この記事の結論
施設の尿石対策は、洗浄で落とすことと、トイレの水を流すだけで尿石を付きにくくする emiiR®(エミール) を組み合わせることです。洗浄のあと尿石がまた付くのは、高圧洗浄や薬品洗浄が今ある尿石を取り除く作業で、次の付着を止める働きを持たないからです。男子トイレの排水管では、薬品洗浄から約2か月で再付着した記録があります。
戻りにくくするには、洗浄で落としたうえで、流す水の性質を変えて尿石を固着しにくくする方法を組み合わせます。予算は1回の作業費ではなく、何か月で戻るかと、年間に何回呼ぶかで比べます。
ビルや商業施設、学校、駅のトイレで、尿石とにおいの対応を何度頼んでも、しばらくするとまた尿石が付く。その理由と、付きにくくするための対策の組み合わせ方を説明します。
落とす対策と、つきにくくする対策は別のものです
尿石対策は、今ある尿石を落とす作業と、次の尿石を付きにくくする方法の2つに分かれます。高圧洗浄も薬品洗浄も、管の内側にある結晶を削るか溶かすかして取り除く作業で、終わった時点で管の中はきれいになります。
けれども、そのあとも同じ水が同じ管を流れるので、同じ場所にまた尿石が育ちます。洗浄そのものに、次の付着を止める働きはありません。
そのため、予算を組むときに比べるのは「どれがよく落ちるか」ではなく「落としたあと、何か月で戻るか」です。
尿石ができる仕組み
尿石は、尿に含まれる尿素が細菌の酵素(ウレアーゼ)で分解されてアンモニアになり、pHが上がったところで尿の中のカルシウムが析出して、便器や管の内側に固着したものです。
アンモニアのにおいと尿石は同じ反応から生まれるので、においがしている場所には尿石が育っています。尿石が減れば、アンモニアのにおいも下がっていきます。
結晶の表面はざらついていて次の結晶が引っかかりやすく、一度付くと加速度的に育ちます。早く手を打つほど、作業も費用も小さく済みます。
洗浄のあと尿石がまた付く理由
戻る速さに大きく影響するのは、管の中の流れです。洗浄の水量が減ると、汚水管の中の流速が落ちて固形分が留まり、留まった固形分が核になります。メーカーの資料にも、最近のトイレは節水型が多く、汚水管の中の流れが悪くなって閉塞が起きやすい、と書かれています。
器具を新しくしたのに詰まりとにおいが増えるという逆転は、清掃の手抜きではなく、管の中の流れが変わったことによるものです。清掃の人員を増やしても、この条件は変わりません。
メーカーが男子トイレの排水管で記録した経過も、この流れを示しています。尿石で閉塞していた管を薬品洗浄すると直後はきれいになり、洗浄から約2か月で再付着していました。その後、水処理装置を設置すると、約2か月で付着の抑制と剥離が確認されています。
いま行われている対策と、その限界
現場で使われている対策は、大きく5つです。どれが優れているかではなく、役割が違います。今ある尿石を落とすものと、次の付着を抑えるものを分けて並べると、組み合わせ方が見えてきます。
| 対策 | 働き方 | いま詰まっている管に | 次の付着に | 配管への負担 | 続けてかかる費用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高圧洗浄 | 水圧で削り落とす | 強い | 働かない | 経年管では負担がある | その都度 |
| 薬品洗浄 | 酸などで溶かす | 強い | 働かない | 材質と濃度により負担 | その都度 |
| 尿石防止剤 | 便器とトラップのまわりに作用 | 限定的 | 抑える(範囲は限定的) | 小さい | 消耗品が続く |
| 便器・配管の更新 | 取り替える | 確実 | 条件が同じなら再発 | 工事 | 大きな一時費用 |
| emiiR® | 洗浄水の性質を変える | 緩めるが、除去は水流と清掃 | 抑える | 薬剤を使わないため負担なし | なし |
つきにくくするという考え方
当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管の途中に縦に取り付ける筒です。中に特殊セラミックスのボールが入っていて、水流でこれが動きます。水がその間を通ると、カルシウムの結晶が硬く成長して固着しにくくなり、細かいまま水流で運ばれていきます。
電源も薬剤も消耗品も使いません。可動部品がなく、セラミックス同士が動きながらこすり合って自浄するため、交換するものがありません。作用するのは中性からアルカリ性の水で、強い酸性の水では働きません。
emiiR® は日本水道協会(JWWA)の認証を受けています。認証の対象範囲は水道法に基づく耐圧性能と浸出性能です。飲む水に触れさせて安全か、水圧に耐えるかを第三者が確かめたもので、尿石を抑える働きを認証したものではありません。
すでに固着している尿石にも、時間をかけて働きます。真空式トイレでは、固着していた尿石が約2週間で剥離しはじめ、約3か月で剥離が確認されました。ただし、流れがふさがるほどの重い閉塞は、先に物理的に取り除いてから導入します。
臭気はどこから出ているか
においの発生源は、尿石が育っている面です。便器の表面、床の目地、封水のまわり、そして便器から先の汚水管の内側。この4つのうち、日常の清掃で届かないのは汚水管の内側です。
消臭剤は、空気に漂っている分を包むか、別のにおいで覆うものです。管の内側で今つくられている分には届かないので、香りが切れた朝に戻ります。
においの変化は数字で追えます。小便器のアンモニア濃度をガステック検知管で測った記録では、2〜30ppm だった6基が、設置から約6か月後にいずれも0ppmになりました。同じ建物のもう1基は検証開始時から0ppmだったため、この6基には含めていません。
費用と、清掃がどう変わるか
導入の総額は、トイレの給水管の口径で決まり、13〜20Aなら本体190,000円と標準工事費38,000円で228,000円(税抜)です。口径が決まれば型式が決まるので、器具の数や建物の広さではなく、口径が見積もりの入口になります。導入後に続けてかかる費用はありません。電源を引かないので電気代がなく、薬剤も消耗品も交換部品もありません。
導入後も清掃はなくなりません。新しい尿石は固着しにくくなり、すでに付いている分も少しずつ脆くなって、流れる水で剥がれていきます。それでも残った分や、水の流れない場所に付いた分は、清掃で取り除きます。変わるのは、高圧洗浄や薬品洗浄を呼ぶまでの間隔です。
概算に必要な情報
概算を出すために見るのは3つです。小便器の数と洗浄の方式、大便器の数と種類とタンクの形式、給水管の口径とそこへの近づき方です。写真で確かめ、分からないところは当社が現地で確認します。
お問い合わせでは、建物か店舗のお名前と、トイレの数をお知らせください。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。給水管まわりの写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。写真で判断できないところは、現地を拝見します。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。設備の写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。
ご連絡のあとは、現地を拝見してお見積もりをお出しし、内容にご納得いただいてから設置工事に入ります。当社ではお見積もり時に製品代と工事代を明らかにし、お見積もりで提出した以上の金額は一切いただきません。
よくあるご質問
洗浄をやめてもよいのですか
いいえ、洗浄は続けます。今ある尿石を取り除く作業は必要で、脆くなった付着物も清掃で取らなければ残ります。目標は洗浄をやめることではなく、間隔を延ばすことです。まずは器具ごとに、洗浄から何か月で戻っているかを記録してください。
すでに詰まっている管にも使えますか
使えますが、流れがふさがるほどの閉塞は、先に物理的に取り除きます。取り付けただけで通るものではありません。除去のあとに導入すれば、固着していた尿石は時間をかけて脆くなり剥がれていきますが、剥がれた分を取り除く清掃は必要です。
効果はどのくらいで分かりますか
排水管の記録では、設置から約2か月で付着の抑制と剥離が確認されています。真空式トイレでは約2週間で剥離がはじまり、約3か月で剥離を確認しました。においは、検知管でアンモニア濃度を毎月測れば数字で追えます。
電気や薬剤の補充は要りますか
要りません。電源も配線もなく、薬剤の補充も部品の交換もありません。中のセラミックスが水流で流動しながら互いをこすり合う構造のため、通水しているあいだ自浄します。保証は10年で、10年後に検査を受けるとさらに10年、最長20年まで延びます。
JWWA の認証を取っていれば、尿石に効くということですか
いいえ、別の話です。この認証の対象範囲は、水道法に基づく耐圧性能と浸出性能です。飲む水に触れさせて安全か、水圧に耐えるかを第三者が確かめたものです。尿石への働きは、排水管や小便器での経過の記録で確かめてください。
どの範囲が対象になりますか
付ける場所で決まります。トイレの給水元に付ければその系統だけ、建物の給水元に付ければ給水がつながる範囲の全体です。配管の系統によっては、大きい口径の1台で複数のトイレをまとめたほうが総額が下がる場合もあります。
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