この記事の結論
病院・介護施設の空調は、病棟や居室では24時間止められず、設定温度も大きく変えられないため、運用の見直しで下げられる幅が小さい設備です。
そのため、温度と運転時間はそのままに、同じ運転で使う電力を減らす手、つまり空調機の中の熱交換の効率を上げる手が候補になります。
工事と実測は1系統ずつ行えるので、病室や居室の温度を保ったまま効果を確かめ、その結果で広げる範囲を決めます。
病院・介護施設の施設管理、事務長、経理のご担当者さまに向けて、止められない空調の電気代をどこで下げられるか、患者さま・入居者さまへの影響を出さずにどう確かめるかを整理します。
止められない空調
当然ですが、病棟や居室の空調は夜間も止められません。体温の調節が難しい高齢の方や療養中の方が過ごす場所では、夏の冷房と冬の暖房が、そのまま暮らしと療養の条件になります。
事務所ビルで効果のある、使わない時間は止める、設定温度を緩める、といった手は、病棟や居室にはほとんど使えません。運用の見直しで下げられるのは、共用部や外来・事務部門に限られがちです。
稼働時間と設定温度の制約
病院・介護施設の空調は、区画ごとに条件が違います。
表の上の区画ほど、運用では下げにくい
運用で下げやすいのは表の下のほうの区画です。一方、稼働時間の長い上の区画ほど年間の使用電力量は大きくなりやすく、そこは温度も時間も変えられません。
| 区画 | 稼働時間 | 設定温度を変えられる幅 |
|---|---|---|
| 病棟・居室 | 24時間 | 小さい(患者さま・入居者さまに合わせる) |
| 手術室・検査室など | 使用中は厳密に管理 | ほぼない |
| 厨房・給食の冷蔵・冷凍 | 冷蔵・冷凍は24時間 | ほぼない |
| 食堂・浴室・機能訓練室 | 日中が中心 | 中程度 |
| 外来・事務部門 | 診療時間・勤務時間 | 比較的大きい |
電気代の内訳
病院・介護施設の電気は、空調、照明、給湯と厨房、医療や介護の機器、エレベーターなどに使われています。割合は建物の規模と空調の方式(個別の空調機か、中央の熱源か)で大きく違うので、まず自施設の請求書と、系統ごとの記録から見ます。
請求書では、基本料金と、使用電力量に比例する電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金を分けて見ます。空調が24時間動く施設は、夜間も使用電力量が落ちにくく、電力量に比例する部分が大きくなりがちです。2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円で、使用電力量を減らせばこの分も減ります。
くわしいご案内業務用空調の電気代は、いくら下げられるのか|削減率の見方・投資回収・メーカー保証の扱い
衛生・快適性を落とさずに下げる
換気の量と温湿度の条件は、施設の基準と運営の判断で決まっているものなので、そのままにします。病院・介護施設で空調の電気代を考えるときの前提です。
そのうえで残る手は、同じ条件を少ない電力で保つことです。空調機の外側では、フィルターと熱交換器の清掃、室外機の周りの風通しの確保があります。清掃の手が届かない機器の中では、冷媒配管の内側が残ります。
機器の中の効率
業務用の空調機では、冷媒とともに冷凍機油が配管の中を回っています。この油が配管や熱交換器の内側に膜をつくると熱が伝わりにくくなり、同じ温度を保つのに圧縮機が長く回ります。空調の消費電力は、一般にその約90%が圧縮機によるものとされています。
当社が扱う α-HT® は、空調機の冷媒配管の液管にインラインで接続し、冷媒と冷凍機油を攪拌して油膜ができにくい状態をつくる流体攪拌装置です。温度の設定や運転時間は変えずに、圧縮機の稼働を減らして消費電力の削減を狙います。可動部がなく電気も水も使わないため、設置後に点検や消耗品の交換が増えることもありません。
病院・介護施設の位置づけ
製造元の DDe株式会社の資料の区分では、病院と介護施設は効果が中程度の区分に入ります。そのなかで24時間運転の病棟・居室の系統は、稼働時間が長いという条件がそろっています。製造元の DDe株式会社が公表している削減率は最大35%で、条件がそろった設備での上限です。
実測をどう組むか(入居者・患者さまへの影響を出さない段取り)
工事では、対象の系統の冷媒を一度回収し、装置を接続して耐圧気密試験と真空乾燥を行ってから、回収した冷媒を再充填します。そのあいだ、その系統の空調は止まります。
- 工事は1系統ずつ行い、隣接する系統や予備の空調で温度を保つ
- 外気温の穏やかな季節と時間帯に日程を合わせる
- 病棟・居室の系統は、看護・介護の責任者と、居室を移る必要があるかを先に決める
- 室外機の運転に異常がある系統は、修理してから設置する
計測は機械室と屋外が中心
消費電力は対象の系統の分電盤に取り付けたクランプと電流ロガーで、外気温は室外機の吸込口で記録します。室内機の吹出口と吸込口に小型の温度計を付けるほかは、機械室や屋外での作業です。導入の前後で外気温の近い日を選んで比べ、評価レポートにまとめます。まず1系統で測り、その結果で広げる範囲を決めます。
補助金と報告
国の省エネ補助金は年度ごとに制度名や対象設備が変わり、機器の更新を対象とする制度では、後付けの装置がどう扱われるかを事務局に確かめる必要があります。
年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kl以上の事業者は、省エネ法の特定事業者として毎年の定期報告があります。病院や介護施設を運営する法人がこれに当たる場合、系統ごとの消費電力の実測記録は、省エネの取り組みの根拠として報告の資料に使えます。
よくあるご質問
工事のあいだ、病室や居室は冷暖房なしになりますか
止まるのは工事中の系統だけです。1系統ずつ進め、隣の系統や予備の空調で温度を保てる日程を、施設の責任者の方と先に決めます。外気温の穏やかな季節を選ぶと、影響を小さくできます。
医療機器や非常用の電源に影響はありますか
ありません。α-HT® は電源を使わず、冷媒配管の中を流れる冷媒と冷凍機油に働く装置で、電気の系統にはつながりません。工事で止まるのは対象の空調の系統だけです。
設定温度を変えずに、本当に電気代は下がりますか
設定温度に届くまでの圧縮機の運転が短くなることで、消費電力の削減を狙う装置です。下がった量は、導入の前後に同じ系統で消費電力を測り、外気温の近い日どうしで比べて確かめます。
介護施設のビル用マルチの空調にも付けられますか
付けられます。対象はパッケージ空調機、ビル用マルチ型空調機、セントラル空調、外調機などで、型式は液管の太さで決まります。液管が二分(6.35mm)の機器と、家庭用のルームエアコンは対象外です。
相談の前に、何を用意すればよいですか
室外機の型番と台数、系統ごとの1日の稼働時間、請求書の単価があれば、無料シミュレーションで削減金額を出せます。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。室外機の銘板や設備の図面の写真は、そのメールに添付してご返信ください。
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