この記事の結論
茹で釜の燃料は、朝の立ち上げ、茹でているあいだの保温(麺の投入で下がった温度を戻す分を含む)、湯を入れ替えたあとの沸かし直しの3つに使われています。このうち入れ替えの回数に比例して増えるのは沸かし直しで、1回あたりの量は釜の容量と水温から計算できます。
容量0.4立方メートルの釜で15℃の水を沸点まで上げ直すと、効率80%として都市ガスでおよそ4立方メートルを使う計算です。入れ替えを1回減らせば、この量がそのまま減ります。
ガス代や蒸気の使用量を下げたいのに、どこから手を付ければよいか分からない食品工場の生産管理・設備のご担当者さま向けに、茹で工程の燃料を数える手順を書きました。
湯を1回入れ替えるときに沸かし直す量
沸かし直す量は、釜に張る湯の量そのものです。入れ替えのときは釜を空にして新しい水を張るので、容量ぶんの水を水温から沸点まで上げ直すことになります。
水温は季節で変わります。冬の水道水は夏より冷たく、同じ釜でも冬のほうが沸かし直しに多くの燃料を使います。年額を出すときは、季節ごとの水温で分けておくと数字が現場の感覚に近くなります。
沸かし直しにかかる燃料を数える
水1キログラムを1℃上げるのに要る熱は約4.19キロジュールです。これに湯の量と上げる温度の差を掛け、釜やボイラーの効率で割ると、必要な熱量が出ます。それを燃料の発熱量で割れば、燃料の量になります。
都市ガスの発熱量は、ガス会社の供給約款に書かれています。次の表は、容量0.4立方メートル、水温15℃、効率80%、発熱量を1立方メートルあたり45メガジュールとした計算の例です。
| 項目 | 数え方 | 計算の例 | 自社の数字 |
|---|---|---|---|
| 上げる熱量 | 湯の量(kg)× 温度差 × 4.19 | 400 × 85 × 4.19 = 約142,000キロジュール | |
| 効率で割る | 上げる熱量 ÷ 効率 | 142メガジュール ÷ 0.8 = 約178メガジュール | |
| 燃料の量 | 必要な熱量 ÷ 燃料の発熱量 | 178 ÷ 45 = 約4.0立方メートル | |
| 1回の燃料費 | 燃料の量 × 自社の単価 |
この表は計算の例です。ご自身の数字を入れて確かめてください。
1日◯回×稼働日数で、年額にすると
1回の燃料が出たら、1日の入れ替え回数、釜の台数、稼働日数を掛けます。上の例の釜で1日3回入れ替え、2台を年300日動かしていれば、年間1,800回、都市ガスでおよそ7,100立方メートルが沸かし直しに使われている計算です。
蒸気で加熱している釜なら、同じ熱量をボイラーの蒸気でまかなっていることになります。ボイラーの燃料計の数字から、茹で工程に回っている割合を当てておくと、年額の見当がつきます。
くわしいご案内食品工場の水道代とガス代を、使っている湯の側から見直す
回数が減ると、燃料はどう変わるか
沸かし直しの燃料は、回数にほぼ比例して増減します。1日の入れ替えを1回減らせば、1回分の燃料に台数と稼働日数を掛けた量が浮きます。水道代と違って単価の段階も無いので、見通しを立てやすい費目です。
茹で湯の濁りとでんぷんの流出が抑えられれば、入れ替えの回数を見直す検討材料になり、燃料の使用量の見直しにもつながります。UFB DUAL® を通した水でうどんを茹でると、でんぷん質の茹で崩れが抑えられ、湯の濁りも抑えられます。どこまで回数を減らせるかは、麺の配合と茹で条件によって変わるので、自社の釜で確かめます。
減らせない部分(立ち上げと保温)
朝の立ち上げで1回沸かす燃料と、茹でているあいだ沸騰を保つ燃料は、入れ替えの回数とは関係なく出ていきます。麺を投入するたびに下がった温度を戻す燃料も同じです。
したがって、茹で工程のガス代がすべて回数で決まるわけではありません。沸かし直しの割合を先に出しておくと、回数を見直したときに減らせる上限がはっきりします。
差し水で濁りを抑えている釜では、足した水を温め直す燃料が、入れ替えとは別に積み上がっています。差し水の量も記録に加えておくと、入れ替えを減らした代わりに差し水が増えていないかを、燃料の数字で確かめられます。
現場で測るやり方
いちばん確かなのは、茹で釜の系統にガスの子メーターか蒸気の流量計を付けて、入れ替えのある日とない時間帯の使用量を比べることです。計器が無い場合は、入れ替えの前後でボイラーの燃料計を読み、時刻と回数を一緒に記録します。
比べるときは、麺の種類と投入量、湯の温度をそろえ、変えるのは入れ替えの回数だけにします。2週間ぶんの記録があれば、季節の水温の差も含めた1回あたりの量が見えてきます。
よくあるご質問
茹で釜のガス代はどれくらい下がりますか
下がるのは沸かし直しの分で、1回あたりの燃料に減らせた回数を掛けた量です。立ち上げと保温の燃料は回数では変わらないので、まず沸かし直しの割合を記録から出してください。
燃料単価はいくらで計算すればよいですか
自社の請求書の単価を使ってください。都市ガスの発熱量はガス会社の供給約款に書かれています。単価も発熱量も契約で違うため、表の計算の例とは数字が変わります。
蒸気で加熱している釜でも同じ考え方ですか
同じです。必要な熱量をボイラーの蒸気でまかなっているので、ボイラーの効率で割って燃料の量に直します。茹で工程に回っている蒸気の割合を当てておくと、年額の見当がつきます。
ボイラーのスケール対策も一緒にできますか
UFB DUAL® は、ボイラーのスケール対策には使いません。ボイラーの給水の処理は、軟水器や薬注の領域です。UFB DUAL® は、茹で湯を入れ替える回数そのものを見直すという、別の方向から燃料を減らす設備です。
冬と夏で燃料の量はどれくらい違いますか
水温の差がそのまま表れます。15℃の水と25℃の水では、沸点まで上げる温度差が85℃と75℃になり、冬のほうが1回あたり1割ほど多くの熱が要る計算です。季節ごとに分けて記録すると年額が正確になります。
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