CIP洗浄で最初に見直せるのは、薬剤の濃度ではなくリンスに使う水です。給水の水質は、プレリンスと中間リンスという時間と水量の多い工程に効きます。
元栓に1台入れると、CIPの給水、手洗浄、床洗いの水がまとめて変わります。水圧と水量を落とさないので、既存のCIP設備の条件を変えずに入れられます。
CIPの時間と水量、薬剤の使用量を見直したい品質保証部と設備保全のご担当者さまに向けて、給水の水質から入る場合の考え方と検証の組み方を書きました。
CIPの時間と水量は、どの工程に積まれているか
定置洗浄は、プレリンス、アルカリ洗浄、中間リンス、酸洗浄、最終リンス、仕上げのサニテーションという順に並びます。このうち薬剤が働いている時間は、全体の一部です。
時間と水量の多くは、前後のリンスに入っています。プレリンスで残留物をどこまで流せたかで、アルカリ工程の負荷が決まり、中間リンスと最終リンスの回数も決まります。ここが短くなると、洗浄全体の停止時間が短くなります。
だから見直しは、薬剤の濃度を上げ下げする前に、リンスの水そのものから入るほうが筋が通ります。設備を止める時間と、投入する水量という、金額に直結する2つが動くからです。
| 数える項目 | 数え方 | 自社の数字 |
|---|---|---|
| 1回のCIP時間 | 工程ごとの時間の合計(分) | |
| 1回の使用水量 | 各リンスの流量 × 時間(m3) | |
| 1日の回数 | ライン数 × 1日のCIP回数 | |
| 年間の水量 | 1回の水量 × 1日の回数 × 稼働日数 |
この表は計算の例です。ご自身の数字を入れて確かめてください。
落ちにくい汚れは、3種類に分かれる
ひとつめはタンパク質と脂質です。熱をかけた面に焼き付くと、アルカリでゆるめてから流す工程が必要になります。ふたつめは無機のスケールで、熱交換器やノズルの内側に固まり、酸洗浄の対象になります。
みっつめがバイオフィルムです。微生物とその分泌物が壁面に定着した層で、いちど定着すると水流だけでは離れにくくなります。表面にスケールのざらつきがあると、その上に定着しやすくなり、2種類の汚れが重なって残ります。
洗浄の設計で厄介なのは、この3種類が同じ配管の同じ場所に層をつくる点です。落ちにくい場所は、たいてい流速が落ちる継ぎ目とバルブの周りに集まります。
給水の水質が効く工程
ウルトラファインバブルは直径1マイクロメートル未満の泡で、浮き上がらずに水の中を長くただよいます。表面はマイナスに帯電していて、プラスに帯電した疎水性の汚れに吸着し、付着力を弱めて水流で離れやすくします。濡れ性が高く、継ぎ目や細い流路の隙間にも入り込みます。
効き方が見えやすいのは、薬剤の入らないプレリンスと中間リンス、そして分解した部品のつけ置きです。厨房機器メーカーのラボで行われた洗浄力の比較試験では、つけ置き洗いで差が大きく出ています。
設備側の条件は変わりません。減水率は約5%なので、既存のCIPポンプの流量設計とノズルの条件をそのまま使えます。密閉配管の中だけで泡をつくるため外気を取り込まず、水質を変えないので、衛生基準の厳しい工程にも入れられます。
位置づけは、いまの洗浄とサニテーションの工程に重ねて使う技術です。法令と社内基準で決まっている手順と記録は、これまでどおり続けていただきます。
検証をどう設計するか
変えるのは水だけにします。同じライン、同じ薬剤濃度、同じ時間で回し、給水だけを切り替えます。同時に薬剤も時間も変えると、どちらが効いたのか読めなくなります。
見るのは3つです。分解部品と覗き窓からの目視、拭き取りの結果、そして洗浄後の残留を測る拭き取り検査の数値。いずれも導入前に2週間ぶんの記録を取り、同じ手順で後を比べます。
期間の見方には、場所ごとの差があります。食品工場の排水管では、導入してすぐの時期は変化がなく、6か月を過ぎた頃から内側の清浄化が進んだ記録があります。配管の奥は、それだけの通水量が積み上がってから動く場所です。CIPのリンス工程は、これより早く記録に現れます。
薬剤と水量を、どの順番で見直すか
順番は、記録、リンス、薬剤です。まず落ちやすさが変わったことを目視と拭き取りで確かめます。次に、プレリンスと中間リンスの時間と回数を1段ずつ下げ、結果が変わらないことを同じ記録で確認します。
薬剤の濃度に触るのは最後です。濃度は洗浄の設計値であり、バリデーションの根拠と結びついています。動かすなら、変更の記録と再バリデーションを前提に、品質保証部の判断で進めていただく領域です。
水量と停止時間が減れば、上水と排水の費用、ボイラーの燃料、そしてラインを止めている時間が同時に動きます。洗剤の在庫と薬剤の取り扱いにかかる安全管理の手間も、見直しの対象に入ってきます。
設置場所・費用と、工事のあいだの断水
元栓に1台入れて工場全体を対象にするほか、洗浄用の系統だけ、野菜の加工場だけ、というように工程を限って入れることもできます。対象を絞れば口径も小さくなり、検証もしやすくなります。
口径は給水管の太さで決まります。工場では40Aが2,500,000円、50Aが3,500,000円(税抜)で、工事費は150,000円程度が基準です。水道メーターまわりの仕上げが石材やタイルの場合は、復元の費用が別に必要になります。
水が止まるのは1〜2時間です。配管を切って UFB DUAL® をつなぎ込んだあと、接着剤が固まるまで通水できないためです。全体は3時間〜半日で、計画停止の日に収まります。受水槽のある工場では、槽に貯まった水を使えるので製造側は止まりません。
| 口径 | 当社販売価格(税抜) | メーカー希望小売価格 | 工事費(税抜・目安) |
|---|---|---|---|
| 25A | 600,000円 | 850,000円 | 50,000〜80,000円 |
| 40A | 2,500,000円 | オープン価格 | 150,000円程度 |
| 50A | 3,500,000円 | オープン価格 | 150,000円程度 |
出典:自社の価格表と工事費表(2026-09-26 時点)。税抜。
よくあるご質問
既存のCIP設備を改造する必要はありますか
ありません。取り付けるのは水道メーターの二次側で、CIPポンプ・タンク・ノズルはそのまま使います。減水率は約5%なので、流量の設計条件も保てます。
洗浄時間や薬剤はどれくらい減りますか
落ち方は汚れの種類と設備の状態、水質で変わるため、数字は自社の記録で出していただく形になります。まず導入前の時間・水量・拭き取り結果を2週間ぶん取り、同じ手順で比べてください。
衛生管理の工程を置き換えられますか
置き換えるものではありません。洗浄とサニテーション、そして記録は、いまの手順のまま続けていただきます。水の側でできるのは、汚れが付く力を弱めて落としやすくするところまでです。
工事で製造を止める必要はありますか
水が止まるのは1〜2時間で、配管をつないだ接着剤が固まるまで通水できないためです。全体は3時間〜半日なので、計画停止や休日に合わせて組めます。受水槽がある工場では製造側は止まりません。
入れたあとの費用と保証はどうなりますか
可動部と消耗品がなく、電源も薬剤も使わないため、入れたあとの費用は発生しません。保証は計10年で、メーカー保証2年と当社の延長保証8年を合わせたものです。窓口は当社ひとつです。
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