冷却塔の水は蒸発・飛散・ブローの3つの出口から出ていきます。減らせるのは、捨てているブロー水です。
蒸発分は熱を捨てるために要る水なので減らせません。ブロー水は誰も使っていない水なので、減らしても使用感は変わりません。
建物の節水を求められて、どこから減らせるかを探している設備担当・総務の方に向けて、冷却塔の水の出口ごとに減らせる分と減らせない分を分けました。
冷却塔の水は、3つの出口から出ていく
節水の話に入る前に、その水がどこへ出ていっているかを分けます。冷却塔から水が出ていく道は3つです。蒸発して大気へ、飛散して周りへ、そしてブローとして排水へ。
3つのうち、建物の役に立っているのは蒸発だけです。蒸発するときに熱を持っていくから、冷却塔は冷やす設備として働きます。飛散は設計上小さく抑えられており、手の入れようがほとんどありません。残るのがブローです。
| 出口 | どこへ行くか | 役に立っているか | 減らせるか |
|---|---|---|---|
| 蒸発 | 水蒸気として大気へ | この蒸発が熱を捨てている | 減らせない |
| 飛散 | 水滴として周りへ | 役に立っていない | 設計で抑えられている |
| ブロー | 排水として下水道へ | 濃くなった水を薄めるため | 減らせる |
出典:エミール・ジャパン株式会社の公開資料(2026-09-27 確認)
蒸発する分は減らせない
冷却水の出入口の温度差が5℃のとき、循環している水の1%弱が蒸発します。この水が熱を運び出しているので、ここを絞ると冷える力がそのまま落ちます。
節水の記事が冷却塔を扱わないのは、この部分に手が入らないからです。しかし冷却塔から出ていく水は蒸発だけではありません。
捨てている分(ブロー水)は減らせる
蒸発すると、水に溶けていた成分だけが残って濃くなります。濃くなりすぎると成分が結晶として析出して伝熱面に固着するので、濃い水を一部捨てて新しい水を足す。これがブローです。
つまりブロー水は、濃さを下げるために捨てている水です。冷やすためにも、使うためにも要らない水で、排水されるまで誰も触りません。ここを絞れば、補給する水そのものが減ります。
絞れる条件は1つで、濃くなっても結晶が固着しないようにすることです。析出しても硬く成長せず微細なまま水に運ばれるなら、濃い状態のまま運転できます。
くわしいご案内冷却塔の水道代を下げる|請求書の4つの費目から削れる所を探す
使う水を絞る節水と、捨てる水を減らす節水の違い
建物の節水として紹介される手は、ほとんどが使う水を絞る方向です。節水弁、自動水栓、洗浄水量の見直し、トイレの器具の交換。どれも、出てくる量を小さくして使用量を下げます。
各社が公表している数字では、節水弁で上下水道料金が30〜70%減る、トイレのフロート式の器具で4割程度減るといった幅が出ています。効き方は大きいのですが、絞った先で水を使うのは人です。手を洗う、器具を流す、床を流すという作業の時間が変わります。
ブロー水はここが違います。絞った先に人がいません。捨てるのをやめただけなので、誰の作業も変わりません。
| 節水のしかた | 何を小さくするか | 使う人に出る変化 |
|---|---|---|
| 使う水を絞る | 蛇口や器具から出る量 | 洗う時間、流す回数が変わる |
| 捨てる水を減らす | 排水として出している量 | 使う場面がないので変わらない |
出典:節水器具メーカー各社の公開資料(2026-09-27 確認)。各社が公表している数字です。
減らせる水量の数え方
自分の冷却塔で何㎥動くかは、循環水量、ブロー率、年間運転時間の3つで出ます。ブロー率は弁の設定から読むか、水質管理の報告書に書かれています。
たとえば循環水量が毎時177㎥、ブロー率を循環水量の0.3%、年間の運転時間を4,000時間とすると、177×0.003×4,000で年間2,124㎥です。この水量に、上水と下水の単価がかかっています。
自分の数字に置き換えるときは、循環水量を銘板から、運転時間を空調の稼働記録から取ってください。ブロー率が分からなければ、水質管理の報告書にある電気伝導率から濃縮の倍数が読めます。
| 要る数字 | どこで分かるか | 計算の例 |
|---|---|---|
| 循環水量 | 冷却塔の銘板、ポンプの仕様書 | 毎時177㎥ |
| ブロー率 | ブロー弁の設定、水質管理の報告書 | 循環水量の0.3% |
| 年間運転時間 | 空調の稼働記録 | 4,000時間 |
| 年間のブロー水量 | 上の3つの積 | 2,124㎥ |
この表は計算の例です。ご自身の数字を入れて確かめてください。
減った水が、請求書のどの行に効くか
ブロー水を絞ると、請求書の2つの行が同時に動きます。捨てる水が減るぶん補給する水も減るので、上水道の使用水量が下がります。排水として出す量が減るので、下水道の側も変わります。
どこまで濃くできるかは水質で変わります。密閉式の冷却塔で、電気伝導率が約10,750マイクロジーメンス毎センチメートル、塩化物イオンが約2,210mg/L、全硬度が約1,545mg/Lという、原水の100倍近くまで濃縮した水でも、スケールの付着と腐食の兆候が出なかった記録があります。
この状態を作っているのが、当社が扱う emiiR®(エミール)です。電源も薬剤も使わず、水が特殊セラミックスの間を流れることで、成分が硬い結晶に成長しにくい状態に変わります。スケールの分散剤は減らせますが、藻と細菌の側に使う殺藻剤は続きます。
節水と、下水道料金の減免は別の話です
この2つは混ざりやすいので分けておきます。節水は、使う水と捨てる水そのものを減らす話です。減免は、下水道に流れていない水量を申告して、下水道使用料の計算から外してもらう話です。
冷却塔ではどちらも効きます。蒸発した水は下水道に行っていないので、申告すれば計算から外せます。そしてブロー水を絞ると、減免の対象になる水量そのものが大きくなります。減免の対象水量は、補給水量から排出水量を引いた分で決まるためです。
手続きと担当が別なので、進め方も分けてください。節水は設備の側の工事、減免は管轄の下水道局への申告です。
よくあるご質問
蒸発する水は減らせないのですか
減らせません。蒸発するときに熱を持っていくことが冷却塔の働きなので、蒸発量を絞ると冷える力が落ちます。冷却水の出入口の温度差が5℃のとき、循環水量の1%弱が蒸発分にあたります。
ブロー水を止めると、水が濃くなりすぎませんか
濃くなります。問題になるのは、濃くなった成分が硬い結晶として伝熱面に固着することです。固着しない状態を作れば濃いまま運転できます。密閉式で原水の100倍近くまで濃縮した水でも、付着と腐食の兆候が出なかった記録があります。
節水すると、空調の効きは落ちますか
ブロー水を絞る側では落ちません。捨てる水を減らしているだけで、循環水量も蒸発量も変えないためです。落ちるのは、蒸発分を絞ったときと、伝熱面に付着が進んだときです。
冷却塔の補給水量は、どこで分かりますか
補給ラインに専用のメーターが付いていればそこで読めます。付いていない建物では、循環水量と年間運転時間から蒸発分とブロー分を計算して見当を立てます。冷却能力と運転時間が分かれば、当社でも概算をお出しします。
節水と下水道料金の減免は、両方受けられますか
両方です。別の仕組みなので重なりません。節水はブロー水そのものを減らす話、減免は下水道に流れていない水量を申告して計算から外す話です。ブローを絞ると減免の対象水量が増えるので、順番としては節水の側を先に決めます。
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
ご相談とお見積もりは無料です。製品代と工事代を分けてお示しし、お見積もり以上の金額はいただきません。


