この記事の結論
貯水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超える工場は、水道法の簡易専用水道に当たり、国の基準に従った管理と、登録を受けた機関などによる定期の検査が義務づけられています。10立方メートル以下は水道法のこの定めから外れ、水道事業者の条例や供給規程で設置者の責任が決められます。
食品製造用水としては、水道水か、告示の26項目に適合する水を使います。取引先の監査では、水道直結でも必要な検査をしているか、貯水槽の清掃の記録があるかが問われます。
工場の貯水槽の清掃と水質検査を、誰がどこまでやるのかをはっきりさせたい食品工場の品質保証・設備のご担当者さま向けに、根拠の法令と、監査で聞かれることをまとめました。
貯水槽があるかどうかで変わること
水道管から直接工場の中へ水を送る直結の給水と、いったん貯水槽に貯めてからポンプで送る給水では、管理の責任の範囲が変わります。貯水槽から先の水は、槽を設けた側が管理する水です。
水道法第14条第2項第5号は、貯水槽水道が設けられる場合に、水道事業者と設置者の責任を供給規程で適正かつ明確に定めるよう求めています。工場の設備台帳で、貯水槽の有無と有効容量を最初に確かめます。
有効容量10立方メートルで変わる義務
水道法第3条第7項と水道法施行令第2条により、水道から供給を受ける水だけを水源とし、水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるものは、簡易専用水道に当たります。これは全国一律の区分です。
簡易専用水道の設置者は、水道法第34条の2により、国の省令の基準に従って管理し、定期に、地方公共団体の機関か国の登録を受けた者の検査を受けなければなりません。10立方メートル以下の小規模な槽は、この定めから外れ、水道事業者の条例や供給規程で設置者の責任が定められます。
複数の槽がある場合の合算の扱いなど、容量の数え方の細かいところは、所在地の保健所や水道事業者で確かめます。
検査と清掃の中身は、どこで決まっているか
簡易専用水道の管理と検査の中身は、水道法にもとづく国の省令で定められています。小規模な槽の清掃と点検の中身は、自治体ごとの条例や規程で決まっていて、書かれている内容も自治体によって違います。
したがって、自社の槽がどちらに当たるかを確かめたうえで、簡易専用水道なら国の基準と検査の案内を、小規模なら所在地の水道事業者の規程を読みます。清掃と検査を委託している場合は、委託先の報告書が、どの基準に沿った作業なのかも確かめておきます。
くわしいご案内監査で毎回同じところを指摘される|清掃・防虫・機器の付着を、水の側から
食品製造用水としての検査
製品に触れる水の基準は、食品衛生法の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)にあります。告示は食品製造用水を2通りに定めていて、1つは水道事業・専用水道・簡易専用水道から供給される水道水、もう1つは下の表の26項目に適合する水です。いまこの基準を所管しているのは消費者庁です。
自社の給水がどちらに当たるかは、給水の方式と槽の区分で変わるので、判断に迷うときは保健所に確かめます。また、FCPが平成25年に公開した工場監査の指摘事例集は、水道直結でも必要な検査をしているか、水の供給源と検査の項目が一致しているかを問いとして挙げています。制度の定義と、監査で求められることは、分けて考えます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 一般細菌 | 1mlの検水で形成される集落数が100以下(標準寒天培地法) |
| 大腸菌群 | 検出されないこと |
| カドミウム/水銀/鉛 | 0.01mg/l以下/0.0005mg/l以下/0.1mg/l以下 |
| ヒ素/六価クロム/シアン | 0.05mg/l以下/0.05mg/l以下/0.01mg/l以下 |
| 硝酸性窒素と亜硝酸性窒素/フッ素 | 10mg/l以下/0.8mg/l以下 |
| 有機リン/亜鉛/鉄/銅/マンガン | 0.1/1.0/0.3/1.0/0.3mg/l以下 |
| 塩素イオン/硬度/蒸発残留物 | 200/300/500mg/l以下 |
| 陰イオン界面活性剤/フェノール類 | 0.5mg/l以下/フェノールとして0.005mg/l以下 |
| 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) | 10mg/l以下 |
| pH値 | 5.8以上8.6以下 |
| 味/臭気 | 異常でないこと |
| 色度/濁度 | 5度以下/2度以下 |
出典:食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第1 食品 Bの項(食品一般の製造・加工・調理の基準)
槽から先の配管
貯水槽の中がきれいでも、そこから先の配管、ポンプ、高置水槽で水の状態が変わることがあります。指摘事例集は、貯水槽の清掃と記録、フタを閉じているかを問いとして挙げ、清掃の計画があり確実に実施されているかも聞いています。
槽の清掃の記録と一緒に、末端の蛇口での残留塩素と、濁り・におい・色の確認の記録を残しておくと、槽から先の状態も説明できます。配管の内側の汚れが気になる場合は、系統ごとに末端の蛇口の水を見比べると、どの系統を先に見直すかが決まります。
工事のときに断水する範囲
貯水槽のある工場で UFB DUAL® を取り付けるときは、取り付ける場所が水道メーターと貯水槽のあいだになります。工事のあいだに止まるのは槽へ入る側だけで、工場の中へは槽に貯まっている水が送られ続けます。
作業は3時間〜半日で、配管が露出している場所なら3時間程度で終わることもあります。UFB DUAL® は、飲用適水テスト、1.75MPaの耐圧テスト、有害物質が溶け出さないことを確かめる浸出テストを経た給水器具で、密閉した配管の中だけで泡をつくるため外気を取り込まず、水質を変えません。電源も薬剤も使わないので、槽の管理の手順に新しい作業を加えることもありません。
よくあるご質問
工場の貯水槽の水質検査は義務ですか
槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えれば、義務です。水道法の簡易専用水道に当たり、定期の検査が義務づけられています。10立方メートル以下は、水道事業者の条例や供給規程で設置者の責任が決められます。
清掃や検査の回数はどこで確かめればよいですか
簡易専用水道なら水道法にもとづく国の省令と、保健所の案内で確かめます。小規模な槽は、所在地の水道事業者の条例や規程で決まっているので、その本文か窓口で確かめてください。
水道水を使っていれば、食品製造用水の検査は要りませんか
告示の定義では、水道事業・専用水道・簡易専用水道により供給される水道水は食品製造用水に当たります。ただし取引先の監査では、水道直結でも必要な検査をしているかが問われるので、監査で求められる検査は別に確かめてください。
監査では貯水槽の何を聞かれますか
FCPの指摘事例集では、貯水槽の清掃をしているか、清掃の記録があるか、フタを閉じているか、清掃の計画があり確実に実施されているかが問いとして挙がっています。
設備の取り付けで貯水槽の管理は変わりますか
変わりません。取り付けるのは水道メーターと貯水槽のあいだで、電源も薬剤も使わず、外気も取り込まないので、槽の清掃と検査の手順はいまのままです。工事のあいだも、工場の中は槽の水で動かせます。
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