この記事の結論
クーリングタワー(冷却塔)の水処理の方式は、薬剤を水に入れる方式、電極で電気を流す方式、磁場やセラミックスなどに水を通す方式の3つに分かれます。藻と細菌の管理は殺藻剤が担うのが基本なので、薬剤以外の方式を選んでも殺藻剤は残り、比べるのはスケール対策の部分です。
比べるときは、続く手間(薬剤の補充・電極の交換・点検)と、流量が変わったときにも働くかを見ます。冷却塔はインバータ制御や夜間の低負荷で流量が大きく動くため、特定の流量でしか働かない方式では効果が安定しません。
冷却塔の水処理をどの方式にするか比べている設備担当の方に向けて、各方式が水のどこで働いているかという軸で並べました。
方式は、働く場所で分かれます
カタログを横に並べると、それぞれが違う言葉で効果を説明していて比べにくくなります。軸を1つに決めると並びます。その軸が「水のどこで働いているか」です。
水に薬剤を入れて、水の中で成分に作用させる方式。水に電気を流して、電極の面で反応を起こす方式。水を何かに接触させて、その界面で振る舞いを変える方式。この3つに分かれます。
働く場所が違うと、得意な相手も、続く手間も、流量が変わったときの振る舞いも変わります。効果の大小ではなく、この3つの違いで比べてください。
水に何かを入れる方式
薬剤を注入する方式です。スケールの分散剤は、析出した成分が集まって大きくなるのを抑えて、水に分散させたまま運びます。殺藻剤は藻と細菌が増えるのを抑え、防食剤は金属の面に膜を作ります。
強みは、相手ごとに薬剤を選べることです。スケール、藻、腐食のどれにも手が打てます。
続く手間は、濃度の管理です。水は蒸発とブローで入れ替わるので、濃度を保つために注入を続け、定期的に水質を分析します。薬剤の保管場所と、薬剤の入った排水の扱いも運用に入ります。
水を電気で変える方式
電極を水に入れて電流を流す方式です。電極の面で反応が起き、成分を面に析出させて取り除いたり、水の性質を変えたりします。
強みは、働きが電気の量で制御できることです。運転を数字で管理できます。
続く手間は、電力と電極です。電源の確保が要り、析出物が付いた電極は清掃または交換になります。電極の状態で働きが変わるので、点検の間隔が運用に入ります。
流れの中で接触させる方式
水を、磁場や特定の材料の表面に通す方式です。水に何も加えず、電気も使わず、通ることで振る舞いが変わることを狙います。
強みは、続く手間が小さいことです。注入する薬剤も、供給する電力もありません。
弱点は、接触が十分に起きないと働かないことです。水が偏って流れると、装置の中に通っていない道ができます。流量が下がって材料が動かなくなったり、流量が上がって通り抜ける時間が短くなったりすると、条件から外れます。だから、この方式を選ぶときに見るのは流量です。
流量が変わったときの振る舞い
冷却塔は、負荷に合わせて流量が動きます。夏の昼は多く、夜と中間期は少なく、インバータで制御している系統では連続的に変わります。特定の流量帯でしか働かない仕組みだと、効いている時間が限られます。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、ここに構造で手を打っています。筐体の中に、3mmの玉と6mmの玉という異なる径のセラミックスを混ぜて充填しています。小さい玉は流量が少ないときでも動いて接触を保ち、大きい玉は流量が多いときに重石として働き、小さい玉をこすり洗いします。この構造が特許第7578981号です。
偏って流れることへの手も入っています。流入する水を整流する拡散板の構造が特許第7614636号で、装置の中に通っていない道ができるのを防ぎます。流動する層を多段にして、処理のムラを減らす構造が第7620313号です。
通水の流速の目安は毎秒10cmから12cmです。筐体は SUS304 または SUS316 で、中に特殊セラミックスボールを約半分まで充填します。電源も薬剤も消耗品も要りません。
それぞれが得意な相手
同じ冷却塔の中でも、相手は3つに分かれています。スケール、藻と細菌、腐食です。方式ごとに得意な相手が違うので、1つの方式で3つ全部を担えるとは考えないほうが管理が組めます。
スケールの側は、薬剤でも、電気でも、接触させる方式でも手が入ります。藻と細菌の側は、薬剤の領域です。水の性質を変える方式では止まらないので、接触させる方式を選んだ場合も殺藻剤は続きます。
腐食の側は、材質と水質で判断が変わります。emiiR® を付けると、鉄の配管で赤錆が安定した黒錆に変わり、腐食が進みにくくなります。
| 働く場所 | 得意な相手 | 流量が変わったとき | 続く手間 |
|---|---|---|---|
| 水に入れる(薬剤) | スケール・藻と細菌・腐食 | 濃度の再設定が要る | 薬剤の補充・濃度管理・水質分析・保管 |
| 電気で変える | スケール・析出物の取り出し | 電流量の制御で追う | 電力・電極の清掃または交換 |
| 流れの中で接触させる | スケール・付着の抑制・腐食 | 構造によって追える範囲が変わる | 方式によって異なる |
選ぶときに見る4つの点
カタログを比べる前に、自分の系統の数字を4つそろえると話が早く進みます。循環水量、流量が動く幅、水質のpHと硬度、そしていま出ている薬剤の種類と数量です。
この4つがあれば、方式を選ぶ側から聞かれることに答えられます。反対に、この4つを聞かずに出てくる提案は、どの方式でも見積もりの精度が出ません。
その次に聞くのは、装置の側の4つです。働く流量の範囲、流量が変わったときの振る舞い、続く手間(薬剤・電力・消耗品・点検)、そして特許など、仕組みを確かめられる資料です。お見積もりは無料です。
- 自分の系統 … 循環水量/流量が動く幅/pHと硬度/いまの薬剤の種類と数量
- 装置の側 … 働く流量の範囲/流量が変わったときの振る舞い/続く手間/特許など、仕組みを確かめられる資料
emiiR® は、どの方式に当たるか
当社が扱う emiiR®(エミール)は、外部電力と化学薬品を使わず、水が特殊セラミックスの間を流れる力だけで働く方式です。流量が変わっても働く仕組みは特許として登録されていて、続く手間は冷却塔の保守点検だけです。4つの数字をそろえていただければ、3か月の無償デモと試算をご案内します。
よくあるご質問
薬剤を入れる方式と、物理の方式は併用できますか
できます。むしろ併用が前提です。藻と細菌に使う殺藻剤は、水の性質を変える方式では止まらないので続きます。減らせるのはスケールの分散剤の側です。防食剤は、系統の材質と水質で判断が変わります。
インバータで流量が変わる系統でも使えますか
使えます。emiiR® は、3mmと6mmの異なる径のセラミックスを混ぜて充填することで、流量が少ないときも多いときも接触を保つ構造にしています。特許第7578981号です。選ぶときは、どの流量帯で働くのかを必ず確かめてください。
電源は要りますか
emiiR® は要りません。水の流動エネルギーだけで働くので、電源も配線もありません。電気を使う方式では、電源の確保と電極の清掃または交換が運用に入ります。
消耗品の交換はありますか
ありません。中のセラミックスは水流で常に流動していて、大きい玉が小さい玉をこすり洗いする構造になっているため、目詰まりせず摩耗にも耐えます。ただし冷却塔の用途では、水質と運転条件の確認のため別途の保守点検サービスをご用意しています。
方式を選ぶ前に、何を測っておけばよいですか
循環水量、流量が動く幅、水質のpHと硬度、いま出ている薬剤の種類と数量の4つです。循環水量は冷却塔の銘板、流量の幅は制御の設定、水質は分析表、薬剤は納品書から取れます。
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