この記事の結論
冷媒配管の中では冷媒と一緒に冷凍機油が回っていて、この油が熱交換器の内側に膜として残ると、熱の受け渡しが悪くなり、流れの抵抗も増えるからです。配管の中で冷媒と油をよく攪拌して油膜をできにくくすれば、熱交換の効率が上がり、設定温度に早く届いて圧縮機(コンプレッサー)の稼働が減ります。
空調の消費電力は一般にその約90%が圧縮機とされるため、圧縮機の稼働が減った分が電気代に表れます。
後付けの省エネ装置を社内で提案するとき、「なぜ配管に何かを付けると電気代が下がるのか」を説明できないと、話がそこで止まります。この記事では、冷凍機油が熱交換を妨げる仕組みから、圧縮機の稼働と電気代のつながりまでを順に説明します。
冷媒とともに、冷凍機油が回っています
ご存じのとおり、業務用の空調機と冷凍機では、圧縮機を潤滑する冷凍機油の一部が冷媒と一緒に配管を回り、熱交換器を通って圧縮機に戻ってきます。配管は、この油が戻る経路まで含めて設計されています。
そのため、熱交換器の内側の面が触れているのは、冷媒だけではなく、冷媒と油が混ざったものです。空調の省エネを考えるときに見落とされやすいのが、この油の行き先です。
油が熱交換器の内側に残ると、何が起きるか
熱交換器の内側に油が薄く残ると、冷媒と金属のあいだに油の層が挟まります。熱は、冷媒から金属へ、金属から空気や水へと渡っていくので、途中に1枚挟まればその分だけ渡りにくくなります。
フィンの外側の汚れと違って、この油の層は清掃では落とせません。熱交換器の内側は冷媒が通る密閉された経路で、外から洗うことができないためです。対策は、配管の中を流れる冷媒と油の状態に働きかけることになります。
薄い油の層でも、熱は伝わりにくくなります
金属に比べると、油は熱をほとんど通しません。そのため、目に見えるほどの厚みがなくても、熱の受け渡しは妨げられます。油の層は、厚くなってから影響が出るのではなく、薄いうちから影響しています。
運転中の熱交換器の中にある油の層の厚みは、外から直接確かめることができません。そこで判断は、厚みではなく、熱がどれだけ渡っているかで行います。手がかりになるのは、室内機の吹出と吸込の温度差と、同じ外気温の日どうしで比べた消費電力です。
油が流れの抵抗を増やす
油が配管の内壁に残ると、流れの通り道がわずかに狭くなり、抵抗が増えます。抵抗が増えれば、同じ量の冷媒を送るために圧縮機が余計に働くことになります。
配管が長い設備ほど、この抵抗の影響は大きくなります。メーカーが効果の出やすい条件に「配管が長い」を挙げているのも、この抵抗の話とつながります。
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設定温度への到達と、圧縮機の稼働率
熱の受け渡しが鈍ると、部屋や庫内の温度が設定に届くまでの時間が伸びます。届かないあいだ、圧縮機は動き続けます。逆に、熱がよく渡るようになれば設定温度に早く届き、圧縮機が休む時間が長くなります。
運転を制御する省エネが機器への指令を変えるのに対して、こちらは機器の効率そのものに働きかけます。同じ設定温度を保つために圧縮機がする仕事の量が減る、という仕組みです。
消費電力と圧縮機の関係
空調の消費電力は、一般にその約90%が圧縮機(コンプレッサー)とされます。ファンや制御の基板が使う分もありますが、電気代の大部分を占めるのは圧縮機です。
圧縮機が働く時間と強さが減れば、そのぶん消費電力が下がります。熱交換の効率が電気代に表れるのは、この圧縮機を通してです。
α-HT® が配管の中でしていること
当社が扱う α-HT® は、冷媒配管の高圧管(液管)にインラインで接続する流体攪拌装置です。通り抜ける冷媒と冷凍機油を強く攪拌して、循環している油を細かくします。細かくなった油は熱交換器の内側に残りにくく、流れの抵抗も下がります。
働きかけるのは、配管の中を通る流れの状態です。冷媒を別のものに替えるのでもなく、何かを混ぜるのでもありません。可動部がなく、電気も水も使わないため、設置後の消耗品の交換もありません。製造は DDe株式会社で、特許第6300339号ほかを保有しています。
公表されている削減率と、設備ごとの条件
この仕組みで下がる消費電力について、製造元の DDe株式会社が公表している削減率は最大35%で、導入実績は3万台です。最大35%という数字は、効果の出やすい条件がそろった設備での上限を示しています。どの設備でもこうなるという意味ではなく、実際の率は、稼働時間、冷暖房の能力、空調の負荷、配管の長さ、空間の気密、機器の経年によって設備ごとに変わります。
そのため当社は、金額をお客様の設備の条件から試算し、導入後は実機で測って確かめます。実測では、設置の前と後で外気温と運転の条件が近い日を選んで並べます。社内で説明するときは、仕組みと一緒にこの確かめ方を示すと、納得を得やすくなります。
よくあるご質問
冷凍機油は減っているのですか
いいえ、油の量が減るという話ではありません。冷媒と一緒に回っている油が、熱交換器の内側に残ることが問題になります。α-HT® は油を取り除くのではなく、攪拌して細かくし、内側に残りにくい状態をつくります。
設置すると、冷媒の量や種類は変わりますか
種類は変わりません。工事で回収した冷媒をそのまま戻し、本体をつないで配管が延びた分だけ量を調整することがあります。5馬力以下の小型機は、本体の内容量の分だけ冷媒が不足する恐れがあるため、冷媒の圧力を確かめながら調整します。
古い機器ほど効果がありますか
設置から年数がたった機器は、効果が出やすい条件のひとつに挙げられています。ただし部品の手配が難しくなっている機器では、更新の計画と並べて考えたほうがよい場合があります。型式と製造年で判断の材料をお出しします。
冷媒の性能が変わるのですか
いいえ、冷媒そのものの性能を変える装置ではありません。配管の中を通る冷媒と油を攪拌して、油が熱交換器の内側に残りにくい状態をつくるものです。
どの機器でも同じ効果になりますか
なりません。稼働時間、能力、負荷、配管の長さ、気密、経年で変わります。24時間動く冷蔵・冷凍設備やサーバールームでは大きく、平日の日中だけ動かす事務所では小さくなる傾向があります。
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