この記事の結論
室外機の清掃と点検で戻るのは、フィンの目詰まり、吸い込み口の前の障害物、室内機のフィルターの汚れなど、空気の通り道が原因で落ちていた分で、ここが詰まっていた機器では清掃だけで消費電力が下がります。
冷媒が流れる配管や熱交換器の内側に付いた冷凍機油の膜は、清掃では取れません。清掃の前後で消費電力を測り、以前の水準まで下がらないときは、配管の内側の油膜への対策を検討します。
業務用エアコンの清掃を毎年発注していても、清掃でどれだけ電気代が下がったのかは分かりにくいものです。清掃で戻る部分と戻らない部分を分け、その差を消費電力の測定で確かめる方法を説明します。
熱交換器が汚れると、何が起きるか
室外機の仕事は、部屋から集めた熱を外の空気へ捨てることです。フィンのあいだをほこりや綿ぼこり、厨房の排気に含まれる油分がふさぐと、風が通らなくなり、熱を捨てる力が落ちます。
熱が捨てられないと、冷媒を凝縮させる温度が上がります。圧縮機は同じ冷房をするために長く、強く働くことになり、その分が電気代になります。室内側のフィルターが詰まった場合も同じで、風量が落ちた分だけ余計に運転します。
どこまで戻るのか
清掃で戻るのは、空気の通り道にある汚れや障害物が原因の分です。フィンの目詰まり、吸い込み側に置かれた荷物、室内機のフィルターとドレン(結露水の排水)の詰まりは、取り除けば元に戻ります。
汚れる速さは、設置環境で大きく変わります。厨房の排気の近く、道路際、落ち葉の多い場所では、同じ機種でも詰まる速さがまったく違います。次の表は、どこが汚れていたときに何が起き、清掃で戻るかを分けたものです。
| 汚れている場所 | 起きること | 清掃で戻るか |
|---|---|---|
| 室外機のフィン | 風が通らず、熱を捨てられない | 戻る |
| 吸い込み側の障害物 | 出した熱い空気を吸い直す | どければ戻る |
| 室内機のフィルター | 風量が落ちる | 戻る |
| ドレンの詰まり | 水が排出されず、運転に影響する | 戻る |
| 配管・熱交換器の内側の油膜 | 熱の受け渡しが悪くなる | 清掃では戻らない |
清掃の周期はどう決めるか
周期は、機器の取扱説明書に書かれている間隔を基準にして、現場の汚れ方で調整します。厨房の近くや粉じんの出る工場では、説明書の間隔より短くする必要があります。
決めるための材料は写真です。清掃の前にフィンと吸い込み側を撮っておき、次の年の同じ時期と見比べると、周期が長すぎるか短すぎるかが分かります。清掃の記録と消費電力の記録を並べて残すと、外注費の説明もしやすくなります。
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自社でできる範囲と、業者に頼む範囲
自社でできるのは、室外機の周りに置かれた物をどける、吸い込みと吹き出しの前を空ける、室内機のフィルターを外して洗う、ドレンの出口を確かめる、といった範囲です。これだけで消費電力が下がる現場もあります。
フィンの高圧洗浄、分解してのファン清掃、電気系や冷媒系に触れる作業は業者に頼みます。電源を切る手順や資格が必要な作業があるためです。見積もりを取るときは、どこまで分解するのか、洗浄後に運転を確認するのかを書いてもらうと、年ごとの比較ができます。
清掃しても戻らない分
外側をきれいにしたのに、消費電力が以前の水準まで戻らないことがあります。熱交換器には空気が通る外側と冷媒が流れる内側があり、内側は清掃できないためです。
業務用の空調機と冷凍機は、冷媒とともに冷凍機油が配管を循環しています。この油が配管の内壁や熱交換器の表面に膜をつくると、外側がきれいでも熱の受け渡しは悪いままです。清掃の前後で測った消費電力を以前の記録と比べると、清掃で戻らなかった分の大きさが分かります。
配管の内側の油膜への対策
清掃で届かない内側に働くのが、当社が扱う α-HT® です。液管の途中に接続して、中を通る冷媒と冷凍機油をかき混ぜ、油を細かくして熱交換器の内側に膜として残りにくくします。製造元の DDe株式会社が公表している消費電力の削減率は最大35%で、稼働時間が長いなど条件のそろった設備での上限の値です。設置から年数がたった機器は、効果が出やすい条件のひとつです。
取り付けは、冷媒をいったん回収して再充填するところまで含む専門工事で、冷凍保安規則に準じて有資格の施工者が行います。装置に電源や可動部はないので、清掃のように毎年くり返す作業は増えません。万一 α-HT® が原因で機器が故障した場合は、冷媒の回収から元の配管構成への復旧まで、原状復帰の費用を当社が負担します。
測って確かめる
清掃の効果を数字にするには、作業の前後で同じ測り方をします。分電盤の電線にクランプを取り付けて電流ロガーで消費電力を記録し、室外機の吸込口には日陰になる位置に温度計を置きます。室内機の吹出口と吸込口にも温度計を付けて、運転の条件がそろっているかを見ます。
外気温が違う日どうしを比べると、清掃の効果と天気の差が混ざります。比べるのは、外気温と運転時間が近い日です。この1手間で、来年の清掃の予算を数字で説明できるようになります。
よくあるご質問
清掃で電気代はどれくらい下がりますか
どれだけ詰まっていたかで変わるため、一律の数字はありません。詰まりがひどい機器では清掃だけで下がりますし、もともときれいな機器ではほとんど変わりません。作業の前後で消費電力を測れば、その機器での答えが出ます。
清掃は年に何回必要ですか
取扱説明書の間隔を基準に、現場の汚れ方で調整します。厨房の排気の近くや粉じんの出る場所では短くします。前年の同じ時期の写真と比べると、周期が合っているかが分かります。
自分でフィンを洗っても大丈夫ですか
フィンは薄く、変形すると風の通り道が狭くなります。高圧洗浄や分解を伴う作業は業者に頼んでください。自社で行うのは、周りの物をどける、フィルターを洗う、ドレンの出口を確かめるまでが安全です。
清掃をしても効果が薄いのはなぜですか
原因は2つ考えられます。もともと詰まっていなかった場合と、配管や熱交換器の内側に冷凍機油の膜が付いている場合です。清掃で取れるのは空気の通り道の汚れまでなので、前後の消費電力の差が小さく、以前の水準にも戻らないときは、配管の内側を疑います。
清掃と省エネ装置の取り付けは、どちらを先にやりますか
清掃が先です。汚れを落としてから測ると、装置を付けたときの効果を分けて説明できます。逆にすると、どちらで下がったのかが分からなくなります。
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