この記事の結論
清掃しても取れない、または数日で戻る女子トイレの臭いは、便器から先の汚水管の内側に付いた尿石から出ていると考えられます。小便器がなくても大便器から尿は管へ流れるため、管の内壁に尿石が付き、そこでアンモニアが出続けます。
便器の表面・床の目地・排水トラップの水切れが原因なら、清掃や水の補充でその場で消えます。清掃の直後に消えて数日で戻るなら管の内側が原因なので、清掃の回数を増やすのではなく、管の洗浄と、尿石を付きにくくする設備で対処します。
「女子トイレが臭う」という苦情を受けて清掃を増やしたのに、数日で元に戻ってしまう。この記事では、においの出どころを現場で見分ける方法と、出どころごとの対処が分かります。
小便器がないのに臭う理由
女子トイレには小便器がないため、臭いの苦情が出ても尿石が原因だとは考えられにくく、「掃除はしているのに臭う」という状態のまま、対応が長引きがちです。
ご存じのとおり、トイレのアンモニア臭は尿の尿素が細菌の酵素で分解されてできるもので、同じ反応の中で尿中のカルシウムが析出して尿石になります。においと尿石は同じ場所で生まれるので、においがするところには尿石が付いていて、尿石が減ればにおいも下がっていきます。
大便器だけのトイレでも、尿は便器から汚水管へ流れていきます。便器の中は清掃で落とせても、その先の管の内壁に付いた尿石は目に見えず、そこでにおいがつくられ続けます。便器をいくら磨いても消えない臭いは、ここから出ていることがあります。
においの出どころは4つ
においの出どころは、次の4つに分けると整理できます。4つは対処の方法がそれぞれ違うため、どれに当たるかを確かめないまま清掃の回数を増やしても、費用が増えるだけで臭いが戻ることがあります。
| 出どころ | におい方 | 清掃で消えるか | 対処 |
|---|---|---|---|
| 便器と便座の裏側 | 便器に近づくと強くなる | 消える | 酸性の洗剤をフチ裏まで行き渡らせる |
| 床と壁の目地 | 足元から立ちのぼる | 一度は消える | 目地の洗浄。落ちなければ目地の打ち替え |
| 排水トラップの封水 | 下水のにおいが混じる | 水を流せば一時的に収まる | 封水の量と通気を確認する |
| 汚水管の内側 | 清掃の直後は弱まり、数日で戻る | 消えない(数日で戻る) | 管の洗浄と、尿石を付きにくくする設備 |
床と目地に残るもの
床に飛び散った尿は、タイルの表面からは拭き取れても、目地とコーキングの隙間には残ります。セメント系の目地は細かい穴が多く水を吸うため、しみ込んだ尿には洗剤が届きにくくなります。
ここが原因のときは、床を水拭きした直後だけにおいが弱くなり、乾くと戻ります。しゃがんで床に顔を近づけると、便器のそばより壁際のほうが強い、という形で分かります。
目地にしみ込んだ尿が原因の場合、対処は目地の打ち替えか、汚れがしみ込みにくい目地材・床材に替えることです。表面の清掃の回数を増やしても、目地の中までは変わりません。
排水トラップの封水
便器や床の排水口には、水を溜めて下水のにおいを止める封水があります。使われない階や、長い休みのあとは、この水が蒸発して封水が切れます。
封水が原因のにおいは、下水そのもののにおいで、アンモニアの刺すような感じとは種類が違います。バケツで水を流し込むと、その場で収まります。収まるならここが原因です。
同じ階の器具を一度に流したときだけ強くなる場合は、排水管の通気が足りていない可能性があります。この場合は清掃ではなく、排水設備の点検が必要です。
汚水管の内側に付いた尿石
4つのうち、日常の清掃で届かないのは汚水管の内側だけです。便器から先の管の内壁に尿石が層になって付いていると、その表面でアンモニアがつくられ続けるため、便器をどれだけ磨いても臭いは残ります。
尿石は表面がざらついていて次の尿石が引っかかりやすく、一度付くと厚くなる速さが上がっていきます。以前より臭いが早く戻るようになったと感じる場合、清掃の質が落ちたのではなく、管の中の尿石が厚くなっていると考えられます。
見分ける目安は2つです。清掃の直後には臭いが消えるのに数日で戻ること、そして消臭剤を増やしても戻るまでの日数が変わらないことです。この2つがそろえば、対処すべき場所は汚水管の内側です。
消臭剤で隠れる範囲
置き型や噴霧の消臭剤は、空気に漂っている成分を包んだり、別のにおいで覆ったりするものです。管の内側で今まさにつくられている分には届きません。
消臭剤の香りが強いあいだは臭いが分かりにくくなりますが、香りが弱まると戻ります。夜間に換気を止める建物では、朝いちばんに臭いがこもり、消臭剤の香りも弱まっているため、苦情が朝に出やすくなります。
消臭剤は、利用者が感じる臭いを和らげる役には立ちます。ただ、置いても戻る場合は、消臭剤の量を増やすより、発生源の尿石を減らすほうが近道です。
清掃で消える臭いと、消えない臭い
便器・床・封水が原因の臭いは、清掃や水の補充でその場で消えます。清掃の回数を増やせば、臭いが戻るまでの日数も延びます。
汚水管の内側は、清掃の担当者が手を入れられる場所ではありません。届かせるには高圧洗浄か薬品洗浄が必要で、そのたびに費用がかかります。しかも洗浄は今ある尿石を落とす作業で、次の尿石が付くのを止めるものではありません。メーカーが記録した男子トイレの排水管の例では、薬品洗浄の直後にきれいになった管に、約2か月で尿石が再び付いていました。
「先月も洗浄したのに」という会話が繰り返されるのはこのためで、原因は作業の質ではありません。洗浄のあとも、管の中で尿石ができる状態が前と変わっていないことにあります。
管の内側が原因だったときの対処
管の内側が原因と分かったら、対処は2つあります。管の洗浄の回数を増やすか、給水に設備を取り付けて尿石を付きにくくするかです。管が細くなるほど尿石が厚い場合は、どちらを選ぶときも、まず洗浄で落とします。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水管の途中に取り付ける装置で、薬剤も電源も使わずに水の性質を物理的に変え、尿石が硬く固着しにくい状態にします。ある小学校の男子小便器7基でアンモニア濃度を測った記録では、臭いのあった6基(2〜30ppm)が、設置から約6か月ですべて0ppmになりました。測ったのは男子小便器ですが、においと尿石が同じ反応から生まれる点は、女子トイレでも変わりません。
導入後も清掃はなくなりません。新しく付く尿石は硬く固着しにくくなり、すでに付いている尿石も少しずつ脆くなって、流れる水で剥がれ落ちていきます。水の当たりにくい場所に残った分は、清掃で取り除きます。変わるのは清掃の中身ではなく、次の清掃や洗浄までの間隔です。
よくあるご質問
女子トイレなのに、なぜ尿石ができるのですか
大便器にも尿が流れるからです。尿の尿素がアンモニアに変わってカルシウムが析出する反応は、便器の種類を問わず起きます。便器の中は清掃で落とせても、その先の汚水管の内壁には尿石が付いていきます。
汚水管の洗浄は、どのくらいの間隔で必要ですか
建物ごとに違うため、一度洗浄したあと、臭いが戻るまでの期間を記録して決めるのが確実です。参考として、メーカーが記録した男子トイレの排水管の例では、薬品洗浄から約2か月で尿石が再び付いていました。利用する人の数や便器の洗浄水量によって、この期間は前後します。
節水型の便器に替えてから、臭いが強くなったのはなぜですか
洗浄に使う水の量が減ると、汚水管の中の流れが弱くなり、流れきらないものが管に留まって尿石の核になりやすいためです。メーカーの資料でも、節水型のトイレが増えて汚水管の中の流れが悪くなり、尿石による詰まりや臭いが起きやすくなっているとされています。便器を新しくしたのに臭いが増えた場合は、管の中を確かめてください。
においの出どころを、業者を呼ばずに絞れますか
絞れます。排水トラップに水を足す、床を水拭きして乾く前と後を比べる、清掃の直後と数日後を比べる、の3つで、4つの出どころのどれかまで分かります。汚水管の内側だと分かった段階で、洗浄や設備の相談に進めば足ります。
女子トイレだけに emiiR® を付けることはできますか
できます。トイレの給水元に付ければ、その系統のトイレだけが対象になります。建物の給水元に付ければ、建物全体の給水と排水が対象になります。どこに付けるかは、建物の配管系統と、苦情が出ているトイレを見て決めます。
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