この記事の結論
ボイラーの伝熱面にスケールが1mm付くと、熱を通しにくい層が鋼の表面を覆い、同じ量の蒸気をつくるのに多くの燃料が要るようになり、管の局所的な過熱の原因にもなります。燃料がどれだけ増えるかは成分と厚さで変わるので、同じ負荷での排ガス温度と、燃料の使用量を蒸気の量で割った値を記録して、自社の数字を持つのが確かです。
スケール対策は、軟水器・薬注・RO膜・ブロー管理といったボイラーの給水処理の仕事です。上水の元栓に付ける UFB DUAL® は、缶内のスケール対策には使いません。茹で湯を入れ替える回数を見直し、沸かし直す蒸気の量そのものを減らす側で燃料費に関わります。
ボイラーの燃費が落ちてきたと言われ、スケールの対策と燃料費を同時に考えている食品工場の設備保全のご担当者さま向けに、何がどの領域の仕事かを線を引いて整理しました。
スケールが付くと、熱がどう伝わらなくなるか
スケールは、水に溶けていたカルシウムやマグネシウム、シリカなどが、加熱された面に析出して固まったものです。ボイラーでは、燃焼ガスの熱を水へ渡す伝熱面に付きます。
スケールは鋼に比べて熱を通しにくい層です。同じ量の蒸気をつくるには、燃焼側の温度を上げて熱を押し込むことになり、使われなかった熱が排ガスの温度として煙突から出ていきます。管の金属は高い温度にさらされ、局所的な過熱や膨らみの原因にもなります。
1mmで燃費がどれだけ落ちるかは、成分と厚さの測り方で変わる
スケールの熱の通しにくさは、成分によって大きく違います。炭酸カルシウムが主の硬いスケールと、シリカを多く含むスケールでは、同じ1mmでも熱の妨げ方が変わります。厚さも面の場所ごとにむらがあります。
そのため、一般論の数字を当てはめるより、自社のボイラーで変化を追うほうが判断に使えます。見るのは、同じ負荷での排ガス温度の上がり方と、燃料の使用量を蒸気の量で割った値の推移です。この2つが同時に悪くなっていれば、伝熱面を疑う材料になります。
ボイラー給水の処理は、軟水器と薬注の領域です
ボイラーに入る水は、上水をそのまま使うのではなく、硬度成分を取り除いたうえで、缶内の水質を薬品で整えて使うのが一般的です。スケールの対策は、この給水処理と缶水の管理が受け持っています。
給水の元栓に付ける設備を入れても、この処理を置き換えることはありません。ボイラーの取扱説明書と水処理の契約で決まっている手順が、引き続きスケール対策の中心です。
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その領域で行われていること
給水処理と缶水の管理は、主に次の4つの組み合わせでできています。どれを使うかは、ボイラーの種類と圧力、給水の水質で決まります。
軟水器
イオン交換樹脂で、カルシウムとマグネシウムを取り除きます。樹脂の再生に塩を使い、硬度が漏れていないかを定期的に確かめます。
薬注
清缶剤や脱酸素剤を缶水に入れ、残った硬度成分を析出しにくい形に保ち、腐食も抑えます。濃度の管理が要ります。
RO膜
逆浸透膜でシリカなどの溶けた成分まで除きます。高い圧力のボイラーや、給水の水質が厳しい場所で使われます。
ブロー管理
缶水を一部抜いて入れ替え、濃縮した成分が決まった濃さを超えないようにします。電気伝導率で管理するのが一般的です。
給水(上水)側で受け持てるのは、どこまでか
UFB DUAL® は、工場の給水の元栓や工程の系統に取り付ける設備です。減水率は約5%で、上水の流量と流速をほとんど変えません。密閉した配管の中だけで泡をつくるため外気を取り込まず、水質も変えません。
受け持てるのは、上水をそのまま使う茹で・洗浄の工程です。茹で水ではでんぷん質の茹で崩れと湯の濁りが抑えられ、洗浄では汚れが付く力を弱めて水流で落としやすくします。ボイラーの缶内のスケール対策として提案するものではありません。
湯を沸かし直す量そのものを減らすという別の道
燃料費は、沸かす量と、ボイラーの効率の2つで決まります。効率の側は給水処理の仕事で、量の側は工程の仕事です。茹で湯の入れ替え回数を見直せれば、ボイラーの効率がいまのままでも、沸かし直しに使う蒸気と燃料そのものが減ることにつながります。
1回の入れ替えで沸かし直す燃料の数え方は、燃料の記事で表にしました。効率の改善と量の削減は、同じ燃料費の別々の入口です。
点検で見る場所
日々の記録で見るのは、排ガス温度、燃料の使用量と蒸気の量の比、缶水の電気伝導率、軟水器の出口の硬度です。硬度の漏れは、スケールが付き始める最初の合図になります。
開放点検のときは、水管や炉筒の伝熱面にスケールの付き方と厚さを見て、場所と厚さを写真と一緒に残します。前回と並べて比べられる形にしておくと、給水処理の条件を見直す根拠になります。
よくあるご質問
スケールが1mm付くと燃料費はどれだけ増えますか
成分と厚さのむらで変わるため、一律の数字は当てはまりません。同じ負荷での排ガス温度と、燃料の使用量を蒸気の量で割った値を記録すると、自社のボイラーで起きている変化が数字で分かります。
UFB DUAL® でボイラーのスケールは減りますか
缶内のスケール対策には使いません。缶内のスケールは、軟水器・薬注・RO膜・ブロー管理の領域です。受け持つのは、上水をそのまま使う茹でと洗浄の工程です。
燃料費を下げるには何から始めればよいですか
効率と量の2つに分けます。効率は給水処理と伝熱面の点検で、量は茹で湯の入れ替え回数のような工程の側で見直します。量の側は、1回の沸かし直しに使う燃料を数えるところから始めます。
軟水器の硬度の漏れはどう確かめますか
軟水器の出口の水を、硬度の試薬や測定器で確かめます。樹脂の再生が追いつかないと硬度が漏れ、スケールが付き始めます。確かめる頻度は、水処理の契約とボイラーの取扱説明書に従ってください。
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