この記事の結論
同じ建物から尿石で繰り返し呼ばれるのは、日常清掃の届かない汚水管の内側に尿石が育ち、洗浄で落としても同じ条件でまた付くからです。清掃の回数や人員を増やしても、この呼び出しは減りません。
減らすには、建物側で尿石を付きにくくする対策を、呼び出しの記録と臭気の数字を添えて、元請けさま・施主さまに提案します。
尿石とにおいで同じ建物から何度も呼ばれ、そのたびにシフトが崩れる。清掃管理会社の所長・現場責任者・営業の方に、呼び出しの原因の切り分け方と、元請けさま・施主さまにどんな材料で建物側の対策を提案すればよいかをお伝えします。
呼び出しが起きる原因は4つに分かれます
同じ建物から尿石とにおいの呼び出しが繰り返し入るときは、原因を4つに分けて考えます。そうすると、どれが清掃の作業で解決できるものかが見えます。
一つめは器具の中の層で、これは作業で落ちます。二つめは床と目地で、これも作業と部材で収まります。三つめは封水の切れで、水を足せば止まります。四つめが、便器から先の汚水管の内側です。
四つめだけは、日常清掃では届きません。高圧洗浄か薬品洗浄になり、そのたびにスポットの作業が発生します。同じ建物から繰り返し呼ばれる場合は、まずここを疑います。
トイレ作業が敬遠される、という公表された事実
トイレの作業が清掃の現場で特に負担の大きい作業であることは、公表された調査にも数字で出ています。下の表の数字は、元請けさま・施主さまへの説明にそのまま使えます。
人手不足の話と尿石の話は、ふだん別々に扱われがちです。けれども、尿石と臭気が慢性化した建物では、清掃でもっとも負担の大きい作業が呼び出しのたびに発生し、それが人の定着しにくさにつながります。人手が足りない状況では、採用と教育にかかる負担は、洗浄そのものの費用より大きくなりがちです。
| 公表されている数字 | 内容 |
|---|---|
| トイレ作業 35.5% | 清掃作業のなかで、もっとも苦労や問題があるとされた作業 |
| 品質管理 42.0% | その苦労の内訳のうち、最も多いもの |
| 人材不足 29.0% | その苦労の内訳のうち、次に多いもの |
| 事業者の92% | 現場の従業員が人手不足(とても不足・やや不足)と答えたビルメンテナンス事業者の割合(2024年6月の調査) |
| 60歳以上 46.7% | 一般清掃業務に就くフルタイムの従業員のうち、60歳以上の割合 |
出典:東京ビルメンテナンス協会「清掃業務の実態調査報告書」(平成27年12月)、ザイマックス不動産総合研究所「ビルメンテナンス業の人手不足に関する実態調査」(2024年8月)、全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス情報年鑑2023(第53回実態調査報告書)」
作業の時間はどこに消えているか
呼び出し1回の中身を分けると、時間の使い方が見えます。移動、養生、止水と器具の分解、薬剤を置いて待つ時間、取り除き、片づけ、報告です。
このうち、薬剤を置いて待つ時間と取り除く時間は、層の厚みで変わります。薄いうちに入れば置いて流すだけで終わり、厚くなると一晩置いて翌日に作業することになります。同じ「尿石の作業」でも、かかる時間が大きく違います。
一方、移動と養生と報告は、層の厚みに関係なく毎回かかります。この固定の時間は、呼び出しの回数そのものが減らないかぎり減りません。
建物側で対策すると、何が変わるか
変わるのは、洗浄のあと尿石が戻るまでの間隔です。メーカーが男子トイレの排水管で記録した経過では、尿石で閉塞していた管を薬品洗浄すると直後はきれいになり、約2か月で再付着していました。そのあと水処理装置を設置すると、約2か月で付着の抑制と剥離が確認されています。
臭気の変化も数字で示せます。メーカーが小便器7基のアンモニア濃度をガステック検知管で追った記録では、検証開始時に5〜30ppmあった6基が、約6か月後にすべて0ppmまで下がりました。残る1基は開始時点で0ppmだったので、下がった数には数えていません。
導入後も、清掃の作業はなくなりません。管の中では、新しい尿石が固着しにくくなり、すでに付いていた層も脆くなって、流れる水で少しずつ剥がれ落ちていきます。剥がれきらずに残った分は、これまでどおり清掃で取り除きます。変わるのは作業の中身ではなく、スポットで呼ばれるまでの間隔です。
元請けさま・施主さまへの提案の組み立て
建物側の設備は、清掃管理会社の予算で買うものではありません。元請けさま・施主さまに判断していただくための提案として持っていきます。次の4つの順に組み立てると、話が通りやすくなります。
第一に、呼び出しの記録を並べます。日付と器具と作業内容を1年分並べるだけで、周期が見えます。第二に、その周期が作業の質ではなく建物の条件から来ていることを説明します。洗浄水量が減って管の中の流速が落ち、固形分が留まって核になる、という筋です。
第三に、洗浄は今ある尿石を取り除く作業で、次を止める働きを含まないと伝えます。ここまでで「やっても戻る」の理由が共有されます。第四に、建物側で尿石を付きにくくする選択肢を示します。当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管に取り付けて水の性質を変え、尿石を固着しにくくする装置です。導入の総額は給水管の口径で決まるので、口径が分かれば見積もりが出せることもあわせて伝えます。
提案資料に入れる数字
提案資料でもっとも説得力があるのは、その建物で自分たちが記録した数字です。一般的な数字より、施主さまが自分の建物のこととして受け止めやすくなります。
入れるのは4つです。1年間の呼び出し回数と日付、1回にかかった作業時間、器具ごとのアンモニア濃度、そして洗浄から何か月で戻ったか。この4つがあれば、建物側の条件の話に自然につながります。
そのうえで、前の節で挙げたメーカーの記録(薬品洗浄から約2か月で再付着、水処理装置の設置から約2か月で付着の抑制と剥離)と、真空式トイレで固着した尿石が約2週間で剥離しはじめ、約3か月で剥離が確認された記録を添えます。自分たちの記録とメーカーの記録が並ぶと、施主さまが判断しやすくなります。
呼び出しが減ると、現場の負担が変わる
尿石と臭気の作業は、清掃のなかでも引き受け手が決まりにくい作業です。慢性化している建物では、それが呼び出しのたびに発生します。人が続かない理由の一つになりえます。
呼び出しの回数が減れば、この作業が発生する回数も減ります。尿石の対応が定期の巡回の中で収まるようになれば、急な呼び出しでシフトを崩すことも少なくなります。
当社は設備の正規一次販売店として、emiiR® の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。お知らせいただくのは、建物のお名前とご希望の日時の2点です。器具の数や給水管の口径は当社が確認します。お見積もりは無料で、製品代と工事代を明らかにし、お見積もりで提出した以上の金額は一切いただきません。
よくあるご質問
呼び出しの回数は、清掃の頻度を上げれば減りますか
一部は減ります。器具の中の層と床のにおいによる呼び出しは、頻度を上げれば収まります。減らないのは、便器から先の汚水管が原因になっている分です。ここは日常清掃では届かないため、頻度ではなく建物側の条件を変える必要があります。
設備の提案を持っていくと、清掃の契約が減りませんか
定期の巡回の契約はなくなりません。導入後も、管から剥がれきらずに残った付着物や、器具の表面の汚れを取る清掃は続きます。減っていくのは、急なスポットの呼び出しです。スポットは移動や養生に時間がかかり、シフトも崩れるので、その回数が減ると現場の負担が軽くなります。
記録が1年分そろっていなくても、提案できますか
はい、できます。同じ器具で2回分の記録があれば、洗浄から何か月で戻っているかは見えます。1年分そろうのを待たずに、戻りの早い器具から示すと話が進みます。
臭気の測定は、こちらで用意する必要がありますか
アンモニア用の検知管と、それを使うためのポンプがあれば、ご自身で測れます。測る時間帯をそろえ、器具ごとに同じ位置で測ると、月ごとの変化を比べやすくなります。
費用は、どなたが負担するものになりますか
建物に取り付ける設備なので、施主さま(建物の所有者さま)のご判断になります。導入の総額は給水管の口径で決まるため、口径が分かれば早い段階で見通しをお伝えできます。お見積もりは無料です。
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