この記事の結論
工場で使った水と下水へ流した水の差は、製品に入って出荷される水と、蒸発して空気へ出ていく水の2つから生まれます。食品工場では、茹でた麺が吸う水、仕込みで製品に入る水、茹で釜や蒸し工程の蒸発がその中心です。
差は、工程ごとに入れた水と捨てた水、製品の重さの変化を量れば数えられます。数えた差は、下水道の制度を確かめる材料にも、捨てている水を見直す材料にもなります。
水道メーターの数字ほど下水には流していないはずだ、と感じている食品工場の設備・生産管理のご担当者さま向けに、その差を工程ごとに数える手順をまとめました。
出ていかない水が、工場には3種類ある
工場に入った水のうち、下水へ流れない水は3種類あります。製品に入って出荷される水、蒸発して空気へ出ていく水、そして散水のように敷地の中で使い切る水です。食品工場で量が大きいのは、はじめの2つです。
自治体の要綱も、この区分で書かれています。京都市の要綱は、製造工程の蒸発水、製品の含有水や混入水、ボイラーや冷却装置の蒸発水などを挙げています。どの水を料金の対象から外せるかという制度の側の整理は、製品含有水の記事にまとめています。この記事は、工場の中でその量をどう数えるかを扱います。
製品に入って出ていく水
茹で工程では、麺が湯を吸って重くなり、その水は製品と一緒に出荷されます。炊飯の水、仕込みで加える水、スープやたれの水、豆腐や練り製品に入る水も同じです。
量は、製品の重さの変化から出します。茹でなら、投入前の麺の重さと茹で上がりの重さの差が、麺に入った水です。1回の差に1日の投入回数と稼働日数を掛けると、年間の量になります。吸う水の割合は麺の配合と茹で時間で変わるので、一般の数字を借りずに自社の工程で量ります。
蒸発して出ていく水
茹で釜は、沸騰させているあいだ湯を蒸発させ続けています。蒸し工程では蒸気が製品を通って排気され、冷却塔では冷やすために水を蒸発させています。どれも下水には流れない水です。
茹で釜の蒸発は、注いだ水と、捨てた湯、麺に入った水の差として数えられます。入れ替えの前に湯の水位を記録し、差し水の量も合わせて量ると、1日のうちにどれだけ蒸発しているかが見えてきます。
くわしいご案内食品工場の下水道料金は、どの工程が決めているか|水量と濃さを工程ごとに分ける
数え方と、根拠の作り方
数えるときの考え方は、入れた水と出ていった先を突き合わせることです。工程ごとに次の表を埋めると、使った水と流した水の差が、どの工程で生まれているかが分かります。
| 工程 | 入れた水 | 下水へ流した水 | 流れなかった水の量の出し方 |
|---|---|---|---|
| 茹で | 釜への注水と差し水 | 入れ替えと差し水で捨てた湯 | 茹で上がりと投入前の麺の重さの差、残りは蒸発 |
| 仕込み・調理 | 計量して加えた水 | 器具の洗い水 | 製品に入った水の量(配合表から) |
| 蒸し | 蒸気のもとの水 | ドレンとして流した水 | 入れた水から流した水を引いた量 |
| 冷却 | 補給した水 | ブローと排水 | 補給量から排水量を引いた量 |
この表は計算の例です。ご自身の数字を入れて確かめてください。
メーターを増やすかどうか
工場の中で差を把握するだけなら、子メーターや重さの記録で足ります。これを下水道の料金の申告に使う場合は、自治体が求める測り方に合わせる必要があります。大阪市は、下水道へ流す排水口のすべてに流量計を付けることを要件に挙げ、その設置費用は使用者の負担としています。川崎市は、原則として検定に合格した有効期間内のメーターを求めています。
水道メーターの検定の有効期間は、計量法施行令で8年と決まっています。メーターを増やすかどうかは、数えた差の大きさと、申告で外せる見込みの金額、メーターの費用を並べて決めます。私設メーターの付け方と費用の考え方は、制度の側の記事にまとめています。
数えた差を、次に何に使うか
数えた差の使い道は2つです。1つは、自治体の制度を確かめる材料にすることです。蒸発や製品に入る水が大きければ、所在地の下水道の窓口に、減量の認定を受けられるかを相談できます。制度の要件と申請の順番は自治体ごとに違い、申請より前の期間にはさかのぼらない市もあるので、早めに確かめます。
もう1つは、捨てている水を見直す材料にすることです。茹で工程で差の外にある、入れ替えで捨てる湯は、そのまま上水と下水の両方の料金になっています。UFB DUAL® の水でうどんを茹でると湯の濁りとでんぷんの流出が抑えられ、入れ替えの回数を見直す検討材料になります。制度で外す水と、使い方で減らす水は、別の経路で同じ請求書に反映されます。
よくあるご質問
製品に入る水は、どうやって量ればよいですか
製品の重さの変化から出します。茹でなら投入前の麺と茹で上がりの重さの差、仕込みなら配合表の水の量です。1回の量に回数と稼働日数を掛けると、年間の量になります。
茹で釜の蒸発はどれくらいありますか
釜の大きさ、火力、蓋の有無、茹でている時間で変わります。注いだ水から捨てた湯と麺に入った水を引いた残りが蒸発なので、水位と差し水の記録から自社の数字を出してください。
数えた差で、下水道料金は下がりますか
所在地の自治体に、下水に流れない水を申告で外す制度があれば、認定を受けた分が下がります。要件と測り方は自治体ごとに違い、大阪市のように排水口すべてへの流量計を求める市もあります。所在地の下水道の窓口で確かめてください。
設備を入れると、流れない水の量は増えますか
増えません。製品に入る水や蒸発する水の量は、設備では変わりません。UFB DUAL® で変わるのは、入れ替えで捨てる湯のように、使う水そのものの側です。
私設メーターの費用は誰が払いますか
大阪市の案内では、流量計の設置費用は使用者の負担です。水道メーターの検定の有効期間は計量法施行令で8年なので、取り替えの費用もはじめから見込んでおきます。
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
お気軽にお問い合わせください。


