す、といった形で、止まっていた時間に合わせて流す範囲と長さを増やします。
通水が受け持たないところ
通水で入れ替わるのは、管の中にたまっていた水です。壁に定着した層は、流すだけでは離れにくく、通水の時間を延ばしても取れるとは限りません。ユニットのフィルターに受け止められたものも、流しただけではなくなりません。
そこを受け持つのは、ユニットのメーカーが指示するラインの洗浄と消毒、部品の交換です。通水は、こうした手順と組み合わせて使う手順です。
元栓に UFB DUAL® を付けると、朝の手順はどう変わるか
当社が扱う UFB DUAL® を水道の元栓に付けると、院内の水がまとめてウルトラファインバブル水になります。毎日チューブを通る水そのものが、汚れの付着力を弱めて剥がれやすくし、再び付きにくくする性質になるので、通水と通水のあいだに汚れが育つ条件が緩やかになります。
朝の手順の書き方は変わりません。減水率は約5%で、水圧と水量をほぼ保つので、同じ時間流せば同じ量が流れます。ユニットのチューブで、設置のときに約200Lを通したところで内側の汚れが剥がれていった事例がありますが、これは設置のときの話で、毎朝の通水の長さを変える根拠にはしません。
続ける手順
元栓に UFB DUAL® を付けたあとも、次の手順はそのまま続けます。UFB DUAL® の働きは、これらの手順で落とす汚れの量を小さくするものです。
- 患者ごとの通水(院内で決めた秒数)
- 平常日の朝と、休診日明けの通水
- ユニットのメーカーが指示するラインの洗浄と消毒
- チューブやフィルターの交換と、その記録
よくあるご質問
フラッシングは何秒すればよいですか
患者ごとの通水には、米国の FDA が示す最低20〜30秒がよく使われます。日本の施設基準に秒数の定めはないので、ユニットのメーカーの指示を基準に、院内の取り決めとして決めます。
20〜30秒は日本の基準ですか
米国の FDA のページ(最終更新2018年9月4日)が示している数字です。日本の制度で定められた秒数ではありません。
休診日明けは何分流せばよいですか
ユニットのメーカーの指示の範囲で、止まっていた時間に合わせて平常日より長めに流します。定まった分数はないので、院内の蛇口もあわせて流す手順にしておくと安心です。
フラッシングでチューブの汚れは取れますか
いいえ、通水で入れ替わるのは管の中の水で、壁に定着した層は離れにくいままです。洗浄と消毒、部品の交換と組み合わせます。
元栓に UFB DUAL® を付けると、フラッシングは要らなくなりますか
いいえ、通水の手順はそのまま続けます。水圧と水量はほぼ変わらないので、いまと同じ手順で流せます。
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