バイオフィルムは、配管のどこに、どう付くか|付き始める条件から見る

バイオフィルムは、配管のどこに、どう付くか|付き始める条件から見る

この記事の結論

バイオフィルムは、水が止まって遊離残留塩素が下がった配管の壁に、微生物がとどまるところから付き始めます。歯科クリニックでいちばん付きやすいのは、内径が細く、診療の合間や夜間・休診日に水が止まるユニットのチューブで、使う頻度の低いチェアの配管や、継ぎ目・弁のまわりもこれに続きます。

付いた層は通水だけでは離れにくいので、ユニットのメーカーが指示する洗浄と部品の交換に加えて、水そのものを壁から剥がれやすく、再び付きにくい性質にしておくと、洗浄と洗浄のあいだに層が育つのを緩やかにできます。

ユニットの給水やチューブの汚れを、付着の仕組みから理解したい院長先生と衛生管理の担当者さまに向けて書きました。

目次

付き始める条件

ご存じのとおり、バイオフィルムは、水の中の微生物が壁面にとどまり、自分の出す粘り気のある物質で身の回りを固めていった層です。問題になるのは、どの配管の、どの条件で付き始めるかです。最初は目に見えない薄い付着から始まります。

付き始めの条件は、水が動かないこと、消毒の力が弱まっていること、とどまれる面があることの3つです。診療が終わった夜や休診日は、この3つが同時にそろいます。水道水の遊離残留塩素は、止まっている時間が長いほど下がっていき、給水配管の中は層が育ちやすい状態になります。

付きやすい場所

同じ院内の配管でも、付き方には差があります。見ておきたいのは、流れが止まる時間の長さと、水の量に対する壁の広さです。

チェアごとに使われる頻度が違えば、同じ院内でもチューブの状態はそろいません。予約の入り方が少ないチェアほど水が止まる時間が長く、付着の条件がそろいやすくなります。

  • ユニットのチューブ:内径が細く、水の量に比べて壁の面積が大きい。診療の合間にも止まる
  • ふだん使わないチェアや、奥の手洗いにつながる枝の配管:一日の大半で水が動かない
  • 継ぎ目・曲がり・弁のまわり:流れが乱れて遅くなり、汚れが引っかかりやすい
  • 器具洗浄のシンクの排水側:汚れと水が一緒に残りやすい

厚みが増していく過程

薄い付着の上に、流れてきた汚れや別の微生物が重なり、層は少しずつ厚くなります。厚くなった層は、外側が水にさらされても内側が守られるため、水を流しただけでは形が崩れにくくなります。

層の一部は、あるとき塊のまま剥がれて下流へ流れていきます。朝いちばんの水に色やにおいを感じることがあるのは、止まっていた水そのものに加えて、こうした剥がれが混ざるためです。フィルターの色が早く変わる、チューブの内側が曇って見える、といった形で院内に現れます。

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剥がすことと、付きにくくすること

付いた層への手立ては、大きく2つに分かれます。ひとつは、洗浄剤や交換で、すでに付いたものを取り除くこと。もうひとつは、壁と汚れのあいだの付着力を弱め、付いても剥がれやすく、再び付きにくい状態を保つことです。

前者は効き目が目に見えやすい一方で、作業の日が決まっていて、その間に層はまた育ちます。後者は毎日の水そのものに働くので、作業の日と日のあいだを受け持ちます。どちらか一方ではなく、組み合わせて考えるのが実務に合った見方です。

水を変えてできること

ウルトラファインバブルは、直径1マイクロメートル未満の泡です。当社が扱う UFB DUAL® がつくる泡の中心粒径は約150〜200ナノメートルで、浮き上がらずに水の中を長くただよいます。表面はマイナスに帯電していて(ゼータ電位の目安は−20〜−40mV)、泡どうしが反発するので、まとまらずに散らばったまま流れていきます。

泡のマイナスの電荷は、プラスの側に偏った疎水性の汚れと引き合います。泡が汚れと壁のあいだに入り込むようにして付着する力を弱めるので、次に流れが来たときに離れやすくなります。離れたあとの壁面にも泡が並ぶため、同じ汚れがすぐに戻って付くのを抑える働きも期待できます。

UFB DUAL® は水道の元栓に取り付けるので、ユニットのチューブを含め、院内の給水配管全体がこの水になります。減水率は約5%で、水圧と水量はほぼそのまま。朝の通水も、いまと同じ量で同じ手順のまま続けられます。チューブ内の汚れの堆積ペースが緩やかになれば、チューブの交換や配管洗浄の間隔を見直す検討材料になります。

手順と薬剤が受け持つところ

ウルトラファインバブルの働きは、汚れを剥がれやすくし、付きにくくするという物理的なものです。薬品で殺菌する装置とは働き方が違うので、消毒は消毒剤と、ユニットのメーカーが指示する方法で続けます。

毎日の通水、決められた間隔での洗浄と消毒、その記録は、これまでどおり院内の手順として残します。水そのものを付きにくい性質にしておくと、すでに付いている層も付着力が弱まって少しずつ剥がれ、流れる水で運ばれていきます。残った分は洗浄で取り除きます。変わるのは洗浄の中身ではなく、次の洗浄までに付く汚れの量です。

よくあるご質問

バイオフィルムは水を流せば取れますか

いいえ、通水で入れ替わるのは管の中にたまっている水です。壁に定着した層は流れだけでは離れにくいため、ユニットのメーカーが指示する洗浄と、付着力を弱める手段を組み合わせます。

ウルトラファインバブルは配管の途中で消えてしまいませんか

消えにくい泡です。直径1マイクロメートル未満の泡は浮き上がらず、水の中に長くただよいます。元栓で生まれた泡が、院内の蛇口やユニットまで水と一緒に運ばれます。

ユニットの洗浄や消毒はやめられますか

いいえ、ユニットのメーカーが指示する洗浄と消毒は、そのまま続けます。ウルトラファインバブルの働きは、洗浄と洗浄のあいだに層が育ちにくい状態を保つことです。

取り付けの工事で診療室に入りますか

いいえ、作業は水道メーターのまわりだけで、診療室には入りません。水が止まるのは1〜2時間で、配管をつないだ接着剤が固まるまで水を通さないためです。

費用はいくらですか

本体は20Aが350,000円、25Aが600,000円(税抜)です。工事費は5〜8万円で、電源も薬剤も使わないため、あとから続く費用はありません。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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