この記事の結論
工場向けの代表的な省エネ補助金には、工場全体の大きな投資を支える型と、指定された設備の更新を支える型があります。工場全体の型の主な枠には投資回収年数の下限が置かれていて、早く取り戻せる投資ほど当てはまりにくい作りです。
制度を選ぶときは、補助率より先に、その枠の回収年数の下限と、省エネ量をどう数えるかを見ます。水道代の削減は、エネルギーの量としては数えられません。
補助金が使えないか調べろと言われた食品工場の経理・経営企画のご担当者さま向けに、申請でつまずきやすい要件を、公募要領の原文に沿って整理しました。
補助金の種類と、担当している省庁
工場の省エネ設備に使われる代表的な補助金は、経済産業省・資源エネルギー庁の予算で、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行しています。令和7年度補正予算の「省エネ・非化石転換補助金」には、工場・事業場型と設備単位型などの区分があります。
工場・事業場型は、工場全体の省エネ率や省エネ量の要件を満たす大きな投資を対象にしています。設備単位型は、SIIがあらかじめ基準を定めた指定設備、たとえば高効率のボイラや産業用のモータ、エアコンプレッサなどへの更新を対象にしています。
この記事の内容は、2026年9月27日にSIIのサイトから工場・事業場型の公募要領(2026年8月 3次公募用)と設備単位型の公募要領(2026年3月 1次公募用)を取得し、本文で確かめたものです。要件は年度と公募の回ごとに変わります。
審査で見られる数字
工場・事業場型の公募要領が共通の要件として挙げているのは、省エネ量をエネルギーの量で示すことです。単位は原油に換算したキロリットルで、補助対象経費1千万円あたり1キロリットル以上の省エネ量であることが要件の1つになっています。
つまり審査の物差しは、使うお金に対してどれだけのエネルギーを減らせるかです。削減額や使いやすさではなく、エネルギーの量で比べられます。
回収年数に「下限」がある枠がある
工場・事業場型の公募要領は、枠ごとに投資回収年数の要件を定めています。その年数は下限、つまり「これより長くかかる投資であること」として置かれています。
先進枠と一般枠は5年以上、中小企業投資促進枠は3年以上です。サプライチェーン連携枠は、中小企業者等が3年以上、大企業その他が5年以上です。計算の式も公募要領に示されていて、補助対象経費を、年間の計画省エネルギー量に燃料評価単価を掛けた額で割って求めます。
| 工場・事業場型の枠 | 年数の要件 |
|---|---|
| 先進枠 | 5年以上 |
| 一般枠 | 5年以上 |
| 中小企業投資促進枠 | 3年以上 |
| サプライチェーン連携枠 | 中小企業者等は3年以上、大企業その他は5年以上 |
出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(工場・事業場型)公募要領」2026年8月 3次公募用
回収が早い設備は、その枠に当てはまりにくい
下限があるということは、自力で早く取り戻せる投資は、国が後押しする対象から外れるということです。自社の資金で数年のうちに取り戻せる投資は、補助がなくても進められる、という考え方にもとづいています。
逆にいえば、この枠は、取り戻すまでに長くかかり、自力では踏み切りにくい大きな投資のための制度です。早く取り戻せる設備を探している工場が、この枠を最初に当たると、要件のところで止まってしまいます。
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だから、制度を選ぶときは回収年数の下限を先に見る
補助金を調べると、補助率と上限額が最初に目に入ります。けれど申請できるかどうかを先に決めるのは、枠ごとの要件です。検討している投資の取り戻しの見込みを先に出し、それが枠の下限に届くかを確かめてから、補助率を比べます。
下限に届かないなら、その枠は選択肢から外れます。そのときは、下限の短い中小企業投資促進枠に当てはまるか、設備単位型の指定設備の区分に入るかを見ます。
水回りの設備が当てはまるかどうかの見方
見るのは2点です。1つは、省エネ量をエネルギーの量で示せるかどうかです。上水と下水の料金が下がっても、それはエネルギーの量としては数えられません。数えられるとすれば、湯を沸かし直す燃料のように、エネルギーそのものが減る部分です。
もう1つは、設備単位型の指定設備の区分に入っているかどうかです。区分と基準はSIIが公表しており、そこに無い設備は設備単位型の対象になりません。UFB DUAL® については、補助金の対象になるとはご案内していません。制度の要件に照らした判断は、申請する事業者と執行団体のあいだで行われます。
申請の流れと時期
公募は年に数回に分けて行われ、期間が決まっています。受付の期間は公募の回ごとに決まり、執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)のサイトで案内されます。交付の決定を受ける前に発注した事業は対象にならないと公募要領に明記されているので、発注の時期を公募の日程に合わせる必要があります。
大企業や、エネルギー使用量が年1,500キロリットル以上の工場では、省エネ法にもとづいて作った中長期計画に記載された事業であることも要件になっています。社内の計画書との整合を先に確かめておきます。
当てはまらない場合の考え方
補助金の要件に当てはまらない投資は、自己負担で進めることになります。そのときは、取り戻しの早いものから順に入れるのが基本です。早く取り戻した分を、次の投資の原資に回せるからです。
水回りの設備であれば、茹で釜の系統のように範囲を限って小さく入れ、記録で効果を確かめてから広げる進め方が取れます。導入後に続く費用がない設備なら、取り戻したあとの期間はそのまま工場の利益として残ります。
よくあるご質問
UFB DUAL® は省エネ補助金の対象になりますか
対象になるとはご案内していません。水道代の削減はエネルギーの量としては数えられず、設備単位型の指定設備の区分にも入っていません。制度の判断は、申請する事業者と執行団体のあいだで行われます。
早く元が取れる設備は補助金が使えないのですか
工場・事業場型の主な枠には年数の下限が置かれているため、当てはまりにくくなります。中小企業投資促進枠は下限が短く、設備単位型には別の基準があるので、枠ごとに要件を確かめてください。
要件はどこで確かめられますか
執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブのサイトに、公募ごとの公募要領が掲載されています。要件は年度と公募の回で変わるので、申請する回の公募要領を確かめてください。
発注してから申請しても間に合いますか
交付の決定の前に発注した事業は対象にならないと、公募要領に明記されています。発注の時期は、公募の日程と交付の決定の時期に合わせて決めてください。
補助金を使わない場合、何から入れればよいですか
取り戻しの早いものからです。水回りなら、茹で釜の系統に範囲を限って入れ、自社の記録で効果を確かめてから広げる進め方ができます。
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