国が示している医療法の立入検査要綱と、名古屋市が公開している無床診療所(医科・歯科)向けの点検表の2つを開いて数えたところ、飲料水や水質、受水槽を見る項目はどちらにもありませんでした。
立入の中身は自治体ごとに決まるので、見るべきは自分の自治体が公開している要領と点検表です。見られるかどうかに関わらず、朝の通水と記録は院内の手順として続くので、その手順を軽くしておくことが準備になります。
保健所の立入検査を控えて、水について何を聞かれるのか、何を準備すればよいのかを知りたい歯科医院の院長先生に向けて、国と市の資料を実際に数えた結果を並べました。
国の立入検査要綱で「水」が出てくるのは25か所
国の立入検査要綱は、厚生労働省医政局長の通知(医政発0627第7号、令和7年6月27日)の別添「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」です。この要綱の本文を抜き出した全文で「飲料水」を検索すると、0件です。
「水」の1字で探すと25か所が見つかりますが、飲み水や給水の管理を見る項目ではありません。どんな水なのかは、次の節で分けています。
25か所の「水」は、放射線の排水設備と建物の構造の話
25か所の内訳は、放射線を扱う設備の排水設備・排水口・排液、建物の構造基準にある耐水材料と水洗便所、それに眼の水晶体です。どれも、放射線の管理や建物の造りに関わる言葉として出てきます。
飲料水、水質検査、受水槽、残留塩素といった、院内の給水を見る項目は1件もありません。国の要綱の範囲では、水の管理を立入で確かめる項目は示されていない、ということになります。
立入検査要綱は、技術的助言として示されている
この通知には、「本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的な助言であることを申し添える」と書かれています。国が自治体に対して示す目安であり、実際の立入の進め方と見る項目は、自治体がそれぞれの要領で決めます。
そのため、国の要綱に水の項目がないことは、どの自治体の立入でも水を見ないことを意味しません。答えは、自分の医院がある自治体の要領にあります。
名古屋市の無床診療所(医科・歯科)向けの点検表で数えたこと
自治体の例として、名古屋市が「医療機関への立入検査」のページで公開している、無床診療所(医科・歯科)向けの「医療安全管理チェックリスト(令和8年度)」を開きました。Excel 版の調査項目の文字列643件を、「水」「給水」「貯水槽」「飲料」「水質」「レジオネラ」「煮沸」で検索したところ、該当は0件でした。
数えたのは、国の要綱1本と名古屋市の点検表1本の、2つの資料です。ほかの自治体の要領と点検表は開いていないので、全国の立入の運用がこうだと言えるものではありません。数えた範囲がこの2つだということを踏まえて、次の節の確かめ方につなげてください。
くわしいご案内院内感染対策の書類に、水のことを何と書くか|施設基準に水の項目は無い
要綱の本文は、病院を対象にした記述が中心
国の要綱の本文で語の数を数えると、「病院」が427件、「診療所」が36件でした。記述の中心は病院で、診療所に触れる箇所は限られています。
無床の歯科診療所が、どの頻度で、どの項目の立入を受けるのかは、この要綱だけでは読み取れません。自治体の要領と、保健所からの案内で確かめるのが確実です。
見るべきは、自分の自治体が公開している要領と点検表
自治体によっては、医療機関への立入検査のページで、要領や点検表、事前に提出する書類を公開しています。名古屋市のように、診療所の種類ごとに点検表を分けているところもあります。
確かめる順番は、自治体のページで要領と点検表を開く、水や給水に関わる項目があるかを見る、あればその項目に沿って記録を用意する、の3段です。項目がなくても、院内の手順として水の記録を持っておくと、聞かれたときにそのまま見せられます。
見られるかどうかと関係なく、朝の手順は続く
立入の項目に水がなくても、院内の水の管理はなくなりません。休診日明けや朝いちばんの水は、止まっていた時間に遊離残留塩素が下がり、ユニットの細いチューブの壁に汚れが付きやすくなります。朝の通水、ユニットのメーカーが指示する洗浄と消毒、部品の交換は、患者さんのために続ける手順です。
立入の準備として水の記録を整えるのではなく、ふだんの記録がそのまま立入の資料にもなる、という形にしておくのが、手間の少ないやり方です。
手順を軽くしておく
続く手順は、軽くしておくほど続けやすくなります。当社が扱う UFB DUAL® は、水道の元栓に取り付けて、院内の水をまとめてウルトラファインバブル水にする設備です。汚れの付着力を弱めて剥がれやすくし、再び付きにくくするので、朝の通水や洗浄の手順が受け持つ汚れの量が小さくなります。
可動部と消耗品がないので、点検や部品交換の記録は増えません。減水率は約5%で、水圧と水量をほぼ保つので、朝の通水もいまと同じ手順のまま続けられます。本体は20Aが350,000円、25Aが600,000円(税抜)です。
よくあるご質問
保健所の立入検査で、水の管理は見られますか
国の要綱と名古屋市の無床診療所向けの点検表には、水の項目はありませんでした。立入の中身は自治体ごとに決まるので、自分の自治体の要領と点検表で確かめます。
歯科診療所にも定期の立入検査はありますか
国の要綱は病院を対象にした記述が中心で、無床の歯科診療所の頻度までは読み取れません。自治体の要領と保健所の案内で確かめてください。
立入検査の前に、水について何を準備すればよいですか
自治体の点検表に水の項目があれば、それに沿って記録を用意します。項目がなくても、朝の通水や部品交換の記録をふだんから残しておけば、そのまま見せられます。
立入検査要綱は、守らなければならない決まりですか
国の通知は、地方自治法による技術的な助言として示されています。実際の立入の進め方は、自治体がそれぞれの要領で決めます。
元栓に設備を入れると、記録は増えますか
増えません。UFB DUAL® は可動部と消耗品がないので、点検や交換の記録は要りません。
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