この記事の結論
ビルの水道代が夏に上がるなら、主な候補は空調の冷却塔に足している水(補給水)です。
冷却塔は冷却水の一部を蒸発させて熱を捨てるので、冷房の負荷が大きい夏ほど蒸発が増え、濃くなった水を捨てるブロー水とあわせて、その分を水道から補います。
蒸発した分は下水道に流れていないので、多くの自治体で、申請して認められれば下水道料金の計算から外せます(減量認定)。夏以外も高い場合は、漏水やテナントの使い方を先に確かめます。
水道代を下げるよう言われたビルの総務・設備のご担当者さま、オーナーさまに向けて、ビルの水の使い道の分け方と、夏に上がる請求の読み方、冷却塔の水の行き先を並べました。
ビルの水の使い道は、どう分かれるか
ビルの水は、トイレと手洗い、給湯、テナントの厨房、清掃、植栽への散水に使われます。空調が中央熱源方式のビルでは、屋上などにある冷却塔(クーリングタワー)が、ここに加わります。
このうち、季節と強く結びついているのは、冷房の負荷に応じて水を使う冷却塔と、散水です。使い道ごとに、量を決めているものと、下水道に流れるかどうかを並べると、次のようになります。
| 使い道 | 量を決めるもの | 下水道に流れるか |
|---|---|---|
| トイレ・手洗い | 在館する人の数 | 流れる |
| 給湯 | 在館する人の数、テナントの業種 | 流れる |
| テナントの厨房 | 営業の時間と業種 | 流れる |
| 散水 | 季節と天候 | 地面にしみ込む分は流れない |
| 冷却塔の蒸発 | 冷房の負荷 | 流れない(空気中へ出る) |
| 冷却塔のブロー水 | 冷却水の濃くなり方と管理のしかた | 流れる |
夏に水道代が上がるビルで起きていること
全館空調のビルでは、冷却塔の運転は夏に偏り、夜間や中間期は負荷が下がります。冷房の負荷が大きいほど冷却塔で捨てる熱が増え、蒸発する水も、それを補う補給水も増えます。
そのため、夏の検針の回だけ使用水量が大きく膨らむビルでは、冷却塔の補給水が主な候補になります。ただし、夏には散水やテナントの繁忙期も重なり、漏水が隠れていることもあるので、次の手順で切り分けます。
冷却塔の水は、どこへ出ていくか(蒸発とブロー水)
冷却塔は、冷却水の一部を蒸発させ、そのときに奪われる熱で残りの水を冷やします。冷却水の入口と出口の温度差が5℃前後のとき、蒸発する水は循環水量の1%弱です。
蒸発するのは水だけで、水に溶けていたカルシウムなどの成分は残ります。成分が濃くなると、配管や熱交換器に固く付くスケールができやすくなるので、濃くなった水の一部を捨てて新しい水と入れ替えます。この捨てる水がブロー水です。
水処理装置メーカーのエミール・ジャパン株式会社が示している機種選定の例では、ブロー水を循環水量の0.3%として、循環水量177㎥/h、年間の運転4,000時間で、年に2,124㎥と試算しています。同じ条件で、蒸発する量はその数倍になります。
くわしいご案内冷却塔の水道代を下げる|請求書の4つの費目から削れる所を探す
請求書と検針票で確かめること
原因を切り分けるには、手元の請求書と検針票、設備の記録を並べます。見る場所は次の4つです。
- 水道料金の請求書で、上水道と下水道の料金がそれぞれいくらか、1㎥あたりの単価はいくらかを確かめる
- 検針票の使用水量を、少なくとも1年分、検針の回ごとに並べ、夏と冬の差を出す
- 冷却塔の補給水の配管に、建物側で付けたメーター(私設メーター)があるかを確かめ、あれば同じ期間の量を並べる
- 誰も水を使っていない夜間や休日に、水道メーターが回っていないかを見る
並べた数字の読み方
夏と冬の使用水量の差が、補給水の夏の増え方とほぼ重なれば、冷却塔が主な原因です。重ならない分は、散水、厨房、給湯の順に調べます。夜間や休日にメーターが回っていれば、季節に関係なく漏水を疑います。
下水道料金がかからない水がある
下水道料金は、ふつう上水道の使用水量をそのまま下水道に流した量とみなして計算されます。冷却塔で蒸発した水は下水道に流れていないので、多くの自治体では、申請して認められれば、その分を下水道料金の計算から外せます。自治体の案内では、減量認定などと呼ばれています。
認定で外れるのは、蒸発した分など下水道に流れなかった水です。ブロー水は下水道に流すので、対象になりません。申請には補給水と排出する水の量を測る私設メーターの設置などが一般に求められ、要件と手続きは自治体ごとに違います。
ブロー水を減らしても、蒸発する量は冷房の負荷で決まるので、認定で外れる量は増えません。ブロー水を減らして下がるのは、これまでブロー水として捨てていた分の、上水道と下水道の両方の料金です。
次に読むもの(冷却塔の水道代を下げる/下水道料金の減免)
冷却塔が原因と分かったら、打てる手は2つです。蒸発した分の減量認定を申請することと、ブロー水を減らすことで、2つは別の仕組みなので組み合わせて使えます。
ブロー水を減らす方法の1つに、当社が扱う emiiR®(エミール)があります。冷却水を濃くしてもスケールが固く付きにくい状態にして、捨てる水の量を減らす装置で、スケールを防ぐための薬剤は減らせます。藻を抑える殺藻剤は、引き続き使います。
冷却塔の能力(RT数)、循環水量、運転時間の3つが分かれば、どこまで下げられるかの試算ができます。この3つは、お問い合わせの相談内容の欄に書いていただけます。
よくあるご質問
冬も水道代が高いのですが、冷却塔が原因ですか
冬も高い場合は、冷却塔以外を先に疑います。夜間や休日に水道メーターが回っていないかで漏水を確かめ、テナントの厨房や給湯の使い方を見ます。
夏だけ上がるのは、漏水ではありませんか
漏水は季節に関係なく続くので、夏だけ上がる形にはなりにくいです。夜間や休日のメーターの動きで確かめられます。
冷却塔の補給水にメーターが付いていません
補給水の量を知るには、建物側でメーターを付けます。減量認定の申請でも私設メーターの設置が一般に求められるので、付ける位置と種類を申請先の自治体に先に確かめてから付けます。
ブロー水を止めてしまえば、水道代は下がりますか
止めると冷却水が濃くなり、スケールが付きやすくなって、熱交換の効率が落ちます。ブロー水は、冷却水の濃さを管理しながら減らすものです。
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