この記事の結論
水回りの設備が賃貸経営で重要なのは、入居者さまが毎日触る場所で、排水口のぬめりや浴室の汚れといった小さな不満が積み重なり、更新のときの退去につながりやすいからです。退去が1件起きると、家賃80,000円・空室2か月・募集費用1か月の例で240,000円が出ていきます。
設備を選ぶときは、毎日使うか、全戸が対象になるか、導入後に管理の手間が増えるかの3点で比べます。元栓に1台付ける水の設備は、全戸の水が対象で、台数も管理も増えないため、この3点を満たします。
設備投資の優先順位を考えているオーナーさま向けに、水回りが賃貸経営のどこに関わるのかを、退去1件あたりの費目から逆算してまとめました。
毎日必ず触る場所が、水回りです
ご存じのとおり、インターネット無料や宅配ボックス、オートロックも便利な設備です。ただ、毎日手で触って、温度と勢いと汚れを体で感じるのは水回りです。
毎日のことは、良くても悪くても積み重なります。積み重なった先に出てくるのが、更新のときの判断です。だから水回りは、満足度という言葉よりも、入居年数という数字で見るほうが正確です。
退去が1件起きると、何にお金がかかるか
入居年数が何を意味するかを、金額で数えます。下の表は、家賃80,000円の部屋が2か月空いた場合の数え方です。募集にかかる費用は物件ごとに決めている月数が違うので、そこはご自身の数字を入れてください。
| 費目 | 数え方 | 家賃80,000円・空室2か月の例 |
|---|---|---|
| 空室のあいだの家賃 | 家賃 × 空室の月数 | 160,000円 |
| 募集にかかる費用 | 家賃 × 決めている月数 | 1か月ぶんなら80,000円 |
| 原状回復のうち水回り | 汚れの程度で変わる | 見積もりごと |
| 合計(原状回復を除く) | 上の2つの合計 | 240,000円 |
この表は計算の例です。ご自身の家賃・平均の空室期間・募集の条件を入れて確かめてください。
入居年数が1年延びると、何が消えるか
上の240,000円は、退去が1件起きるたびに出ていきます。入居年数が1年延びれば、その1件が後ろにずれます。10年のあいだに退去の回数が1回減るだけで、同じ金額がまるごと残ります。
戸数がある建物なら、これが戸数ぶん積み上がります。24戸で年に4件の退去が3件になれば、240,000円ぶんの差です。家賃の上げ下げとは別のところで、手元に残る金額が変わります。
そして退去の理由には、水回りの不満が並ぶことがあります。排水口のぬめり、浴室の汚れ、干したあとのにおい。どれも「壊れてはいない」ので、修理の依頼としては上がってきません。上がらないまま、更新のときの判断に響きます。
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設備を選ぶときに見る3つの点
水回りに限らず、設備を比べるときに見る点は3つです。毎日使うか、全戸が対象か、導入後に管理が増えるか。この3つで並べると、優先順位がはっきりします。
| 設備 | 毎日使うか | 全戸が対象か | 導入後に管理が増えるか |
|---|---|---|---|
| インターネット無料 | 使う | 全戸 | 回線のトラブル対応が増える |
| 宅配ボックス | 使う人は使う | 共用部に1つ | 満杯・故障の連絡が増える |
| オートロック | 毎日通る | 共用部に1つ | 鍵の紛失対応が増える |
| シャワーヘッドを各戸に配る | 毎日使う | 浴室だけ | 誰の部屋に何があるかの管理が増える |
| 元栓に1台つける | 毎日使う | 元栓を通る水すべて | 増えない。台帳への記載は1件 |
水回りで後回しにすると、費目が増える
水回りは、トラブルが起きるまで判断が後ろに回りがちです。ただ、後ろに回している間にも、費目は静かに増えていきます。
排水管の詰まりで呼ばれれば緊急対応の費用が出ます。退去時に汚れがひどければ原状回復の範囲が広がります。募集が長引けば空室期間が伸びます。どれも別の費目に分かれて出てくるので、ひとつの問題として見えにくいだけです。
逆に言えば、ここを一度整えると、複数の費目に同時に関わります。目立つ設備ではありませんが、関わる範囲の広い領域です。
元栓に1台という選び方と、費用
水道メーターの二次側に1台取り付けると、そこから先を通る水が変わります。台所・洗面・浴室・洗濯機まで、元栓を通る水がすべて対象です。増圧直結方式なら水道メーターの二次側、受水槽のある建物なら水道メーターと受水槽のあいだに付けます。
元栓1台で建物全体が対象になるので、各戸ごとの設置・交換・紛失対応が要りません。設備台帳と修繕計画が簡素なままで済み、大規模修繕のときの判断もそのぶん軽くなることにつながります。
総額(税抜)は、20Aで400,000〜430,000円(本体は当社販売価格350,000円、メーカー希望小売価格498,000円)、25Aで650,000〜680,000円、40Aで2,650,000円、50Aで3,650,000円です。40A・50Aはオープン価格です。導入後に毎年かかるものはなく、保証は計10年(メーカー2年と筆頭正規特約店 株式会社ライヴスの延長8年)です。
工事のあいだの条件
作業場所は水道メーターの周りに限られ、各戸には入りません。工事は3時間〜半日、そのうち水が止まるのは、配管をつないだ接着剤が固まるまでの1〜2時間です。
受水槽のある建物なら、各戸の水は止まりません。設備は槽より手前に付くので、工事中も入居者さまは槽の水を使い続けられます。
よくあるご質問
水回りと内装、どちらを先にすべきですか
全戸が対象で、一度で建物に残る水回りを先にするほうが、費用に見合いやすくなります。内装は退去した部屋だけが対象で、募集のたびに必要になります。
水回りにお金をかけても、家賃を上げられますか
家賃を上げる材料としては使いにくく、入居年数と空室期間で見るほうが数字が合います。退去1件あたりにかかる金額を数えて、そこから逆算してください。
給水方式によって設置位置は変わりますか
変わります。増圧直結方式なら水道メーターの二次側、受水槽のある建物なら水道メーターと受水槽のあいだです。受水槽より手前の配管は対象になりません。
管理会社に任せている物件でも進められますか
進められます。決めておくのは、工事日の告知と立ち会いをどちらが持つかだけです。保守対象の設備が増えないので、管理の引き継ぎも台帳への1件の追加で済みます。
お見積もりまでに何を用意すればよいですか
水道メーターの周りの写真、口径の刻印が読める写真、建物の全景です。受水槽の有無と戸数は、相談内容の欄に書いてください。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。設備の写真や図面は、そのメールに添付してご返信ください。
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