この記事の結論
食品工場の下水道料金は、水量と濃さの2つで決まります。水量は水道メーターの数字がそのまま使われるので、茹で湯の入れ替えや洗浄・CIPのすすぎのように、注いだ水を捨てる工程が金額を大きくします。濃さで料金を加える自治体(大阪市など)では、でんぷんを含む湯を一度に捨てる茹でと、洗浄の最初のすすぎが濃さを押し上げます。
下げる手は、下水に流れない水(蒸発する水・製品に入る水)を申告で外す、使う水そのものを減らす、排水の濃さを工程の側で下げる、の3つです。工程ごとに水量と濃さを分けると、どれから手を付けるかが決まります。
下水道の請求が高いと言われ、制度を調べる前に、自社の工場のどの工程がその金額をつくっているかを確かめたい工場長・経理・設備のご担当者さま向けの記事です。
下水道の請求は、水量と濃さの2つでできている
請求の基本は水量の側です。下水へ流した量を別に測っているのではなく、水道メーターを通った量をそのまま流した量として扱います。大阪市では下水道条例施行規則第12条がその根拠で、上水だけでなく工業用水の使用量も同じ扱いです。
濃さで料金が加わる自治体もあります。大阪市では、汚水が月1,250立方メートル以上で、BODかCOD、SSの濃度が1リットルあたり201ミリグラム以上2,600ミリグラム以下の事業場に、一般の使用料とは別に水質使用料がかかります。2,600ミリグラムを超える汚水は、そのままでは下水道へ流せません。水質使用料のしくみと区分は、制度の記事にくわしくまとめています。
水量の側:工程ごとに、下水へ行く水と行かない水を分ける
工場に入った水は、すべてが下水へ流れるわけではありません。工程ごとに、流れていく水と、製品に入る水、蒸発して出ていく水に分かれます。次の表は、食品工場でよく見る工程の分かれ方です。
| 工程 | 下水へ流れる水 | 下水へ行かない水 | 排水の濃さ |
|---|---|---|---|
| 茹で | 入れ替えで捨てる湯、差し水で抜く湯 | 麺が吸う水、沸騰で蒸発する水 | でんぷんを含み、濃くなりやすい |
| 洗浄・CIP | すすぎと洗浄の水のほぼすべて | ほとんど無い | 最初のすすぎが濃い |
| 仕込み・調理 | 器具の洗い水 | 製品に入る水、蒸気で出ていく水 | 残渣を流すと濃くなる |
| 冷却 | ブローや排水に回す分 | 蒸発する分 | 薄い |
| 洗い場・手洗い | ほぼすべて | ほとんど無い | 薄い〜中程度 |
濃さの側:どの工程が濃い排水を出しているか
排水の濃さは、流れる水の量に対して、溶けている有機物がどれだけ多いかで決まります。食品工場で濃くなりやすいのは、でんぷんや糖、たんぱく質、油が溶けた水が、少ない量で一度に出る工程です。
茹で湯を入れ替えるときに抜く湯、洗浄の最初のすすぎ、床に落ちた原料を水で流す作業がその代表です。反対に、手洗いや冷却の水は量が多くても薄く、濃さの平均を下げる側に働きます。工程ごとの出どころの分け方は、BODの記事で扱っています。
下げる手は3つある
1つ目は、下水に流れない水を申告して、料金の対象から外す制度です。蒸発する水や製品に入って出荷される水が多い工場では、自治体に申請すると、その分を除いた量を汚水の量として認定してもらえることがあります。条件は下水に流れない水があるかどうかで、どんな設備を入れているかとは関係ありません。大阪市と川崎市は、申請より前の期間にはさかのぼらないと原文で定めています。
2つ目は、使う水そのものを減らすことです。注ぐ水が減れば、上水と下水の両方の料金が同じだけ下がります。3つ目は、排水の濃さを工程の側で下げることで、水質使用料がかかる自治体では、こちらも請求額に表れます。
3つは別々の経路で、同じ請求書を下げます。組み合わせることもできます。制度そのもののしくみと、自治体ごとの要件は、下水道料金の減免の記事から順にたどれるようになっています。
使う水そのものを減らす:注ぐ水と、捨てる湯
食品工場で見直しやすいのは、茹で湯の入れ替え回数と、すすぎの水量です。茹で湯を1回入れ替えると、釜の容量ぶんの水が注がれ、同じ量の湯が捨てられます。回数が減れば、その分の上水と下水が両方減ります。
UFB DUAL® の水でうどんを茹でると、でんぷん質の茹で崩れが抑えられ、湯の濁りとでんぷんの流出も抑えられます。これは入れ替えの回数を見直す検討材料になり、捨てる湯と一緒に排水へ出ていく有機物の量が減ることも期待できます。水量の側と濃さの側の両方に、同じ工程から働く形です。
減水率は約5%で、洗浄とCIPの流速を変えずに使えるので、すすぎの条件を作り直す必要はありません。電源も薬剤も使わず、導入後に続く費用もかかりません。
自治体ごとに違うので、どこを見るか
下水道の料金の決め方は、自治体の条例で決まっています。水質使用料を置いているか、蒸発や製品に入る水を外す制度の要件がどうなっているかは、自治体ごとに違います。大阪市の数字を、ほかの市にそのまま当てはめることはできません。
調べる順番は、下水道条例、その施行規則、そして運用を定めた要綱です。自社の検針票に書かれた下水道の窓口に、工場の所在地で確かめるのが早道です。条例から要綱までのたどり方は、自治体の要件の記事にまとめています。
どこから手を付けるか
手元に集めるのは3つです。直近12か月の検針票、工程ごとの水量を分けた表、そして水質使用料がかかっている場合は、市から届く水質の認定の通知です。この3つが並ぶと、水量の側と濃さの側のどちらが金額を大きくしているかが分かります。
水量の側が大きければ、茹で湯とすすぎの水量から見直し、蒸発や製品に入る水が多ければ、制度の側も確かめます。濃さの側が大きければ、濃い排水を出している工程を特定します。茹で釜の容量と1日の入れ替え回数、給水管の口径をご相談の欄に書いていただければ、使う水を減らす側の概算をお返しします。
よくあるご質問
下水道料金はどうやって計算されていますか
使った水の量をそのまま流した量とみなして計算するのが基本です。大阪市のように、排水の濃さに応じて水質使用料を加える自治体もあります。自社の所在地の条例で確かめてください。
設備を入れると、下水道料金の減免を受けやすくなりますか
なりません。減免の条件は、蒸発する水や製品に入る水のように下水に流れない水があるかどうかで、どんな設備を入れているかとは関係ありません。設備で変わるのは、使う水そのものを減らす側です。
茹で湯を減らすと、下水道料金も下がりますか
注ぐ水が減れば、上水の料金と下水道の料金が同じだけ下がります。捨てる湯と一緒に出ていくでんぷんも減るので、水質使用料がかかる自治体では濃さの側でも下がる方向です。
工程ごとの排水の濃さはどう調べればよいですか
工程が終わる時刻に合わせて排水の升から水を汲み、分析機関で測ってもらう方法があります。濁りの見比べでも、どの工程の後に濃くなるかのおおよそは分かります。
減量認定の手続きも頼めますか
申請するのは工場の側で、認定するのは自治体です。当社がお手伝いできるのは、使う水を減らす側の設備と、その効果を記録で確かめる進め方です。制度の手続きは、下水道の窓口で確かめてください。
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