この記事の結論
基本料金を下げるには、過去1年で最も大きかった30分間の使用電力(最大需要電力)を下げる手が要り、従量料金を下げるには、使う電力量そのものを減らす手が要ります。
最大需要電力はピークの時間帯の設備の重なり方で、使用電力量は長く動く設備の効率と運転時間で決まるため、同じ省エネの手でも効く側が分かれます。
請求書で基本料金と、電力量に比例する項目の比を出し、比率の高いほうから手を付けるのが目安です。
「電気代を下げてほしい」と言われたとき、基本料金と従量料金のどちらを狙うかで、選ぶ手段も効果の確かめ方も変わります。高圧で受電している施設を例に、2つの料金の性格と、それぞれに効く手を分けて整理します。
2つの料金の性格
当然ですが、基本料金は使わなくてもかかる固定費、従量料金は使った分だけかかる変動費です。ただし高圧の基本料金は、固定費でありながら施設の使い方で毎年変わります。500kW未満の実量制では、その月と過去11か月の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力になり、これに単価と力率の割引・割増を掛けて基本料金が決まるからです。
最大需要電力は、30分ごとの平均使用電力(デマンド値)の最大値です。基本料金は1年のうちの最も多く使った30分で決まり、従量料金はその月のすべての時間に使った電力量で決まります。同じ施設の電気代でも、見ている時間の幅がまったく違います。
| 比べる点 | 基本料金 | 従量料金(燃料費調整額・再エネ賦課金を含む) |
|---|---|---|
| 金額を決めるもの | 最大需要電力(kW)と力率 | 使用電力量(kWh) |
| 見ている時間 | 過去12か月で最大の30分 | その月のすべての時間 |
| 下げた効果が請求書に出る時期 | 高かった月が12か月の枠から外れてから | 下げた月から |
| 効く手 | ピークの重なりを避ける、デマンド監視、力率の改善 | 運転時間の見直し、機器の効率を上げる |
基本料金を下げる手(ピークをずらす・見える化・設備の分散)
基本料金を下げるには、1年でいちばん高い30分を低くします。夏の午後に空調が一斉に立ち上がり、同じ時間帯に生産設備や厨房の機器も動く、という重なりが山をつくります。
- ピークをずらす:起動の時刻を分ける、最も暑い時間帯より前に予冷しておく
- 見える化:デマンド監視装置で30分ごとの値を追い、目標値を超えそうなときに知らせる
- 設備の分散:同時に動かす必要のない設備の運転時間を分ける
一度上がると、1年間はその値のまま
実量制では、最大需要電力が一度上がると、その月が12か月の枠を抜けるまで契約電力は下がりません。裏を返せば、年に数回の山を削るだけで、翌年の基本料金を下げられることがあります。力率が85%を下回っている場合は、その改善も基本料金に効きます。
従量料金を下げる手(使う量そのものを減らす)
従量料金は、使用電力量に単価を掛けたものです。単価は電力の買い方、つまり契約の見直しで変わりますが、施設の中で打てる手は使う量を減らすことです。運転時間を短くする、設定温度を見直す、同じ仕事を少ない電力でこなせるよう機器の効率を上げる、の3つに分かれます。
使用電力量を減らすと、電力量料金だけでなく、同じく使用電力量に比例する燃料費調整額と再エネ賦課金も減ります。再エネ賦課金は2026年度が1kWhあたり4.18円(経済産業省、2026年3月公表)なので、1kWh減らすごとに、電力量料金の単価にこの額と燃料費調整単価を足した金額が浮きます。
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機器の効率を上げると、どちらに効くのか
空調や冷凍機の効率を上げると、同じ室温・庫内温度を保つのに要る圧縮機の運転が短くなります。まず減るのは使用電力量で、従量料金の側に効きます。
基本料金に効くかどうかは、その機器がピークの30分にどれだけ電力を使っていたかで変わります。空調が最大需要電力の大部分を占める施設で、ピークの時間帯にも圧縮機が休む時間が生まれれば、最大値が下がる可能性があります。一方、生産設備の立ち上がりでピークが決まっている工場では、空調の効率を上げても最大値は変わらないことがあります。
両方に効く場合と、片方だけの場合
よく検討される手段を、どちらの料金に効くかで並べると次のとおりです。
期待と結果をずらさないために
両方に効くのは、ピークの時間帯の負荷そのものを下げる手です。片方にしか効かない手を選ぶときは、自社の請求書でその側の比率が高いかを先に見ておくと、導入後に「思ったほど下がらない」という食い違いが起きにくくなります。
| 手段 | 基本料金 | 従量料金 |
|---|---|---|
| デマンド監視と運転時刻の調整 | 効く | 時間をずらすだけなら、ほぼ変わらない |
| 進相コンデンサによる力率の改善 | 効く(85%を上回る分の割引) | 変わらない |
| 運転時間・設定温度の見直し | ピークの時間帯の負荷が減れば効く | 効く |
| 機器の効率を上げる(更新・装置の追加) | ピークの時間帯の負荷が減れば効く | 効く |
| 電力の契約の見直し | 単価が変われば効く | 単価が変われば効く |
当社が測って確かめているのは、使用電力量の側です
当社が扱う α-HT® は、空調・冷凍機の冷媒配管(液管)に接続し、冷媒と冷凍機油を攪拌して熱交換の効率を高める装置です。圧縮機の稼働が減ることで使用電力量が下がり、従量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の3項目が減ります。
導入の前後では、対象機器の分電盤にクランプと電流ロガーを取り付けて消費電力を記録し、外気温も合わせて取り、運転状況の近い日どうしを比べます。数字としてお出しするのは、この使用電力量の差です。最大需要電力は施設のほかの設備の動き方でも変わるため、基本料金への影響は、電力会社のデマンドの記録を導入の前後で並べてご判断いただいています。
自社の請求書でどちらが重いかを見る
直近12か月の請求書から、基本料金の合計と、電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の合計を出して比を取ります。あわせて、契約電力を決めた月と、その月の最大需要電力が何時ごろに出たかを確かめます。30分ごとの記録は、電力会社の会員サイトで見られることがあります。
基本料金の比率が高く、契約電力が年に1〜2回の山で決まっているなら、ピークの管理が先です。夜も休日も使用電力量が落ちない施設、たとえば冷蔵・冷凍倉庫や、24時間空調を止めない病院・介護施設では、電力量に比例する項目の比率が高くなりやすく、長く動く機器の効率から手を付けたほうが年間の金額が大きくなります。
よくあるご質問
電力会社に頼めば、契約電力を下げてもらえますか
実量制(500kW未満)では、申し出だけでは下がりません。契約電力は過去12か月の最大需要電力で自動的に決まるため、実際の最大需要電力を下げ、高かった月が12か月の枠から外れるのを待ちます。500kW以上の協議制では、電力会社との協議で決まります。
デマンド監視装置を付ければ、従量料金も下がりますか
監視装置そのものは電力を減らしません。警報に合わせて設備を止めたり時刻をずらしたりすれば、止めた分の使用電力量は減りますが、あとで取り戻す運転になれば従量料金はあまり変わりません。
基本料金と従量料金、どちらから手を付けるべきですか
請求書で比率の高いほうが目安です。基本料金は一度山を削ると最大1年間効き、従量料金は下げた月から毎月効くので、それぞれの年間の金額に直して比べると判断しやすくなります。
α-HT® を付けると、最大需要電力も下がりますか
当社が導入の前後で測って数字をお出ししているのは、対象機器の消費電力(使用電力量)です。最大需要電力への影響は施設全体の負荷の重なり方で変わるため、電力会社のデマンドの記録を導入の前後で比べて確かめるのが確実です。
試算には、何を用意すればよいですか
直近の請求書の単価(電力量料金・燃料費調整・再エネ賦課金)と、空調・冷凍機の型式、台数、1日の稼働時間があれば、無料シミュレーションで削減金額を出せます。
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