断水と濁水のとき、診療をどうするか|水道法にあるのは給水の緊急停止

断水と濁水のとき、診療をどうするか|水道法にあるのは給水の緊急停止
この記事の結論

断水や濁水のときの判断は、水道事業者と保健所の案内に従います。水道法が定めているのは、健康を害するおそれがあるときの給水の緊急停止と、その水を使うことが危険である旨の周知です(水道法第23条)。

復旧したあとは、自治体の案内のとおり、濁りが消えて透明になるまで院内の蛇口を流してから使います。止まったときに誰が何をするか、復旧後にどこを流すかを、先に紙にしておくのが準備の要です。

断水や濁った水に出くわしたとき、診療をどう止め、どう再開するかを決めておきたい歯科クリニックの院長先生とスタッフの方に向けて、法令と自治体の案内を並べました。

目次

水道法が定めているのは、給水の緊急停止と、危険である旨の周知

水道法第23条は、水道事業者は、供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、「直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない」と定めています。第2項では、そのおそれを知った者に、水道事業者への通報を求めています。

つまり、水が危ないときに法令が用意している動きは、水道事業者が水を止め、知らせることです。医院の側は、その知らせを受け取れるようにしておき、知らせに従って動くことになります。

「煮沸してから使う」という定めは、日本の水道法制に見つからない

国土交通省の「飲料水健康危機管理実施要領」(令和6年4月1日制定、令和7年4月1日一部改定)の本文を全文で検索しても、「煮沸」は出てきません。検索で見かける「煮沸勧告」は、主に米国で言う boil water advisory のことで、日本の水道法制には同じ名前の制度が見当たりません。日本の医院の手順は、水道法の給水の緊急停止と、自治体の案内を前提に組み立てます。

自治体の案内は「透明になるまで流してから使う」

断水が明けたあとや、水が濁ったときの自治体の案内は、濁った水は飲用に使わず、透明になるまで流してから使う、という形が中心です。蒲郡市や新潟市などが、この形で案内しています。

断水のあとに水が濁るのは、止まっていた配管に水が戻るときに、管の中にたまっていたものが一緒に流れてくるためです。蛇口を開けてしばらく流し、色が消えてから使う、という順番が、医院でもそのまま手順になります。

煮沸は、臭気を低減する話として案内されている

京都市上下水道局の「水道なんでもQ&A」では、煮沸は、水道水のにおいを減らす方法として案内されています。「沸騰した後、蓋をとって5〜6分間煮沸すると、臭気を低減することができます」とあり、あわせて「一度沸騰させた水道水は消毒効果がなくなるので、お早めに御使用ください」と書かれています。

煮沸すれば何でも使える、という扱いではないことが、この案内から読み取れます。医院の手順では、濁りやにおいがあるときは使わずに流す、使えるかどうかは水道事業者の案内で確かめる、という順番にしておきます。

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水が止まったときに、院内の取り決めで決めておくこと

水が止まったり濁ったりしたときに迷わないように、院内で次のことを決めておきます。どれも、その場で考えると時間がかかることです。

  • 案内を確かめる先:水道事業者の広報、自治体のページ、ビルの管理会社さま
  • 判断する人:院長が不在のときに誰が決めるか
  • 止める処置:ユニットの注水やコップ給水を使う処置を、いつから止めるか
  • 患者さんへの連絡:予約の振り替えと、来院中の方へのご説明
  • 手洗いの代わり:水が使えないあいだの手指の衛生をどうするか

復旧したあとに流す範囲

復旧の知らせが出たら、院内の蛇口を1つずつ開けて、透明になるまで流します。建物の入り口に近い蛇口から始め、奥へ順に流していくと、配管の中の濁りが早く抜けます。

ユニットは、メーカーの取扱説明書の指示に従って、注水とコップ給水を流してから使います。フィルターの付いたユニットは、濁った水を受け止めたあとなので、色の変わり方を確かめ、メーカーの目安に照らして交換を考えます。受水槽を備えたビルは、槽に濁った水が入っていることがあるので、管理会社さまの案内を待ってから流します。

元栓の設備は、復旧後の操作が要らない

当社が扱う UFB DUAL® は、水道の水圧だけで泡をつくる設備で、電源も動力も薬剤も使いません。可動部と消耗品がないので、断水のあとに電源を入れ直したり、設定を戻したりする操作はありません。水が戻れば、そのまま水と一緒に働きます。

減水率は約5%で、水圧と水量をほぼ保つので、復旧後に院内の蛇口を流すときも、いつもと同じ勢いで流せます。断水や濁水のときの判断と手順は、設備の有無に関わらず、水道事業者と保健所の案内に従います。

手順を先に紙にしておく

断水や濁水は、起きたときに院長が院内にいるとは限りません。上の決めごとを1枚の紙にまとめ、受付と診療室の両方に置いておくと、誰がその場にいても同じ動きができます。

紙には、案内を確かめる先の連絡先、止める処置、患者さんへの伝え方、復旧後に流す順番、記録する欄を載せます。起きた日時、止めたこと、復旧後に流した範囲を記録しておくと、次に起きたときの手順の見直しにも使えます。

よくあるご質問

断水のとき、診療はどうすればよいですか

ユニットの注水やコップ給水を使う処置は止め、水道事業者と保健所の案内を確かめます。予約の振り替えと、来院中の患者さんへのご説明の担当を、先に決めておきます。

水が濁っているときは使えますか

自治体の案内は、濁った水は飲用に使わず、透明になるまで流してから使う、という形です。ユニットも同じ順番で、メーカーの指示に従って流してから使います。

煮沸すれば使えますか

京都市の案内では、煮沸は水道水のにおいを減らす方法として紹介され、一度沸騰させた水道水は消毒効果がなくなるとも書かれています。使えるかどうかは、水道事業者の案内で確かめます。

受水槽を備えたビルは、何に気をつけますか

槽に濁った水が入っていることがあるので、管理会社さまの案内を待ってから院内の蛇口を流します。

元栓の設備は、断水のあとに何か操作が要りますか

UFB DUAL® は電源も可動部もないので、断水のあとに操作することはありません。水が戻れば、そのまま水と一緒に働きます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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