この記事の結論
修繕積立金が足りないときに挙がるのは、積立金の値上げ、一時金、借入れ、工事の先送りの4つですが、給水管については、先送りする期間に赤錆の進み方を緩めて、更新の時期を後ろにずらす5つめの手があります。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、共用給水管の取替えの周期を30〜40年と例示していますが、これはおおよその目安で、実際の時期は管の調査・診断の結果で決まります。
管の肉厚が残っていて、赤水が朝だけなど出方が軽い段階なら、給水元に装置を付けて錆の性質を変え、積立金がそろう時期まで更新を待つ計画が立てられます。
お見積もりは無料です。お気軽にお問い合わせください。
修繕積立金の不足を理由に、給水管の工事を先送りするかどうかを話し合っている管理組合の理事さま、管理会社のご担当者さま、賃貸オーナーさまに向けて、先送りの期間に配管の側で打てる手と、総会に出す資料の形をまとめました。
積立金が足りないときに挙がる4つの手
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、長期修繕計画に比べて実際の修繕積立金の積立額が不足しているマンションが36.6%、そのうち不足の割合が20%を超えるマンションが11.7%でした。
不足への対応として挙がるのは、ご存じのとおり、月々の積立金の値上げ、一時金の徴収、金融機関からの借入れ、工事の先送りの4つです。4つとも、お金をどう集めるか、いつ使うかの手で、配管そのものには手を入れません。
給水管について話し合うときは、この4つに配管の側の手を1つ足して並べます。先送りを選ぶ場合でも、その期間に管の中で何が進むかによって、待てる年数が変わるからです。
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」
先送りしている間に、給水管の中で進むこと
鉄を使った給水管では、工事を待っているあいだも赤錆が育ちます。赤錆はできるときにかさが増えて浮き上がり、剥がれた粒が赤水になって、剥がれた面がまた錆びます。この繰り返しで、管の肉厚は内側から減っていきます。
肉厚が残っているうちは、内面を研磨して樹脂で覆う更生工事が選べます。肉厚が減りすぎると研磨に耐えられず、選べるのは管を入れ替える更新工事だけになります。待つ期間が長くなるほど、選べる工事の数が減っていきます。
長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)の修繕周期の例では、屋内共用給水管の更生が19〜23年、屋内と屋外の共用給水管の取替えが30〜40年です。ガイドラインは、周期はおおよその目安で、立地条件などで変わるとしています。
出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)
5つめの手:錆の性質を変えて、更新の時期を後ろにずらす
配管の側の手は、赤錆の育ち方を変えることです。もろく剥がれる赤錆を、緻密で金属に密着する黒錆(マグネタイト)の側へ変えていくと、腐食の進みが緩み、肉厚が減る速さも落ちます。更新工事が要らなくなるのではなく、その時期を後ろにずらす手です。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、ステンレスの筒に特殊セラミックスを詰めた装置です。建物の給水元に1台付けると、水の流れだけで中のセラミックスが動き、そこから先の配管がまとめて対象になります。電源も薬剤も使わず、成分を取り除く浄水器でもありません。
給水系での測定例では、水中の鉄分が設置前の約1mg/Lから、1年後に約0.05mg/Lまで下がりました。変化は月の単位で進むため、待つ期間を年の単位で取れる建物に向いています。中性からアルカリ性の水で働く方式で、温泉のような強酸性の水は対象になりません。
費用・工期・水が止まる範囲・住戸への立ち入りで並べる
理事会で必ず聞かれるのは、いくらかかるかと、住む方の暮らしにどう響くかです。更新と更生の金額は建物の条件で大きく変わるので、ここでは金額ではなく、何で決まるかで並べます。
| 選択肢 | 費用が決まるもの | 工期 | 水が止まる範囲 | 住戸への立ち入り | 更新の時期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 更新工事(管を替える) | 管の総延長と、壁や床を壊して戻す範囲 | 総延長と、住戸に入る日程の数で決まる | 作業する系統ごと、工事の日ごと | 専有部の管まで替えるなら必要 | 新しい管の年齢から数え直す |
| 更生工事(内面を覆う) | 研磨と塗布の区間の長さ、継手の数 | 系統の数と区間の長さで決まる | 作業する系統ごと | 系統によって必要 | 樹脂の層がもつあいだ後ろにずれる |
| 延命(emiiR®) | 給水元の口径と、設置の条件 | 3時間〜半日程度 | 受水槽のある建物では各戸は止まらない。直結給水は1〜2時間程度 | 不要 | 腐食の進みを緩めて後ろにずらす |
| 先送りだけ | 当面はかからない | なし | 止まらない | 不要 | 管の状態しだいで早まることがある |
長期修繕計画をどう書き換えるか
ガイドラインは、計画期間を30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とし、5年程度ごとに調査・診断を行って計画を見直すこととしています。給水管の工事の年を動かすのは、この見直しの場です。
延命を入れるときは、給水管の取替えの年を消すのではなく、手前に調査・診断の年を置き、その結果を見て取替えの年を決め直す書き方にします。見直しには1〜2年ほどかかるとガイドラインにあるので、調査は早めに組み込みます。
積立金の額は、見直した計画の推定修繕工事費の累計から計算し直します。取替えの年が後ろに動けば、そこまでに積み立てる期間が延び、月々の額や一時金の額を組み直す余地が出ます。
- 給水管の調査・診断の年を、次の見直しの前に置く
- 取替えの年は、調査の結果が出るまで幅のまま残す
- 延命の装置を入れたら、設置の年と保証の期限を書き添える
- 鉄分など同じ条件で測った値を、見直しのたびに並べる
総会・理事会に出す資料の形
選択肢が1つしかない議案は、反対の意見に答える材料がなく、通りにくくなります。
資料は、いまの管の状態、選べる手、それぞれの費用の決まり方と住む方への影響、推奨する手とその理由、資金の出どころ、の順に並べます。管の状態は、抜管調査や内視鏡の結果、赤水の出方の記録、水質の測定値で示します。
延命を推奨するときは、更新の年をいつまで後ろにずらす計画か、その間に何を測って確かめるかを書きます。次の見直しで判断をやり直せる形になっていれば、慎重な方にも、いつもう一度決めるのかが見えます。
保証は設置後10年。10年後の検査で、さらに10年
emiiR® の保証は設置後10年の製品保証で、導入から10年後に検査を受けると、さらに10年延長され、最長20年になります。可動部も消耗品もないので、点検の費用や部品の交換の費用はかかりません。
長期修繕計画の期間は30年以上なので、保証の期間はその中に書き込めます。設置の年と延長の検査の年が計画書に載っていれば、理事が交代しても検査の時期を逃しません。
飲料水の系統で使う型式は、日本水道協会の認証登録品(登録番号 Z-372)です。この認証で確かめられているのは、水圧に耐えることと、水に有害な物質が溶け出さないことで、赤水への効果を認めたものではありません。
お見積もりに必要なもの
お見積もりは無料で、金額は給水元の口径と設置の条件で決まります。総会の日程が決まっている場合はその日付も書き添えてください。総会の資料にそのまま載せられるよう、製品代と工事代を明らかにしてお出しし、お見積もりで提出した以上の金額はいただきません。
相談内容の欄には、受水槽があるかどうか、給水元の口径、築年と管の材質、赤水の出方を書いていただければ足ります。担当からメールでご連絡しますので、設備の写真や図面はそのメールに添付してご返信ください。
よくあるご質問
積立金の値上げと延命は、どちらを先に考えるべきですか
並べて考えます。延命は資金の手の代わりになるものではなく、更新の時期を後ろにずらして、値上げや一時金の額を組み直す余地を作るものです。どちらの場合も、先に管の肉厚を調べておくと判断が早くなります。
何年くらい先送りできますか
年数は管の残りで決まります。調査・診断で肉厚を確かめ、延命を導入したあとは鉄分などを同じ条件で定期的に測り、長期修繕計画の見直しのたびに取替えの年を決め直します。
漏水が出ている管にも使えますか
漏水している管は、先に更生か更新で手当てします。延命が役に立つのは、肉厚が残っていて、赤水が朝だけなど出方が軽い段階か、更生で覆ったあとの内面を保つ段階です。
装置は住戸ごとに付けるのですか
いいえ。建物の給水元に付け、そこから先の配管をまとめて対象にします。台数は戸数ではなく、給水の系統と水量で決まります。
この分野の、くわしい記事
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
お気軽にお問い合わせください。


