この記事の結論
高圧電力の請求書は、契約電力(kW)で決まる基本料金と、使った電力量(kWh)に比例する電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の2つに分けて読みます。
基本料金は過去1年で最も大きかった30分間の使用電力と力率で決まり、電力量に比例する3項目は、使う量を減らせばその分だけ減ります。
どちらの比率が高いかで打つ手が変わるので、まず請求書の契約電力・力率・使用電力量・各単価の4か所を確かめます。
毎月の請求書を受け取っている経理・総務・設備のご担当者さまに向けて、高圧の請求書に並ぶ項目を「何で金額が決まるか」で分け、それぞれにどんな手が効くかを整理します。
請求書に並んでいる項目
高圧(一般に契約電力50kW以上)で受電している施設の請求書には、電力会社や契約によって表記の違いはあるものの、おおむね次の4項目が並びます。項目の名前はご存じの方が多いと思いますので、ここでは金額が何に比例して決まるかに絞って並べます。
4項目のうち3項目は、使用電力量に比例します
電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金は、どれも使用電力量に単価を掛けて計算します。基本料金だけが、使った量の合計ではなく、いちばん多く使った30分の値で決まります。請求書を読むときは、この2つの性格を分けておくと、あとで手段を選ぶときの判断が速くなります。
| 項目 | 金額の計算 | 単価の単位 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 契約電力 × 基本料金単価 × 力率による割引・割増 | 円/kW(月額) |
| 電力量料金(従量料金) | 使用電力量 × 電力量料金単価 | 円/kWh |
| 燃料費調整額 | 使用電力量 × 燃料費調整単価(毎月変わり、マイナスの月もある) | 円/kWh |
| 再エネ賦課金 | 使用電力量 × 賦課金単価(年度ごとに国が決める) | 円/kWh |
基本料金は何で決まるか(契約電力 × 単価 × 力率の割引割増)
基本料金は「基本料金単価 × 契約電力 × 力率による割引・割増」で計算します。単価は契約で決まっているので、施設の側で変えられるのは契約電力と力率の2つです。
契約電力は、過去1年でいちばん大きかった30分で決まる
契約電力が500kW未満の高圧では、実量制が一般的です。電力量計が30分ごとの平均使用電力(デマンド値)を記録し、その月と過去11か月の各月の最大値のうち、最も大きい値が契約電力になります。夏の午後に一度だけ大きな値が出ると、その後1年間の基本料金がその値で計算されます。500kW以上は、電力会社との協議で決まります。
力率は85%を境に割引と割増
力率が85%を上回ると、上回る1%につき基本料金が1%割り引かれ、下回ると1%につき1%割り増しされます。力率100%なら15%の割引です。力率の決め方の例として、中部電力ミライズの高圧の料金では、昼間時間帯(8時〜22時)の有効電力量と無効電力量から、月ごとに力率を決めています。
出典:関西電力 法人向けソリューションサイト「高圧の基本料金はどのように決まる?」、中部電力ミライズ 法人のお客さま向けの料金の計算方法のページ、中小企業基盤整備機構 J-Net21「契約電力と30分デマンド値の関係について教えてください。」
従量料金
従量料金(電力量料金)は、その月の使用電力量に単価を掛けたものです。高圧の業務用・産業用の料金では、7月1日から9月30日までを夏季、それ以外をその他季として、夏季の単価を高くしている料金表が多く見られます。時間帯で単価が分かれる契約もあります。
請求書で確かめたいのは、その月の使用電力量(kWh)と、当てはまった単価の2つです。前年同月と比べるときは、量と単価を分けて見ないと、どちらで金額が増えたのかが分かりません。
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燃料費調整
燃料費調整額は、発電に使う燃料の価格の動きを電気代に反映するための項目です。東京電力エナジーパートナーの説明では、3か月間の貿易統計の燃料価格から燃料費調整単価を算定し、2か月後の電気代に反映します。燃料価格が基準を上回ればプラス、下回ればマイナスの単価になり、これに使用電力量を掛けて金額が出ます。
この単価は、施設の側では変えられません。変えられるのは、単価を掛けられる使用電力量のほうです。契約によっては、燃料費調整とは別に、電力の市場価格に連動する調整の項目が入っていることがあるので、契約書の料金の定めもあわせて確かめます。
再エネ賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、再生可能エネルギーの買い取りにかかる費用を、電気を使う側で負担する仕組みです。単価は年度ごとに経済産業省が決め、電圧に関係なく同じです。2026年度は1kWhあたり4.18円で、2026年5月分から2027年4月分の電気代に適用されます。2025年度の3.98円から0.20円上がりました。
月に10万kWhを使う施設なら、この上がり幅だけで月2万円、年24万円の増加です。単価は変えられませんが、使用電力量を減らせば、その分の賦課金も減ります。
出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日)
どの項目が、何で変わるのか
項目ごとに、施設の側で変えられるものと、それに効く手を並べると次のようになります。
1kWh減らしたときに浮く金額
使用電力量を減らす手は、電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の3項目に同時に効きます。1kWh減らしたときに浮く金額は、電力量料金の単価に、燃料費調整単価と賦課金単価を足したものです。燃料費調整単価がマイナスの月は、その分を差し引きます。削減額の試算で電力量料金の単価だけを使うと、効果を小さく見積もることになります。
業務用の空調と冷凍機は、長い時間動くぶん、使用電力量の大きな部分を占めやすい設備です。当社が扱う α-HT® は、空調・冷凍機の冷媒配管に接続して熱交換の効率を高め、圧縮機の稼働を減らすことで使用電力量を下げる装置です。効くのは使用電力量に比例する3項目の側で、導入の前後で消費電力を実測して差を確かめます。
| 項目 | 施設の側で変えられるもの | 効く手 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 最大の30分デマンド値・力率 | ピークの重なりを避ける運転、デマンド監視、進相コンデンサの点検と追加 |
| 電力量料金 | 使用電力量 | 運転時間と設定温度の見直し、機器の効率を上げる |
| 燃料費調整額 | 使用電力量(単価は変えられない) | 電力量料金と同じ |
| 再エネ賦課金 | 使用電力量(単価は変えられない) | 電力量料金と同じ |
請求書から自社の使い方を読む手順
直近12か月分の請求書、または電力会社の会員サイトの明細を並べ、次の順に見ていきます。
- 契約電力と各月の最大需要電力を並べ、契約電力を決めた月がどこかを確かめる
- 力率の欄を見て、85%を下回った月がないかを確かめる
- 各月の使用電力量を並べ、夏と冬の山の高さと、春や秋の底の高さを比べる
- 12か月の基本料金の合計と、電力量に比例する3項目の合計を出し、比を取る
比率で、先に手を付ける側が分かります
基本料金の比率が高く、契約電力が年に1〜2回の山で決まっているなら、ピークの管理が先です。電力量に比例する項目の比率が高く、春や秋の底が高い、つまり季節を問わず使用電力量が落ちない施設なら、長く動いている設備の効率が先です。冷蔵・冷凍設備や、24時間止めない空調がある施設は、多くがこちらに当たります。
よくあるご質問
請求書に力率の欄が見当たりません
電力会社や契約によっては、請求書ではなく会員サイトの明細や検針のお知らせに載っています。見当たらないときは、契約している電力会社に月ごとの力率を問い合わせると確かめられます。
燃料費調整額がマイナスの月は、省エネの効果も小さくなりますか
はい、1kWhあたりに浮く金額は小さくなります。電力量料金の単価と賦課金単価の合計から、マイナスの燃料費調整単価の分を差し引いて考えます。使用電力量そのものの減り方は変わりません。
低圧の契約でも同じ読み方でよいですか
電力量に比例する3項目の考え方は同じです。基本料金の決まり方は異なり、低圧では30分デマンド値による実量制ではなく、設備の容量やブレーカーの大きさなど、契約の種類ごとの方法で契約電力や契約容量を決めます。
空調の省エネ装置で、基本料金も下がりますか
当社が導入の前後で測り、数字としてお出ししているのは、対象機器の消費電力(使用電力量)です。最大需要電力は施設のほかの設備の動き方でも決まるため、基本料金への影響は、電力会社のデマンドの記録を導入の前後で並べてご判断いただいています。
請求書があれば、削減額を試算してもらえますか
はい。請求書の単価と、空調・冷凍機の型式・台数・1日の稼働時間をいただければ、無料シミュレーションで削減金額を算出します。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。請求書や室外機の銘板の写真は、そのメールに添付してご返信ください。
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