この記事の結論
工場の電気代は、製品をつくる生産設備と、空調・冷却・空気圧縮機・照明・給排水などのユーティリティに分けて見ると、手を付ける場所が決まります。
生産設備は工程と品質に直結して手を入れにくい一方、ユーティリティは生産を変えずに効率を上げられる部分です。
ユーティリティのうち、長時間・高負荷で動く空調と冷却の設備は、冷媒配管の内側が手つかずのことが多い部分です。系統ごとに測ってから手を付けます。
製造業の電気代が上がり、「省エネの施策を出してほしい」と言われた設備・総務のご担当者さまに向けて、工場の電気の使われ方を生産設備とユーティリティに分け、空調・冷却の側でできることを整理します。
工場の電気の内訳(生産設備・空調・コンプレッサー・照明・給排水)
工場の電気は、大きく生産設備とユーティリティに分かれます。割合は業種と工程で大きく違うため、ここでは自社の内訳を出すための分け方を示します。
2つの「コンプレッサー」
同じコンプレッサーという呼び名でも、空気をつくる空気圧縮機(エアコンプレッサー)と、空調・冷凍機の中で冷媒を圧縮する圧縮機は別の設備です。工場の省エネでよく挙がるエア漏れ対策は前者の話で、後者の効率は空調・冷却の側で考えます。
| 分類 | 主な設備 | 使用電力量が連動するもの |
|---|---|---|
| 生産設備 | 加工機・成形機・炉・ヒーター・搬送 | 生産量と稼働日 |
| 空調 | 工場と事務所の空調、クリーンルーム・恒温室の空調機 | 外気温と稼働時間 |
| 冷却 | チラー、冷凍機(冷蔵・冷凍) | 工程の熱と外気温 |
| 空気圧縮機 | 工場用のエアコンプレッサー | エアの使用量と漏れ |
| 照明 | 工場内・倉庫・屋外 | 点灯時間 |
| 給排水 | ポンプ・排水処理 | 流量 |
ユーティリティ側でできること
生産設備の電力を下げるには、工程や条件の変更、場合によっては品質の確認まで要ります。ユーティリティは、製品に直接触れずに効率を上げられる部分です。よく挙がるのは、エア漏れの修理と吐出圧力の見直し、照明のLED化、ポンプやファンのインバーター化、空調の設定温度と運転時間の見直しです。
これらを一通り済ませた工場で残りやすいのが、空調と冷却の設備の、機器の中の効率です。運転の仕方を変える手ではなく、同じ運転で使う電力を減らす手になります。
空調の負荷が高い工程
空調の負荷が高くなるのは、工程の熱が大きい場所と、温度や湿度の条件が厳しい場所です。
- クリーンルーム:清浄度を保つために大量の空気を循環させ、温湿度も一定に保つ
- 恒温室・検査室:測定の精度のために温度の幅を狭く保つ
- 食品の加工室・包装室:低温を保ち、冷蔵・冷凍の保管も併設されることが多い
- 成形機や炉のある建屋:機械の熱を運び出し続ける
- 工程の冷却水をつくるチラー:生産設備の冷却に使う
製造元の資料の区分では
製造元の DDe株式会社の資料では、クリーンルームは効果の大きい区分に、製造工場はそれに続く区分に入っています。同じ工場の中でも、24時間動くクリーンルームや冷却の系統と、日中だけ動く事務所の空調とでは、同じ手を打っても金額が違います。
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稼働時間と負荷の組み合わせ
空調・冷却の電気代の大きさは、機器の能力と負荷、稼働時間の掛け算です。能力の大きい機器が高い負荷で長時間動いている系統ほど、効率を上げたときに減る電力量が大きくなります。
2交代・3交代で動く工場や、休日も止めない冷却の系統は、稼働時間の条件がそろっています。反対に、日中だけ動く小型の空調や5馬力以下の機器は、効率を上げても金額が小さくなりがちです。候補は、能力・負荷・稼働時間の3つがそろう系統から選びます。
機器の中の効率
空調機や冷凍機、チラーの中では、冷媒と一緒に冷凍機油が循環しています。この油が配管の内壁や熱交換器の表面に膜をつくると、熱の受け渡しが悪くなり、流れの抵抗も増えます。設定温度に届くまで圧縮機が長く回るので、その分の電力が増えます。熱交換器の外側は清掃できますが、冷媒配管の内側には清掃の手が届きません。
当社が扱う α-HT® は、冷媒配管の液管にインラインで接続する流体攪拌装置です。冷媒と冷凍機油を攪拌して油膜ができにくい状態をつくり、熱交換の効率を高めます。対象はパッケージ空調機、ビル用マルチ型空調機、セントラル空調、外調機、チラー、冷凍機(冷蔵・冷凍)です。
対象にならない機器
吸収式とターボ式の冷凍機、家庭用のルームエアコンは対象外で、液管が二分(6.35mm)の機器には取り付けられません。GHP(ガス式ヒートポンプ)だけの工場は、評価が電力ではなくガスの使用量になるため、事前にご相談ください。
測る場所(系統ごとの計測)
工場全体の電力量計では、どの設備で電力が増えたのか、何で減ったのかが分かりません。生産量の変化が混ざるためです。空調・冷却の効果は系統ごとに測ります。
対象の機器につながる分電盤のブレーカー電線のうち、最も電流値の高い線にクランプを取り付け、電流ロガーで消費電力を記録します。あわせて室外機の吸込口に温度計を日陰の位置に置いて外気温を、室内機の吹出口と吸込口にも温度計を置いて運転の条件を記録します。工程の熱が大きく変わる系統では、生産量の近い日を選んで導入の前後を比べます。計測器は製造元からの貸与品で、分電盤での作業は施工者が絶縁手袋を着けて行います。
どの順で手を付けるか
費用の小さい手から順に進め、効果を1つずつ確かめます。
- 系統ごとの電力を把握する(受電設備や分電盤の計測、なければ期間を区切ってロガーで測る)
- 費用のかからない運用を整える(エア漏れ、設定温度、運転時間、不要な照明)
- 清掃と整備で戻る分を戻す(フィルター、熱交換器の外側、冷媒量)
- 能力・負荷・稼働時間のそろう空調・冷却の系統で、機器の中の効率に手を入れる
- 残りの使用年数が短い機器は、更新と並べて判断する
清掃のあとに装置を付ける理由
清掃と整備を済ませてから装置に進むと、装置で減った分と清掃で戻った分が混ざらず、稟議や社内の報告で説明しやすくなります。α-HT® は一部の系統への限定導入と実測から始め、評価レポートを見てほかの系統に広げます。
よくあるご質問
工場のエアコンプレッサーにも付けられますか
付けられません。α-HT® は冷媒が循環する空調機・冷凍機・チラーの冷媒配管に接続する装置で、空気を圧縮する設備には取り付ける冷媒配管がありません。
生産ラインを止めずに工事できますか
工事のあいだ止まるのは、対象の空調・冷却の系統だけです。冷媒の回収から再充填・運転確認まではその系統が止まるので、生産の休止日や、ほかの系統で温度を保てる時間帯に合わせて日程を組みます。
クリーンルームの空調に付けても、室内に影響はありませんか
装置は冷媒配管の中を流れる冷媒と冷凍機油に働くもので、室内の空気に触れる部分はありません。可動部も電源もなく、工事は冷凍保安規則に準じて有資格の施工者が行います。
空調・冷却が工場の電気代のどれくらいかが分かりません
受電設備や分電盤に系統ごとの電力計があれば、その記録から出せます。なければ、主な空調・冷却の系統に期間を区切って電流ロガーを付けて測ります。型式・台数・稼働時間が分かれば、無料シミュレーションで削減金額の見当も付けられます。
相談のときに何を伝えればよいですか
対象にしたい系統の室外機の型番と台数、1日の稼働時間、請求書の単価を相談内容の欄にお書きください。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。設備の写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
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