この記事の結論
受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える建物は水道法の「簡易専用水道」にあたり、ビルの設置者に法に基づく管理と定期の検査が義務づけられています(水道法第3条第7項・施行令第2条・第34条の2)。10㎥以下の受水槽は水道法の対象外で、清掃や検査の決まりは自治体の給水条例と案内によって違います。
どちらの場合も清掃と検査を手配するのはビルの設置者で、テナントの医院は、管理会社さまに清掃と検査の記録を見せてもらう立場です。
受水槽のあるビルに入っている医院の院長先生に向けて、清掃と水質検査の決まりが何を根拠に決まっているのかを、条文から整理しました。
受水槽があるかどうかで、根拠になる決まりが変わる
建物への水の入り方は、大きく2つです。水道管から直接各蛇口へ届く直結の建物と、いったん受水槽に貯めてから配る建物。直結の建物では、蛇口までの水は水道事業者の水がそのまま届きます。
受水槽のある建物では、槽より先の水の管理は建物の側の仕事になります。その管理を何が決めているかは、槽の大きさで分かれます。境目になるのが、有効容量の合計10㎥です。
有効容量の合計が10㎥を超えると、水道法の簡易専用水道
水道法第3条第7項は、水道事業の水だけを水源とする水道を「簡易専用水道」と定め、施設の規模が政令で定める基準以下のものを除いています。その基準を定めているのが水道法施行令第2条で、「水槽の有効容量の合計が十立方メートルであること」とされています。
つまり、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える建物は、全国一律で水道法の簡易専用水道にあたります。容量の数え方の細部は、建物の管理会社さまや自治体の案内で確かめます。
簡易専用水道には、水道法が定期の検査を義務づけている
水道法第34条の2は、簡易専用水道の設置者に2つのことを求めています。第1項は、国土交通省令で定める基準に従って、その水道を管理すること。第2項は、管理について、定期に、地方公共団体の機関または国土交通大臣および環境大臣の登録を受けた者の検査を受けることです。水質の検査に関する事項は、環境省令で定められています。
検査の回数や項目の細かい中身は省令の側にあり、検査を受ける先の機関が案内しています。医院の側で覚えておくのは、10㎥を超える受水槽には法に基づく定期の検査がある、ということです。
10㎥以下は、水道法ではなく水道事業者の給水条例の世界
有効容量の合計が10㎥以下の受水槽は、水道法の簡易専用水道にはあたりません。水道法の外側にある、小さな受水槽の区分です。
水道法第14条第2項第5号は、水道事業者が定める供給規程(給水条例)に、受水槽を使う水道について、水道事業者と設置者それぞれの責任を適正かつ明確に定めることを求めています。そのため、10㎥以下の受水槽の清掃や検査の決まりは、自治体ごとの条例と案内で決まり、全国で同じではありません。
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千葉県が案内している内容
自治体の案内の例として、千葉県の「小規模貯水槽水道(10立方メートル以下)の適正管理について」は、受水槽や高置水槽などを1年に1回定期的に清掃し、水あかや沈殿物が多いときや汚染があったときは随時清掃して消毒するよう案内しています。
あわせて、給水栓の水に異常を感じたときは必要な水質検査を行うこと、日常的に水の色、濁り、臭い、味に注意することも案内されています。これは千葉県の案内で、ほかの自治体では中身が違うことがあります。医院のある自治体の案内を確かめてください。
レジオネラは検査の項目に入るのか
簡易専用水道の検査の項目は、省令と、検査を行う機関の案内で決まっています。レジオネラ属菌を調べるかどうかも含めて、項目の一覧は検査を依頼する機関に確かめるのが確実です。
レジオネラ症そのものの法令上の扱いは、感染症法の四類感染症で、医師が診断したら直ちに届け出るものです。医院の水で何を抑えるのかとあわせて、「レジオネラ症は四類感染症」の記事にまとめています。
テナントとオーナーのどちらがやるのか
水道法第34条の2が管理と検査を求めているのは、簡易専用水道の設置者です。受水槽はビルの設備なので、テナントとして入っている医院が自分で清掃や検査を手配することは、ふつうはありません。
医院の側でできるのは、管理会社さまに、受水槽の清掃と検査の記録を見せてもらうことです。いつ清掃したか、検査の結果はどうだったか、次はいつかを確かめ、院内の水の記録と一緒に控えておくと、患者さんや保健所に聞かれたときにも答えられます。槽から先の、院内の配管とユニットの水の管理は、医院の手順として続けます。
工事のとき、ほかのテナントは断水しない
当社が扱う UFB DUAL® を、受水槽のある建物に入れる場合は、水道メーターと受水槽のあいだに取り付けます。工事のあいだも、槽に貯まっている水がビルの各テナントに配られ続けるので、医院もほかのテナントも蛇口の水は止まりません。受水槽方式の建物の工事は、3時間程度が目安です。
UFB DUAL® は、飲用適水テスト、耐圧テスト(1.75MPa)、浸出テストをクリアした製品です。受水槽の手前に入れればビル全体の水が変わるので、オーナーさまや管理会社さまとのご相談が先になります。本体の価格は口径で決まり、20Aなら350,000円、25Aなら600,000円(税抜)です。
よくあるご質問
医院の入っているビルの受水槽は、検査が義務ですか
有効容量の合計が10㎥を超えるなら水道法の簡易専用水道で、設置者に定期の検査が義務づけられています。10㎥以下なら、自治体の給水条例と案内で決まります。
受水槽の清掃は、テナントの医院がするのですか
受水槽はビルの設備で、管理と検査を求められているのは設置者です。医院は、管理会社さまに清掃と検査の記録を見せてもらう立場です。
清掃や検査の回数は決まっていますか
10㎥を超える受水槽は省令に基づく定期の検査があり、回数と項目は検査を行う機関が案内しています。10㎥以下は自治体ごとで、千葉県は年1回の清掃を案内しています。
レジオネラの検査は含まれますか
検査の項目は、省令と検査を行う機関の案内で決まっています。含まれるかどうかは、依頼する機関に確かめるのが確実です。
元栓の設備の工事で、ほかのテナントは断水しますか
いいえ、断水しません。水道メーターと受水槽のあいだに取り付けるので、工事のあいだも槽の水が配られ、どのテナントも蛇口の水は止まりません。
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