この記事の結論
食品工場の中で発生する小さな虫の発生源は、排水溝やグリストラップ、排水の升にたまった有機物とぬめりです。薬剤やトラップは出てきた虫に向けた手で、発生源を減らす手は、清掃と、排水に流れ込む有機物の量を減らす工程の見直しにあります。
水の側でできるのは、排水管や排水溝の壁に汚れが付く力を弱め、ぬめりの層が育つ速さを緩やかにすることです。餌源となる有機物の残留を抑えることは、防虫管理の負担軽減につながります。
監査で防虫管理を指摘され、排水溝周りの虫と、防虫の委託費や清掃の手間に悩んでいる食品工場の品質保証・設備のご担当者さま向けの記事です。
防虫管理でやっていることの並び
食品工場の防虫管理は、入れない、発生させない、見つけて記録する、の3つの手で組み立てられています。入れない手は建物の隙間やエアカーテン、発生させない手は清掃と整理、見つける手はトラップによる捕獲数の記録です。
委託している防虫業者の報告書には、トラップごとの捕獲数と種類が並びます。外から入ってくる虫と、工場の中で発生している虫を分けて見ると、どちらの手に力を入れるべきかがはっきりします。
発生源として挙がる場所
工場の中で発生する小さなハエの仲間は、水気と有機物がそろう場所で増えます。挙がりやすいのは、排水溝、グリストラップ、排水の升、床の目地のくぼみ、機器の下の水たまりです。
共通しているのは、水が流れているのに、底や壁に汚れが残る場所だという点です。流れが遅くなる曲がり角や、清掃の手が届きにくい蓋の裏に、ぬめりが層になってたまっていきます。
餌源になっているもの
幼虫の餌になるのは、排水に含まれて流れてきたでんぷん、油、たんぱく質と、それが壁に付いてできたぬめりです。食品工場の排水は、この有機物が家庭よりずっと多く流れ込みます。
ぬめりの層は、流れてきた有機物を捕まえてさらに厚くなります。表面を洗い流しても、根の部分が残るとすぐに戻るのはこのためです。発生源を断つ清掃が、毎日の作業として欠かせない理由でもあります。
くわしいご案内監査で毎回同じところを指摘される|清掃・防虫・機器の付着を、水の側から
排水に出ていく有機物の量は、何で変わるか
排水に流れ込む有機物の量は、工程で決まっています。多いのは、茹で湯を入れ替えたときのでんぷんを含んだ湯、洗浄の最初のすすぎ、床に落ちた原料を水で流す作業です。
茹で湯の入れ替え回数が多いほど、でんぷんを含んだ湯が排水に出ていく回数も増えます。残渣を水で流さずに先に固形で回収する、最初のすすぎ水を分けるといった工程の手順でも、流れ込む量は変わります。
工程ごとにどれだけ流しているかは、排水の升で湯替えや洗浄の時間帯に水を汲み、濁りを見比べるだけでもおおよそ分かります。どの工程の後に濁りが濃くなるかが分かれば、発生源の清掃に力を入れる場所と、流す量を減らす工程の順番が決まります。
残留を抑えると、防虫管理の何が軽くなるか
UFB DUAL® の水は、汚れが付く力を弱めて水流で離れやすくし、いったん落ちた汚れが再び付くのも抑えます。排水管の内側で有機物の付着と堆積が緩やかになれば、ぬめりの層が育つ速さも緩やかになる方向です。
餌源となる有機物の残留を抑えることは、防虫管理の負担軽減につながります。排水溝の清掃で落としやすくなり、同じ清掃の回数でも状態を保ちやすくなることが期待できます。うどんの茹で湯では濁りとでんぷんの流出が抑えられるので、流れ込む有機物の側にも働きます。
排水管の内側の変化には時間がかかります。食品工場の排水管では、取り付けてすぐは変化がなく、6か月を過ぎた頃から清浄化が進んだ事例があります。
軽くならないところ
外から入ってくる虫は、排水の状態とは関係がありません。建物の隙間、搬入口の管理、照明の位置といった入れない手は、これまでどおり必要です。
トラップによる捕獲数の記録と、委託業者による点検も続けます。排水の側の見直しの効果は、その記録で確かめます。発生源の場所ごとの捕獲数を、取り付けの前後で同じ期間並べると、どの場所で変化があったかが分かります。
よくあるご質問
排水溝の虫はいなくなりますか
水を変えるだけで虫がいなくなるわけではありません。水の側でできるのは、餌源になる有機物とぬめりの残り方を緩やかにすることです。餌源の残留を抑えることは防虫管理の負担軽減につながりますが、清掃と点検、トラップの記録はこれまでどおり続けてください。
薬剤を使わずに済むようになりますか
水を変えただけで薬剤が要らなくなるわけではありません。防虫の薬剤の使い方は、委託業者と取り決めた管理の計画で決めるものです。排水の側の見直しは発生源の餌を減らす手で、薬剤の手とは受け持ちが違います。見直すなら、捕獲数の記録で変化を確かめた後です。
効果はどのくらいで分かりますか
排水管の内側は変化が遅い場所で、6か月を過ぎた頃から清浄化が進んだ事例があります。発生源の場所ごとの捕獲数と、排水溝の清掃のしやすさを、半年以上の単位で比べてください。
排水溝の清掃の回数は減らせますか
記録で状態が保てていると確かめられれば、見直せます。汚れが付く力が弱まれば、同じ回数でも状態を保ちやすくなる方向です。回数を減らすかどうかは、清掃後の状態と捕獲数の記録を見て、品質保証部の判断で決めてください。
工場全体に入れる必要がありますか
必要はありません。茹で釜や洗浄の系統など、排水に有機物を多く流している工程の系統だけに取り付けることもできます。対象を絞ると口径が小さくなり、工事の範囲も小さくなります。
防虫の委託費は下がりますか
水を変えただけでは下がりません。委託の内容と頻度は、捕獲数の記録と点検の結果をもとに業者と決めるものです。排水の側の見直しで発生源の状態が保ちやすくなれば、その記録が、委託の内容を見直すときの材料になります。
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