この記事の結論
湯替えのタイミングは、多くの現場で、その時間帯の釜の担当者が濁り・粘り・においを見て決めています。基準が人の目にあるため、同じラインでも担当によって回数が前後します。
入れ替えのたびに濁度(または同じ条件で撮った湯の写真)、前回からの時間、投入量の3つを記録すると、判断を数字に置き換えられます。基準の濁度を決めておけば、水や条件を変えたときに回数がどう変わるかも、同じ物差しで確かめられます。
茹で湯の入れ替えを担当者の経験に任せていて、回数の根拠を説明できない食品工場の製造課長・品質保証のご担当者さま向けに、判断を記録に落とす手順をまとめました。
判断している人
湯を替えるかどうかを決めているのは、ほとんどの場合、その時間帯に釜についている担当者です。ライン長が最終的に判断する現場もありますが、合図を出すのは釜の前の人です。
交代制の工場では、1日のうちに判断する人が2〜3人入れ替わります。朝の担当が早めに替え、午後の担当が限界まで使う、という差がそのまま1日の回数の差になります。
見ているもの
担当者が見ているのは、主に次の3つです。どれも目と手と鼻の感覚で、記録には残りにくいものです。
- 濁り:湯の色と透明度。釜の底や網が見えにくくなったら替える
- 粘り:麺のまとわりつき方と泡の立ち方。泡が消えにくくなったら替える
- におい:でんぷんと小麦のにおいが強くなったら替える
基準が人によって違う現場が多い
感覚の基準は、人によってずれます。早めに替える人は品質の側に寄せ、遅めに替える人は止まる時間と燃料の側に寄せています。どちらも間違いではありませんが、記録に残るのは回数だけです。
回数しか残っていないと、多い日と少ない日のどちらが正しかったのかを後から議論できません。回数を金額で見ようとしても、その回数が何を根拠に決まったのかが分からないままになります。
くわしいご案内茹で湯を1回入れ替えるのに、いくらかかっているか|水・燃料・止まった時間で数える
基準を数字に置き換える
判断を数字にするには、次の3つを入れ替えのたびに記録します。濁度計が無くても、同じ容器・同じ照明で湯を汲んで写真を撮れば、濁りの比較はできます。
| 記録するもの | 測り方 | 分かること |
|---|---|---|
| 濁度 | 濁度計、または同じ容器・照明で撮った写真 | 替えたときの湯の状態がそろっているか |
| 前回からの時間 | 入れ替えの時刻を記録 | 1回の湯で何分使えているか |
| 投入量 | 前回から入れた麺の玉数か重さ | 湯の量に対してどれだけ茹でたか |
濁りが抑えられると、回数はどう変わるか
基準を「この濁度になったら替える」と決めておけば、濁りの進み方が緩やかになったとき、その濁度に届くまでの時間と投入量が延びます。基準そのものは変えずに、回数が変わることになります。
ウルトラファインバブルを含む水で茹でると、うどんのでんぷん質の茹で崩れが抑えられ、湯の濁りとでんぷんの流出も抑えられます。これは入れ替えの回数を見直す検討材料になります。どこまで延びるかは、麺と条件をそろえて、自社の釜の記録で確かめます。
記録を始めるときの段取り
最初の2週間は、判断の仕方を変えずに記録だけを取ります。いつもどおりの感覚で替えてもらい、そのときの濁度、時刻、投入量を残すと、担当者ごとに替えている湯の状態の幅が見えてきます。
次に、その幅の中から、品質保証部と製造で合意できる濁度を1つ決めます。決めた濁度を釜のそばに写真の見本として貼っておくと、交代の時間帯でも同じ基準で判断できるようになります。
記録用紙は、釜ごとに1日1枚で足ります。欄は、入れ替えの時刻、湯の状態(濁度か写真の番号)、前回からの投入量、判断した人の4つです。この1枚が、回数を議論するときと、水や条件を変えた効果を確かめるときの両方の土台になります。
回数を見直しても下げないもの
回数を見直すときも、茹で上がりの食感とにおい、衛生の基準は下げません。品質保証部が決めている管理の基準と、取引先と取り決めている規格が、回数の下限を決めます。
進め方は、基準の濁度は動かさず、その濁度に届くまでの時間が延びたことを記録で示してから回数を変える順番です。先に回数を決めて後から品質を確かめる順番は取りません。
よくあるご質問
茹で湯は何分ごとに替えるのが正しいですか
麺の種類、投入量、湯量で変わるため、共通の正解はありません。濁度・前回からの時間・投入量を記録し、品質が保てている範囲の時間を自社の釜で出すのが確かです。
濁度計が無くても基準を作れますか
作れます。同じ容器に同じ量を汲み、同じ照明の下で写真を撮れば、濁りを比べられます。写真に時刻と投入量を添えておくと、判断の根拠として残せます。
担当者ごとの差をなくすにはどうすればよいですか
替える基準を濁度などの数字で決め、入れ替えのたびに記録を残します。回数だけでなく、替えたときの湯の状態がそろっているかを見ると、担当者ごとの差が分かります。
水を変えれば回数は減らせますか
濁りの進み方が緩やかになれば、同じ基準で判断しても入れ替えまでの時間が延びる方向です。どこまで延びるかは条件で変わるので、麺と投入量をそろえて記録で確かめます。
回数を1回減らすと、いくら違いますか
湯替え1回の原価に、釜の台数と稼働日数を掛けた額です。1回の原価は、注ぐ水、沸かし直す燃料、止まる時間、排水の負荷の4つを足して出します。数え方は、茹で湯を1回入れ替える費用の記事で表にしています。
記録は誰がつければよいですか
判断している釜の担当者が、入れ替えのたびにその場でつけるのが確かです。後からまとめて書くと時刻と投入量がずれます。用紙は釜ごとに1日1枚にし、ライン長が1日の終わりに確かめる形が続けやすい形です。
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