監査で毎回同じところを指摘される|清掃・防虫・機器の付着を、水の側から

監査で毎回同じところを指摘される|清掃・防虫・機器の付着を、水の側から

この記事の結論

取引先の工場監査で、清掃・防虫・機器の手入れの指摘が毎回同じ場所に出るのは、どれも、でんぷんや油、たんぱく質が表面に残り、その上に汚れが重なって固まる流れから起きているためです。指摘された場所の清掃を増やすだけでは、付着が同じ速さで進むので、次の監査までにまた同じ状態に戻りやすくなります。

水の側でできるのは、汚れが面に付く力を弱めて、落としやすく、たまりにくくすることです。HACCPにもとづく洗浄・殺菌・記録はそのまま続け、その上に重ねて付着の進み方を緩やかにし、変化は取り付け前後の写真と清掃時間の記録で示します。

第二者監査で前回の指摘の是正状況を問われ、清掃や防虫の指摘が毎回同じところで出る食品工場の品質保証部・工場長さま向けに、指摘項目を水の側から見直す順番をまとめました。

目次

監査で見られる項目の並び

取引先の工場監査の物差しとして広く参照されているのが、農林水産省のフード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)がまとめた共通工場監査項目です。平成25年2月に公開された指摘事例集は、116項目のうち、実際の監査で指摘の多い上位29項目を事例つきで並べています。

水そのものも監査の対象です。事例集では、使用する水の供給方法の把握、定期的な水質検査、貯水槽の清掃と記録が項目として挙がっています。上水直結でも必要な検査をしているか、という問いも含まれています。

項目番号 項目 事例集に挙がっている問いの例
№33 食品製造で使用する水の供給方法の把握 供給方法を把握しているか/飲用適の水を原材料に使っているか
№34 食品製造で使用する水の定期的な水質検査の実施 水道直結でも必要な検査をしているか/残留塩素を確かめているか
№82 使用する水の定期的な水質検査の実施 使用水を把握しているか/清掃計画があり実施されているか

出典:農林水産省 FCP事務局「FCP共通工場監査項目 指摘事例集」(平成25年2月13日作成)

繰り返し指摘されやすい3つ

現場を歩く監査で、目に見えて指摘につながりやすいのは次の3つです。どれも写真に撮れて、前回との差がはっきり分かるので、是正したかどうかを問われやすい場所でもあります。

  • 清掃状況:ラインの継ぎ目、ベルトの裏、排水溝の縁に残った汚れ
  • 防虫管理:排水溝やグリストラップ周りで見つかる小さな虫と、その発生源
  • 機器のメンテナンス:熱交換器やノズル、配管の内側に固まった付着物

3つに共通しているもの(残っている有機物と、付着)

3つの指摘を並べると、同じものが見えてきます。食品由来のでんぷんや油、たんぱく質が表面に残り、そこに汚れが重なって固まっていく流れです。清掃で落としきれなかった薄い層が、次の汚れを呼び込みます。

排水溝に残った有機物は、小さな虫の餌になり、発生源になります。機器の内側では、残った汚れの上にスケールや微生物の膜が重なり、分解しないと落ちない付着物になります。指摘の場所は違っても、根は同じです。

そのため、指摘された場所の清掃を増やすだけでは、同じ場所に戻ってきやすくなります。見直すなら、付着が進む速さそのものに手を入れるほうが、次の監査までの状態を保ちやすくなります。

くわしいご案内食品工場さま

付着の進み方を緩やかにするという考え方

ウルトラファインバブルは直径1マイクロメートルより小さな泡で、表面がマイナスに帯電しています。疎水性の汚れに吸着して付着力を弱め、水流で離れやすくし、いったん落ちた汚れが再び付くのも抑えます。

UFB DUAL® は、この泡を含む水を給水の元栓や工程の系統でつくる設備です。CIP洗浄では汚れの剥離が進みやすくなり、薬剤の使用量やすすぎの回数を見直しやすくなります。配管と設備の内側では、バイオフィルムとスケールの付着が抑えられ、洗浄の頻度と清掃の時間の見直しにつながることが期待できます。

変化が表れる時期は場所で違い、排水管がいちばん遅い場所です。ある食品工場の排水管の記録では、最初の数か月は目に見える変化がなく、半年を越えたあたりから内側がきれいになり始めました。泡は密閉した配管の中だけでつくるので外気が入らず、衛生の基準が厳しい工場でも使えます。

記録として残せるもの

監査で問われるのは、是正したことを記録で示せるかどうかです。水の側の見直しも、同じ形で残せます。

残すのは、取り付け前と後で同じ場所・同じ角度から撮った写真、清掃にかかった時間、拭き取り検査の結果、排水溝の点検で見つかった状態の4つです。変えたのは水だけで、清掃と殺菌の手順は同じ、という条件も一緒に書いておきます。比べ方の組み立ては、検証の方法の記事にまとめています。

変わらないもの(法定の洗浄・殺菌・記録)

HACCPにもとづく洗浄と殺菌の工程、その記録は、これまでどおり必要です。水の側の見直しは、その工程を置き換えるものではなく、汚れを落としやすくして、いまの工程を回しやすくするものです。

監査で説明するときも、この位置づけのまま話せば足ります。管理の基準と手順は変えていないこと、付着の進み方を見るために記録を増やしたことを、事実として並べます。HACCPとの関係は、別の記事でくわしく書いています。

どこから手を付けるか

最初に、過去3回分の監査の指摘を並べ、場所ごとに数えます。同じ場所が繰り返し出ていれば、そこが付着の進みやすい場所です。清掃の時間と、その場所の写真を2週間ぶん記録すると、いまの状態の基準線ができます。

設備は、工場全体の元栓に入れるほか、指摘の多い工程の系統だけに入れて確かめることもできます。取り付けで水が止まるのは1〜2時間で、定期の停止日に収まります。指摘の多い工程と給水管の口径をご相談の欄に書いていただければ、どの範囲から入れるのがよいかをお返しします。

よくあるご質問

監査の指摘はなくなりますか

指摘が出るかどうかは取引先の判断ですが、指摘の多い場所の状態を、次の監査まで保ちやすくなります。水の側でできるのは、付着の進み方を緩やかにして、清掃と点検で保っている状態を維持しやすくすることです。変化は写真と記録で示せます。

FCPの監査項目に水の項目はありますか

あります。平成25年に公開された指摘事例集では、水の供給方法の把握(№33)、定期的な水質検査(№34・№82)が挙がっており、貯水槽の清掃と記録についての問いも含まれています。

いまの洗浄や殺菌の手順を変える必要はありますか

変える必要はありません。HACCPにもとづく洗浄と殺菌、記録はそのまま続けていただき、その上に重ねて使います。手順を見直すなら、記録で変化を確かめた後に品質保証部の判断で進めます。

効果はどのくらいで分かりますか

CIPのすすぎや部品の洗浄は比較的早く記録に現れます。排水管の内側は時間がかかり、6か月を過ぎた頃から清浄化が進んだ事例があります。場所ごとに見る期間を分けて記録してください。

費用はいくらですか

口径は給水管の太さで決まります。40Aが本体2,500,000円、50Aが本体3,500,000円(税抜・オープン価格)で、工事費は150,000円程度が基準です。工程を限って25Aで足りる場合は本体600,000円(メーカー希望小売価格850,000円)です。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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