この記事の結論
院内感染防止対策の施設基準を届け出ていない保険医療機関も、歯科初診料と再診料は算定できます。点数が下がり、初診料は272点が245点に、再診料は59点が45点になります(令和8年度改定後)。
1点は10円なので、差は初診1件あたり270円、再診1件あたり140円です。施設基準の中身は6項目、届出様式の記入項目は4つで、届出に実績は要りません。
院内感染防止対策の施設基準の届出について、点数との関係と届出の中身を原文で確かめたい歯科医院の院長先生に向けて、告示と通知の該当箇所を並べました。
届出がないと、点数が272点から245点になる
令和8年度の歯科診療報酬点数表(告示)で、歯科初診料は272点です。注1には、施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関で算定するとあり、続けて「当該届出を行っていない保険医療機関については、245点を算定する」と書かれています。歯科再診料も同じ形で、59点に対し、届出を行っていない場合は45点です。
つまり、届出がないと算定できなくなるわけではなく、低い点数で算定することになります。通知(別添2)も、届出を行っていない保険医療機関は「注1」の後段に規定する初診料・再診料を算定する、と説明しています。
| 区分 | 届出あり | 届出なし | 1件あたりの差 |
|---|---|---|---|
| 歯科初診料 | 272点 | 245点 | 27点(270円) |
| 歯科再診料 | 59点 | 45点 | 14点(140円) |
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定「歯科診療報酬点数表」(告示)別表第二 A000・A002 注1。1点10円。
1か月ではいくらの差になるか
差額は件数を掛けると見えてきます。計算の式は、初診の件数 × 270円 + 再診の件数 × 140円です。
たとえば、1か月に初診が50件、再診が600件の医院なら、50 × 270円 + 600 × 140円 で、1か月97,500円の差になります。ご自身の医院の件数を入れると、1年でどれだけの差になるかが出せます。この金額は、患者さんの負担分と保険者の支払い分を合わせたものです。
施設基準は6項目。中身は滅菌と研修と掲示
施設基準の中身は、厚生労働省 保医発0305第7号(令和8年3月5日)の別添1 第2の7に、6項目で書かれています。
- 口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等、十分な院内感染防止対策を講じていること
- 感染症患者に対する歯科診療を円滑に実施する体制を確保していること
- 院内感染防止対策の研修を4年に1回以上、定期的に受講している常勤の歯科医師が1名以上配置されていること(受講を確認できるものを保管)
- 職員を対象とした院内感染防止対策の院内研修等を実施していること
- 院内の見やすい場所に、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示を行っていること
- その掲示事項を、原則としてウェブサイトに掲載していること
届出様式に書く4項目
届出には、別添7の様式2の6を使います。記入する項目は、滅菌の体制、1日平均患者数、保有する機器、常勤歯科医師の研修の受講歴の4つです。
滅菌の体制は、診療室内に設置した滅菌器を使うか、中央滅菌部門(病院に限る)か、外部の業者に任せるかを選び、滅菌器を使う場合は、医療機器届出番号、製品名、製造販売業者名、1日の使用回数を書きます。機器は、歯科用ハンドピースと歯科用ユニットの保有数です。研修は、4年以内に受講したものについて、受講者名、研修名、受講年月日、主催者を書きます。
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届出に実績は要らない
通知には、この施設基準に係る届出について「当該届出については実績を要しない」と書かれています。開業したばかりの医院でも、施設基準の6項目を満たしていれば、実績を積まずに届け出ることができます。
届出の窓口は地方厚生局です。様式の最新版と提出の方法は、管轄の地方厚生局の案内で確かめます。
令和8年度の改定で、研修の内容が変わった
令和8年度の改定(令和8年6月1日施行)で、常勤の歯科医師が受講する研修と、職員の院内研修の内容は、標準予防策と新興感染症に対する対策(抗菌薬の適正使用を含む)と書かれています。届出様式の研修の欄も、この内容の研修について受講歴を書く形です。
研修は4年に1回以上で、受講を確認できるものを保管しておくことも施設基準に含まれています。修了証を、届出の控えと一緒に綴じておくと、確かめるときに迷いません。
歯科外来診療感染対策加算は、別の施設基準
院内感染対策に関わる点数には、歯科外来診療感染対策加算もあります。これは通知の第4の2に書かれた別の施設基準で、初診料・再診料の注1の施設基準とは区別して扱います。
ただし両者はつながっていて、加算1の要件のイは「歯科点数表の初診料の注1に係る施設基準の届出を行っていること」です。加算を届け出るには、まず初診料の注1の届出が前提になります。加算の細かい要件は、通知の第4の2で確かめます。
水の管理は、施設基準とは別の手順で決める
施設基準の6項目と届出様式の4項目には、水の管理が入っていません。通知を「煮沸」「水道水」「給水」「ユニットウォーター」「貯水槽」「レジオネラ」で全文検索しても、該当は0件です。
院内の水の手順は、ユニットのメーカーの指示と院内の取り決めを根拠に、院内の手順書で決めます。書き方は、別の記事「院内感染対策の書類に、水のことを何と書くか」にまとめました。
よくあるご質問
施設基準の届出をしていないと、初診料は算定できませんか
算定できます。届出がない場合は低い点数になり、初診料は272点が245点、再診料は59点が45点です(令和8年度改定後)。
届出の有無で、1件あたりいくら違いますか
1点10円なので、初診1件あたり270円、再診1件あたり140円です。件数を掛けると、1か月や1年の差が出ます。
開業したばかりでも届け出られますか
通知に「当該届出については実績を要しない」とあるので、施設基準を満たしていれば実績なしで届け出られます。
届出様式には何を書きますか
滅菌の体制、1日平均患者数、歯科用ハンドピースと歯科用ユニットの保有数、常勤歯科医師の4年以内の研修の受講歴の4つです。
水の管理は施設基準に入っていますか
入っていません。水の手順は、ユニットのメーカーの指示と院内の取り決めを根拠に、院内の手順書で決めます。
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