この記事の結論
冷却水の水処理で薬品削減を進めるなら、先に減らせるのはスケール分散剤です。スケールを固着させない働きは、物理的な水処理で代えられるためです。藻と細菌を抑える殺藻剤・殺菌剤は、続ける必要があります。
100RTクラスの冷却塔1台の試算では、分散剤を外すと薬品費は約7割減り、残る約3割が殺藻剤などの分です。防食剤を外すかどうかは、配管の材質と水質を実機で測ってから決めます。
冷却水の薬剤費を下げる案を求められた設備担当の方に向けて、3種類の薬剤のうちどれを先に外せるかを整理しました。
薬剤は3つに分かれている
冷却水に入れている薬剤は、まとめて水処理剤と呼ばれますが、仕事は3つに分かれています。混ぜて考えると、どれを減らせるかの判断ができません。
分けると、減らせるものと続けるものがはっきりします。どこまでを減らすかを先に決めてから、置き換え方を考える順番です。
| 種類 | 何をしているか | 止めたときに起きること |
|---|---|---|
| スケール分散剤 | 析出した成分を細かく保って固着を抑える | 伝熱面と配管にスケールが固着する |
| 殺藻剤・殺菌剤 | 藻とバイオフィルムの発生を抑える | 充填材と水槽に藻が広がる |
| 防食剤 | 金属表面に皮膜を作って腐食を抑える | 配管と熱交換器の腐食が進む |
先に下げられるもの
外せるのはスケール分散剤です。分散剤の仕事は「析出した成分を細かいまま水に留めておく」ことで、これは薬剤以外の手段でも成り立ちます。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、この仕事を薬剤の代わりに受け持つ装置です。ステンレスの筒の中に特殊セラミックスのボールが入っていて、冷却水が通ると、析出した成分は硬い結晶に育たず、細かいまま運ばれて下部水槽に沈みます。電源も薬剤の補充も要りません。
防食剤についても、鉄の配管では赤錆が安定した黒錆に変わることで腐食が進みにくくなる方向に働きます。ただし材質と水質で挙動が変わるため、防食剤を外すかどうかは実機で測ってから決める項目です。
続ける必要があるもの
殺藻剤と殺菌剤は続きます。物理的な水処理は、バイオフィルムの付着を抑えて剥がれやすくする側に働きますが、菌や藻を殺す薬剤ではありません。
レジオネラ属菌の管理では、温床になるバイオフィルムの抑制が対策の基本とされています。その基本の部分を装置が受け持ち、殺菌と消毒は殺菌剤と専門の水管理との併用で行う、という組み立てになります。
薬剤費は0にはなりません。残る約3割は、この殺藻剤などの分です。社内の資料では、残る費用を最初に書いておくと、試算の前提が伝わりやすくなります。
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下げる順番と、確かめ方
順番は、分散剤を外して様子を見る、次に濃縮倍数を上げてブローを絞る、そのあとで防食剤の扱いを決める、です。3つを同時に変えると、何が効果を生んだのか分からなくなります。
確かめ方は、3か月の無償デモで測ります。実機の冷却塔にデモ機を付け、分散剤をカットした状態で伝熱面と充填材の付着、水質の指標、補給水量とブロー水量を記録します。週1回、のぞき穴からセラミックスが流動しているかの確認にご協力いただきます。
戻す条件も先に決めておきます。付着が増えた、腐食の兆候が出た、水質が管理の範囲を外れた、のいずれかが出たら元の薬注に戻す、という取り決めです。ここを決めておくと、現場が引き受けやすくなります。
濃度管理がなくなると、何が楽になるか
分散剤を外すと、薬剤の代金より先に作業が減ります。薬液タンクの残量確認、注入ポンプの点検、補充の発注と受け入れ、濃度の測定と記録。毎月の作業が1つずつ落ちていきます。
水質分析の項目も減ります。分散剤の濃度を追う必要がなくなるので、報告書の確認と立ち会いの時間が短くなります。委託契約の内訳を見直すときに、ここが交渉の材料になります。
装置そのものは可動部と電力を持たず、セラミックス同士が流動して衝突しながら自浄する構造です。装置側に補充する消耗品はありません。冷却塔の用途では、水質と運転条件を確認する保守点検のサービスを別に用意しています。
年間の薬品費はどこまで動くか
100RTクラスの冷却塔1台では、薬品費が約7割減という試算です。残るのは殺藻剤などの分です。同じ試算では、薬品費とブロー水関連の費用を合わせて約86%減になります。個別の試算をお出しする前の目安として、投資回収は約2〜3年とお考えください。
自分の建物の数字に置き換えるには、薬剤の納品書か水管理の委託契約の内訳が要ります。委託費に薬剤代と分析費と作業費が混ざっている場合は、内訳を出してもらってください。どこが装置に置き換わるのかが、そこで分かります。
冷却塔の能力(RT)、循環水量、年間運転時間、そして薬剤の年間額をお送りいただければ、当社でも試算をお出しします。お見積もりは無料で、製品代と工事代を分けて明らかにし、お見積もりで提出した以上の金額はいただきません。
よくあるご質問
薬剤をすべてやめられますか
やめられません。外せるのはスケール分散剤で、殺藻剤と殺菌剤は続きます。100RTクラスの冷却塔1台の試算では、薬品費の約3割が残る分にあたります。
分散剤を外すと、スケールが付きませんか
付きにくい状態を保てます。分散剤の仕事を、装置が物理的に引き受けるためです。析出した成分が硬い結晶に育って固着する前に、細かいまま水流で運ばれて下部水槽に沈みます。3か月のデモで、伝熱面と充填材の付着を実機で確かめてから判断してください。
水質分析はやめられますか
やめません。濃縮倍数を上げる運転では、電気伝導率と塩化物イオンを見続ける必要があります。減るのは分散剤の濃度を追う項目です。
使えない水質はありますか
強酸性の水では働きません。温泉泉質のような低いpHの水が入る系統は対象外です。中性からアルカリ性の水質で機能します。
水管理を委託しています。契約はどうなりますか
分散剤の供給と濃度管理の部分を、契約から外す形になります。どこまで外せるかは、薬剤代・分析費・作業費の内訳で変わります。内訳をご用意いただければ、置き換わる範囲を一緒に確認します。
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