この記事の結論
業務用エアコンの電気代を下げる方法は、費用の小さい順に、運用の見直し、清掃と整備、省エネ装置の後付け、機器の更新の4つです。設定温度や運転時間の見直しは費用がかからず、フィルターや室外機の清掃は毎年の外注費、装置の後付けと機器の更新は設備投資になります。
運用の見直しと清掃を済ませてから消費電力を測り、その数字を見て、装置を付けるか機器を更新するかを決めるのが順番です。
業務用エアコンの電気代を下げるよう求められても、施策が多く、どれから始めればよいか決めにくいものです。取れる対策を費用の小さい順に4つに分け、それぞれで電気代が下がる理由と、次の対策に進む目安を説明します。
対策は、費用のかかり方で4つに分けられます
省エネの施策は数が多く、並べ方を決めないと比べられません。費用のかかり方で4つに分けると、自社がどこまで取り組んだかを確かめやすくなります。
| 対策 | 費用の出方 | 効果の特徴 |
|---|---|---|
| 運用を変える | 費用なし | すぐ下がるが、運用が戻ると効果も戻る |
| 清掃・整備 | 外注費として毎年 | 汚れで落ちた分が戻る。時間がたつと再び汚れる |
| 省エネ装置を後付けする | 設備投資(既存機はそのまま) | 機器の内部の熱交換の効率を上げる。設置後の維持費はかからない |
| 機器を更新する | 設備投資(工期と停止が大きい) | 能力・制御・冷媒まで新しくなる |
運用でできること
費用をかけずに見直せるのは、設定温度、運転する時間、そして風の通り道です。たとえば、設定温度を1度ゆるめる、始業前の予冷を必要な部屋に絞る、無人の時間帯に止まるようスケジュールを組む、といった方法で、決めた翌日から効果が出ます。
見落とされやすいのが室外機の周りです。荷物や自転車が置かれて風が抜けなくなると、出した熱い空気を吸い直して余計に電気を使います。柵や壁との距離を空け、吸い込み側に物を置かないだけで変わります。
もうひとつ費用がかからないのは、空調する範囲の見直しです。使っていない会議室や倉庫の系統を止める、外気を取り入れる量を季節で変える、扉や間仕切りで冷やす体積を小さくする、といった方法があります。設備ではなく決めごとなので、掲示と朝礼で共有すればすぐに始められます。ただし運用で出した効果は、担当者が替わると元に戻りやすいため、半年ごとに設定を確かめる担当を決めておくと長続きします。
清掃・整備でできること
フィルターと室内機の汚れは、風量を落とします。室外機のフィンが詰まると、熱を捨てる力が落ちて圧縮機の仕事が増えます。どちらも清掃で戻る部分があり、外注費と時間を使う代わりに毎年やり直せます。
清掃で取り戻せるのは、フィンやフィルターなど空気が通る部分の汚れで落ちていた分です。冷媒が流れる配管や熱交換器の内側に付いた油膜は、清掃では取れません。清掃の前後に消費電力を測ると、清掃で戻らない分がどれだけ残っているかが分かります。
清掃を毎年発注している施設では、金額の根拠を残しておくと次の予算が通りやすくなります。作業の前後で消費電力を測り、写真と一緒に記録しておく。これを2年続けると、周期が長すぎるのか短すぎるのかも読めるようになります。
くわしいご案内業務用空調の電気代は、いくら下げられるのか|削減率の見方・投資回収・メーカー保証の扱い
いまの機器に省エネ装置を取り付ける
3つ目は、機器を入れ替えずに、いま動いている空調機と冷凍機の内部の効率を上げる方法です。当社が扱う α-HT® は、冷媒配管の高圧管(液管)にインラインで接続する流体攪拌装置で、冷媒と冷凍機油を攪拌し、熱交換器や配管の内側に油膜ができにくい状態をつくります。製造元の DDe株式会社が公表している消費電力の削減率は最大35%で、稼働時間が長いなど条件のそろった設備での上限の値です。同社が公表している導入実績は3万台です。
設置は冷媒の回収から再充填までを伴う専門工事で、冷凍保安規則に準じて有資格の施工者が行います。本体には可動部がなく、電気も水も使わないため、設置後の点検の契約や消耗品の交換は発生しません。万一 α-HT® が原因で機器が故障した場合は、冷媒の回収から元の配管構成への復旧まで、原状復帰の費用を当社が負担します。
効果が大きく出やすい条件
次の条件が重なっているほど、減る金額が大きくなります。
- 1日12時間以上、または24時間動いている
- 冷暖房の能力が大きく、空調の負荷が高い
- 冷媒配管が長い
- 気密性の高い空間を空調している
- 設置から年数がたっている
機器更新と比べたときの位置
更新は、能力の見直し、インバーター制御、新しい冷媒までまとめて手に入る代わりに、工期と停止の範囲、そして予算がいちばん大きくなります。残りの年数が短い機器や、部品の手配が難しくなった機器では、更新が適しています。
一方、機器がまだ使えて止められない場合は、更新の計画を待つあいだの電気代を下げる方法が要ります。省エネ装置の後付けは、この更新までの期間に使える方法です。更新の予算が数年先という施設では、両方を順番に組み合わせる形になります。
自社の状況での選び方
進める順番は、まず運用を見直し、次に清掃と整備を済ませ、そのうえでいまの消費電力を測り、その数字を見て装置か更新かを決める、という流れです。測る前に投資を決めると、あとで効果を説明できません。
測り方は決まっています。分電盤の電線にクランプを取り付けて電流ロガーで消費電力を記録し、室外機の吸込口と室内機の吹出口・吸込口の温度も同時に取ります。対策の前と後で、外気温と運転の条件が近い日を選んで並べれば、どの対策の効果かが分かります。
4つのうちどこまで済んでいるかを先に確かめると、次に取り組む対策が絞れます。運用と清掃が済んでいて、機器がまだ使え、1日12時間以上動いている設備は、省エネ装置の効果が金額に表れやすい設備です。
よくあるご質問
いちばん費用対効果が高いのはどれですか
費用に対する効果が大きいのは、費用のかからない運用の見直しと、清掃です。まずここを済ませ、そのうえで1日12時間以上動いている機器があれば、省エネ装置で機器の内部の効率を上げる方法が次の候補になります。稼働時間が短い事務所だけの建物では、装置の効果が金額に表れにくくなります。
設定温度を変えるだけで、どれくらい下がりますか
建物の断熱、外気の取り入れ量、在室の人数で変わるため、一律の数字はありません。下がったかどうかは、消費電力を測れば分かります。同じくらいの外気温の日を選んで比べるのが確実です。
省エネ装置を付けると、エアコンのメーカー保証はどうなりますか
空調機のメーカー保証の扱いは保証書の条件によるため、ご契約の前に保証書で確かめます。そのうえで当社は、万一 α-HT® が原因で機器が故障した場合、冷媒の回収から元の配管構成への復旧まで、原状復帰の費用を負担します。
機器の更新と省エネ装置は、どちらか一方しか選べませんか
いいえ、両方できます。更新の予算が数年先の場合は、いま動いている機器で電気代を下げておき、更新のときに新しい機器の液管の太さを見て、付け替えるかを判断します。新しい機器にも、液管の太さが合えば取り付けられます。
工事のあいだ、空調は止まりますか
対象の系統は止まります。冷媒の回収、接続、耐圧気密試験、真空乾燥、冷媒の再充填、運転確認までを一続きで行うためです。建物全体を止める必要はなく、系統ごとに日を分けて進めることもできます。
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